モノを「捨てる」のではなく「持ち込まない」が収納のポイントです
公開日:2016/09/12
断捨離で部屋を一掃したい!と思いつつなかなか手が付けられない、また、何を基準に何を捨てたらいいか分からないし、ダイエットではないけれどリバウンドしてしまう…、という話を耳にします。今ある収納でどうしたらスッキリ暮らせるのか。その他、限られた収納の活用方法を、大和ハウス工業住宅事業推進部の多田綾子に聞きました。
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多田 綾子(一級建築士、インテリアコーディネーター)大和ハウス工業株式会社 住宅事業推進部所属
設計現場での経験を経て、住宅展示場での収納提案や収納展示施設の企画・監修、セミナーなどを全国で実施。「収納の仕事に携わることで、物事の優先順位が付けられるようになり、時間や気持ちにゆとりが持てるようになりました。“収納とは暮らしと向き合うこと”。自分自身のため、そして大切な家族のために、生活環境を整えておきたいと改めて実感しています」。
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「断捨離=モノを捨てると連想しがちですが、断捨離とは『欲を断ち、無駄を捨て、執着から離れる』こと。カンタンにモノを捨ててしまうと、カンタンに物を持ち込むこととなり、ダイエットと同じくリバウンドが起こります!だからモノを捨てるのではなく、まず、モノを持ち込まないがポイントです」。と、話し始めた多田ですが、「自分も洋服は捨てられないタイプです。特に高かったものが捨てられません(笑)」と、自分のクローゼットの収納術を公開してくれました。
■□クローゼット□■
┃洋服は見える化
収納のポイントは一目で分かること。例えば、シーン別に休日用/会社用というラベルを収納箱に貼りました。ハンガーパイプは、季節ごとに夏物/冬物と収納エリアを分けています。出入口に近い部分はよく使うものを収納。また、わが家は一見大きく見えるコの字型収納。でも実はこれ、コーナーのL字部分が出し入れしにくいので、ここにはオフシーズンのアイテムを収納しています。上棚にはさらに棚を置いて収納量を増やし、カバンを収納しています。
ポイントは分けること。アイテム別に分け、さらに色別にグラデーションに並べると、手持ちのモノが一目で分かり、同じようなアイテムの再購入を防ぎます。また、自分の持ち物の傾向も把握できます。私の場合、黒や濃い色のアイテムが多いので、今年は明るい色を買い足そうと考えています。
┃○袋捨てました!はおススメではありません
断捨離で○袋捨てた!という話を耳にしますが、あまりオススメではありません。厳選したアイテムでの生活に慣れるまでは、再購入してリバウンドする可能性が高いからです。
収納のノウハウ本を読んだ際、最初にハンガーの数を決めてしまい、1着購入したら1着捨てるという手法がありました。理想的ですが、実践は難しいと思うので(自分が洋服好きということもあり)、最低限クリーニングから戻ってきた洋服をハンガーのまま掛ける事だけは止めるルール付けをしましょう。手持ちのハンガーに掛けなおすことで洋服の型崩れが防げますし、洋服が増えるのを防ぎます。
┃ルール通りに収納するのは2週間に1度でOK
たくさん服を持っていても、つい同じ服ばかりでのローテーションになりがちです。そこで、2週間に1度、洋服を(季節ごと・色別・アイテム別に並べた)定位置に戻すことをお勧めします。2週間に1度洋服を触ることで、一着一着に気を配ることができ、手持ち服の把握ができ愛着も湧きます。また、着ていないけど捨てるには勇気がいる洋服は一度着て外出してみます。洋服がキマらず、その日一日が気持ちよく過ごせなかったら、心置きなくその服を処分できます。
■□キッチン□■
┃朝の無駄な動きを防ぐ「朝食セット」
朝食に使う箸、ヨーグルト用のスプーン、コーヒースプーンをひとまとめにして、「朝食セット」にしています。忙しい朝に、ヨーグルトのスプーン探して、コーヒーのスプーン探して、という手間が省けますよ。また、「朝食セット」と同じ場所にマグカップも収納しています。今はもう慣れましたが、朝食セットと夕食セットを分けているので、実は、朝用の箸と夜用の箸が異なります。
┃食料品は色分けでストック
食料品のストックは「立てて収納」「色分けで収納」を心掛けています。黒いもの、白いもの、その他と色で分けて収納しておくと、昆布はどこ?と思ったとき、感覚で探せるので便利です。
┃よく使う選手とサブ選手を分ける
キッチン下の収納に調味料を収納しています。以前は同じ引き出しに全調味料を入れていましたが、料理の度にわずかな時間ですが調味料を探すのにストレスを感じていました。そこで、コンロ周りでよく使う選手とサブ選手を分けて収納しました。よく使う選手「黄金調味料」(オイル、醤油、みりん、お酒)は鍋と一緒に収納し、サブ選手(たまにしか使わない調味料)は別の引き出しに収納することで、探す手間が省けました。
┃キーワードは分けて収納
収納空間は仕切れば仕切るほど使いやすい、と考えます。この引き出し用の仕切りは、自分で段ボールを切ってつくりました。ナイフ・フォーク等だけ分けるだけでなく、大きさ別に分けることで、毎度毎度の探す手間が防げます。
お皿もなるべく重ねず仕切って収納します。棚が足りなければホームセンターで棚をカットもらって足しています。
┃キッチン手元にゴミ袋
小さなビニール袋を保管しておき、流し台周りで出るゴミをさっと捨てられるよう、キッチン扉にくくりつけています。
■□その他□■
┃日用品の買い置きはしません!
マンションはストックする場所が少ないので、基本、買い置きしません。ストックが切れた時点で、買い物メモをしておき買い足します。それでもたまにストック切れで困る事もありますが、その時は近くのコンビニに走ります(笑)。収納には『靴の空き箱』を活用しています。靴箱の蓋を箱の底に補強すると丈夫になるので便利です。薬も箱に収納しています。中身が見えるように立てておくと、取り出しやすく常備薬の把握がしやすくなりました。
┃分電盤前はブーツ収納(シューズボックス)
マンションの場合、せっかくのシューズボックスに分電盤が設置されていて、収納できない…、と諦めていませんか?実は、女性ものの靴を置くスペースはあるので、分電盤前も活用しています。背が高いブーツは下の段に収納しがちですが、かかとがつかめれば出し入れできるので、分電盤前にブーツを収納しています。
■□断捨離しない収納術まとめ□■
1)持ち込まない
2)見える化して把握する
モノが溢れたり、非効率な家事動線は、日々の暮らしに負担がかかります。収納を見える化することで不要なものの持ち込みを防ぎ、家事も効率的になれば一挙両得ですね。まずは身近な場所からトライしてください。ただ、適度な買い物も必要だと考えます。買う気が起きない時は気持ちがマイナスになりがち。買い物したい!というプラスの気持ちを抑えず、何か欲しいというマインドは大切にしましょう。日頃から欲しいものを明確にしておくと、失敗なくいい買い物ができますよ。