厚生労働省は、介護報酬の2018年度改定案を社会保障審議会分科会に示し、了承された。
政府は18年度予算編成で報酬全体の改定率を0.54%のプラスと決定。団塊の世代が75歳以上となる「2025年問題」に対応するため、高齢者の自立をはじめ、介護人材の確保や医療・介護の連携、介護給付費の抑制を重視することにした。
まず、高齢者の心身の機能向上に向け、自立支援や介護の重度化防止に取り組む事業者を手厚く評価。身体の状態に合わせて機能訓練に取り組めるよう、事業者が医師や作業療法士らと連携して計画を作成した場合などに報酬を加算する。
自立支援と重度化防止では、特別養護老人ホームや老人保健施設の入所者が自分でトイレで排せつできるように訓練したり、寝たきりの高齢者の床ずれ予防に取り組んだ事業者への報酬も加算する。
訪問介護では、入浴や排せつ介助などの「身体介護」に重点を置いて報酬を引き上げる一方、家事を行う「生活援助」の報酬は抑える。
介護人材の確保策では、生活援助を行うヘルパーについて、短時間の研修で資格を得られるよう要件を緩和する。
また、長期にわたり入院する「介護療養病床」に代わり、医療と介護を一体的に提供する「介護医療院」を創設。同病床より床面積を広げるよう基準を設け、生活の場としての質を高める。
さらに、高齢化で膨らむ給付費を抑制するため、車いすやベッドなど福祉用具のレンタル料金に上限を設ける。利益率の高い通所介護(デイサービス)の大規模事業所については報酬を下げる。生活援助の利用回数が多い高齢者のケアプランを市町村が確認し、見直しを求める仕組みも導入する。
その他、入所者の最期に寄り添う「看取り」の体制を強化した特養への報酬を加算することとしている。