子どもの家庭内事故を防ぐ

小さな子どもにとっては、家の中にも危険がいっぱい。一歩間違えば命に関わる事故につながりかねません。今回は保育・幼児教育の専門家の先生に、家庭内での事故を防ぐ方法を教わりました。

┃階段・バルコニーの危険

家庭内で転落などの危険が大きい場所として、まず挙げられるのが階段とバルコニーです。

階段の形状は踊り場のあるタイプ（折り返し階段）がおすすめ。踊り場がない直階段は足を踏み外した時に一気に下まで転げ落ちる可能性があり、大きなケガにつながります。階段の踏み面（足を乗せる面）には滑り止めを取り付けると安全性が高まります。

しっかり歩けるようになるまでは、一人で階段を上り下りしないように気をつけます。発達状況にもよりますが、だいたい2歳ごろを目安に、親がそばについて階段の上り下りの訓練をさせると良いようです。

バルコニーは「大人のための場所」と理解させ、子どもが勝手に出入りするのを防ぎます。サッシについているロックも必ずかけましょう。バルコニーには子どもがよじ登れる踏み台となるようなものを置かないように注意してください。

意外ですが、大人がバルコニーに出ている間に子どもが鍵をかけてしまい、中に入れなくなるケースもあるので気をつけましょう。

┃恐ろしいタバコの誤飲

タバコは子どものいる場所で吸わないようにしましょう。できれば喫煙場所を決め、その場所でのみ吸うようにしてください。

タバコ1本には赤ちゃんの致死量に相当するニコチンが含まれています。誤飲をして急性ニコチン中毒になると、初期は嘔吐、血圧上昇、腹痛、頭痛、錯乱、脈が速くなるなどの症状が現れます。さらに悪化すると意識障害やけいれんも起こります。

灰をなめてしまったり、吸殻を口に含んでしまっただけでも、ニコチンは吸収されます。とくに症状が出ていなくても、必ず病院に連れて行きましょう。万一吸殻を食べてしまった場合は、吐き出させるなどの応急処置をし、すぐに病院へ。その際、水や牛乳などを飲ませるとニコチンの吸収を促進してしまうので注意が必要です。病院では医師の判断で胃洗浄（胃にチューブを挿入して直接洗浄する）などの処置が行われることもあります。

┃家電まわりで気をつけること

普段何気なく使っているキッチンまわりの電化製品も、事故の危険性をはらんでいます。

最近では電気ケトルをひっくり返して熱湯をかぶり、やけどをする事故が多発しています。電気ケトルの置き場所は、子どもがいたずらしたり、コードにつまずいたりしない、安全な場所を選びましょう。

また、炊飯器から出る蒸気も危険です。最近では蒸気が出ないタイプの炊飯器もあるので、購入の際は参考にしてください。

コンセントも感電やショートを防ぐ配慮が必要です。私の知人宅では、子どもがコンセントに金属のフォークを突っ込むいたずらをして、あやうく感電しかけた出来事がありました。使用していないコンセントにはカバーをつけておきましょう。

┃料理のお手伝いをさせる時は

キッチンには家電以外にも、危険なものがたくさんあります。例えばガスコンロなどの火元、包丁やピーラーなどの道具類、コップやお皿といった割れ物など。大人用の道具は子どもには持ちづらく、作業を安全に行えません。お手伝いさせたり、料理を教えたりする時には、形状や大きさが子どもの手に合うように工夫された専用のキッチン道具を使うと良いでしょう。

また、親に時間的なゆとりがない時には、子どもに目を配ることができません。子どもの作業を見守れるよう、時間や気持ちに余裕のある時を選びましょう。

初めて料理にチャレンジする時は、親子料理教室などを利用するのも一手です。