CASE17
医療施設
東洋病院
- 所在地:
- 徳島県徳島市
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 1,264m2
- 竣工:
- 2019年4月
- 用途:
- 医療療養病床(50床)
1977年、「東洋医学と西洋医学の結合医療」を理念に、徳島市内に診療所を開設。2012年には、外来機能強化のため新外来棟を建設し、サービス付き高齢者向け住宅とショートステイを併設されるなど、医療のみならず介護・福祉の分野でも、幅広く地域貢献されてきたのが医療法人 仁寿会 東洋病院様です。
今回、老朽化への対応とさらなる機能強化を図るべく、新病棟の建て替えを計画されました。
東洋病院様の外来棟建設(2012年)についてはこちらでご紹介しています。
計画のポイント
敷地内に新たな病棟を移転新築
外来棟に隣接させて新たに3階建ての病棟を建設することで、耐震性はもちろん設備の老朽化に関する問題を解決。新病棟は、外来棟と調和するデザインを施し、調和の採れた一体感ある病棟に仕上げました。
新病棟は、色合いや細かな設えなど、既存の外来棟と一体感あるデザインが施され、「2つの建物からなる一つの病院」としてのイメージが確立されています。
ワンフロアに50の病床をまとめた施設計画
2階の病棟部分は、スタッフステーションをフロア中央に配置し、窓口も3ヶ所設置。常に患者様へ目の届きやすい工夫が凝らされています。病室は、昨今の患者様のニーズを受けて個室中心に設計。効率的なスペース配分で、全50床をワンフロアにまとめました。
敷地形状、病室数とその効率的な配置への考慮から、廊下にも変化が加わりました。
2つの通路で外来棟と病棟の連携を強化
既存外来棟と1階部分の2ヶ所を通路でつなげることで、スタッフの移動をスムーズにするとともに、新病棟の厨房から外来棟2・3階の高齢者住宅へ、最短距離で食事を提供することが可能となりました。全体的な雰囲気のみならず細かなディテールにおいても調和にこだわって設計しました。
1階の厨房スペース。入院患者様はもちろん、サービス付き高齢者向け住宅やショートステイ用の食事もここで調理されます。
お客様の声
医療法人としての新たな一歩を飾る拠点
さらなる機能の充実を実現した新病棟
医療法人 仁寿会 理事長 清水 輝記様
外来機能を強化するため、2012年に新外来棟を建設してから約7年が経ちました。真新しい建物のイメージからか、若い年齢層の患者様が増えたように思われます。当院は、以前より関節リウマチや膠原病の専門外来をしてきましたが、これらの病気は、若い患者様が多いこともあり、結果的に好評を得られたのだと思います。
病院には、50床の医療療養病床がありますが、社会的にも入院の短期化が進む中、退院後自宅に帰れる方ばかりではありません。こうした患者様の在宅復帰をなんとか支援していきたいという思いから、サービス付き高齢者向け住宅とショートステイを併設しました。おかげさまで、多くの方にご利用いただき、開設当初から安定した運営を続けています。初期段階は、長期入院となった入院患者様が利用されるケースが多かったのですが、いまでは外部からの利用者様が非常に多くなっており、在宅療養における地域の環境や意識の変化がうかがえます。
ここ数年来、既存病棟の老朽化は、当法人の大きな課題でした。7年前に外来棟をオープンさせた際、将来的な展望が立たなければ、外来に特化した診療所に改編し、看護の必要な方はサービス付き高齢者向け住宅やショートステイで対応することも検討したほどです。しかし、選択肢を広げて可能性を模索。数社に提案を求めることで、新病棟実現の可能性を探りました。
最終的に大和ハウス工業さんにお願いした決め手は、まず以前のグループホームや外来棟の建設でお世話になったという点、加えて建物のコンセプトや外観の意匠性、機能的な動線を含めた施設計画、そして建設コストと、多くの面でとても満足のいく提案をいただいたということに尽きます。
最近は、療養病床であっても「個室に入院したい」という方が増えてきています。こうしたニーズを伝えたところ、限られた建築面積の中、とても効率良い病室の配置とスタッフ動線を両立させたプランを提案していただきました。
また、3階のリハビリテーションスペースについても、とても満足しています。既存の病棟にも広いスペースはありましたが、広さだけでなく、見晴らしなども考慮し、最上階への設置を提案していただきました。特に長期の入院患者様などは、気分転換を伴うリハビリテーションの方が良い成果が期待できます。実際、「外の空気を吸いたい」という希望も多く聞かれるので、屋外の歩行訓練エリアなどは、きっと高い評価をいただくことでしょう。
また、外来棟と隣接するため、意匠性にもこだわりを持っていました。提案では、CG動画を使って、既存外来棟とのデザインの調和が分かりやすくイメージしやすい提案をしていただきました。もちろん、仕上がりもイメージ通りでとても満足です。また、いままでのお付き合いから、メンテナンスにおいても高い信頼を感じています。
これで施設に関しては、ほぼ最終形に近づいたのではないでしょうか。医療に加え、サービス付き高齢者向け住宅やショートステイといった、手厚い看護・介護サービスを提供できる施設との連携も上手く機能することでしょう。
法人の次なる展開としては、新たな機能を備えることも検討しています。それは、いまある施設をしっかりと運用しながらも、人材の充実を図り、在宅医療への取り組みを進めていきたいという計画です。具体的には、病院内に在宅診療の部門を新設し、退院患者様のケアのみならず、広く地域の方々をサポートすることを考えています。在宅診療の機能が強化できれば、一つの施設を設けたのと同じ効果が期待できるでしょう。さらには、いま増えつつある往診専門の診療所との連携も考えられますし、当法人の住宅部門との連携も大きく意味を持つでしょう。私たちの発展が、地域への貢献につながると信じています。
東洋病院様の外来棟建設(2012年)についてはこちらでご紹介しています。