犬の運動量どのくらい必要?〔前編〕
公開日:2015/09/07
暑い夏を乗り越えた9月。まだ残暑を感じる日もありますが、犬の散歩量に変化はありませんか?暑いから歩きたがらない、気温が高いので散歩を控えている。そんな飼い主さんもいらっしゃると思います。今回は、東京都稲城市若葉台にある犬専用フィットネス“わんわんフィットネス”インストラクターの深澤優希さんに、犬の運動と健康管理についてお話を伺いました。
Q そもそも犬の運動量ってどの位必要ですか?
まず、日々の運動は必要です。夏場は、気温が低い時間帯(朝5時~6時台)のお散歩をおススメします。日中だとアスファルトの照り返しが強く、熱中症になる犬もいます。アスファルトの温度が低くなる時間帯でも、気温と湿度のバランスに注意しましょう。
(わんわんフィットネスの犬専用プール)
朝早いのが大変で、夏場お散歩を止めてしまう飼い主さんも多くいらっしゃいます。人間より流れている時間が早い犬は、筋肉がつくのも早ければ落ちるのも早く、運動不足は筋力の低下につながります。
1日何分歩かせなきゃ!と気張らず、犬の様子を見ながら、距離と時間を決めてください。外に出るだけでも犬にとっては気分転換になっています。
(いややーん)
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<ちなみに>
犬種によって運動量は大きく異なります(体重よりも犬種です。大きくても重量犬種はさほど運動は必要ありません。逆に小型犬でもかなりの運動を必要とする犬種も多くいます)。また、動物行動学者たちの回答は異なっていて、現在もなお、答えは出されていません。一般的には小型犬なら1日30分程度、大型犬なら1時間程度とされていますが、異論も多くあります。
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(得意の犬掻き!)
Q どの位お水を飲ませた方がいいですか?
日頃の犬の様子を見てあげてください。水をがぶ飲みしたり、ほぼ飲まないという行為には病気の兆候があります。日頃の飲み方と異なる飲み方をしていないか注意してあげましょう。また、夏だからといって摂取量が一概に増えるわけではありません。例えば、エアコンが効いた部屋で過ごす犬は体温調節が不要なので、夏でも水を飲む量は増えず、水分不足になることも。
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<ちなみに>
緻密な計算式を発表している団体もありますが、もっともわかりやすいのは、NRC(AAFCO. National Research Council =米国科学アカデミーの米国学術研究会議)が出している分量で、その犬種に必要な1日のカロリーと同量、としています。つまり、その犬の1日の必要カロリーが500kcalであれば、水分は500ml、ということになります。ただし、これはドライフードを食べている場合の数値で、ウエットやセミウエット、手作りフードを与えている場合には、フードに水分が含まれているので、その分を考慮します。
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(犬掻き!犬掻き!)
Q 自宅でできる健康チェックはありますか?
簡単な方法ですが
・よだれをダラダラ垂らしている
・一日中寝ている
・呼吸が早い
・ゴハンを食べない
・ウンチやおしっこ(排泄)の異常
といった事をチェックしてください。水の飲み方と同様に、日常と違う様子=異常だと捉えましょう。犬は自ら不調を訴えることができません。異常に気付いてあげるのは飼い主さんの責任です。少しでも日頃と違う様子だったら、お医者さんに診てもらいましょう。
人間の様な夏バテの症状は出ませんが、だるそうにしているなど似た症状はでます。夏に運動量が減る→筋肉量が減る→動きたくなくなる、という悪循環になります。
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<ちなみに>
目を見る、皮膚の弾力をみる、歯茎の色を見る‥などさまざまな方法がありますが、もっとも簡単な方法は日常的なスキンシップ(つまり、全身を手で触診してみること)です。
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(ふう。終わったー)※写真だと分かりませんが、プールを出た後も犬掻きを続けます。
Q わんわんフィットネスについて教えてください。どんな犬が対象ですか?
2パターンあって「運動不足解消」または「ダイエット」ですね。特に夏は、運動不足解消で来店されるケースが多いです。7才以上のシニア犬も来店されます(年齢によってはお断りするケースがあります)。プールの中は負担が少ないので、体を効率よく鍛えることができます。関節もプールの中だと柔軟性が上がり、関節の可動域が広がります。
また、わんわんフィットネスは、小型から中型を目安に設計しているので、犬の大きさは20キロ程度まで対応可能です。
(バランスボール。プルプルさせながらキープしています)
Q わんわんフィットネスではどんなことを体験できますか?
ウォーターエクササイズ、エンジョイアスレチック、ボディマッサージが体験できます。エンジョイアスレチックでは、バランスボールやハードルを利用し、楽しみながらコンディショニング。バランスボールを用いたフィットネスは、体幹を鍛えることができます。姿勢もよくなるし脚も早くなりますよ(笑)バランスボールを乗る時グリップ力を要するので、地面を蹴る力も自然と強くなります。そういった点では、ドッグスポーツをされている小型犬に向いています。
シニア犬の場合、その子の状態に合わせて運動をセレクトします。また、おやつに興味のある犬にはバランスボール、おもちゃ好きにはプールがおススメです。プールの中でおもちゃを使い遊ぶことでプールが大好きになります。
水が苦手な犬でも、すこしずつ慣らしながら水につかる時間を伸ばしていくので、安心してご来店ください。
わんわんフィットネスに通うペースは、健康維持であれば週1回、筋肉トレーニングだと週2回が目安です。週1回プールに行っている=散歩が不要というわけでありません。あくまでプラスアルファとしてお越しください。
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<ちなみに>
目的やその犬の年齢によって異なりますので一概には言えません。若い犬では比較的効果が早く現れますので、定期的に通えば3ケ月位で目的に達するでしょう。逆に高齢犬ならば、早急な効果ではなく『健康寿命』を1日でも伸ばすために、日々の日課と考えて通っていただきたいと思います。
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(こんなに斜めにしても大丈夫!体幹が鍛えられています)
Q 初めから泳げますか?
泳げない犬の方が多いです。この犬(写真)は9才になってからプールデビューしましたが、3~4回目で泳げるようになりました。パピヨンの場合、足に筋肉がないと膝蓋骨(膝の関節の皿)脱臼になる可能性があるので、関節の周りを筋力で支えて怪我や病気を防ぎます。
今回取材に応じてくれたリオ君(パピヨン・9才)は泳ぎの達人(犬)でした。そんなリオ君も初めは泳げなかったと聞いて驚きです。また、脚をプルプルさせながらバランスボールをあやつる姿も圧巻でした。後編では、ペットアロマセラピストの新井旬生さんに、犬のメンタルケアについてお伺いします。
深澤優希さん
東京コミュニケーションアート専門学校ドッグトレーナー科卒業。ペットショップにて、ドッグイベントスタッフとして勤務後、エー・ディー・サマーズにて、犬雑誌の編集、ドッグイベント・プロデューサーとして勤務。エー・ディー・サマーズがハイドロセラピーの普及、指導に携わるようになるとともに、セラピー指導のアシスタントとして活躍。現在はジャパン・ケイナイン・ハイドロセラピー協会のトレーニング・インストラクターとして、施術、後継者の指導にあたっている。