消費税8%がスタートしましたが、政府は家づくりに関わる税金の負担を減らすため、さまざまな施策を行っています。
今回は、2014年度税制改正のうち、これから住宅を購入する方向けのトピックスを紹介します。
「税金が半額になる」など、必ず押さえておくべきおトクな情報ですので、お見逃しなく!
「固定資産税」とは、土地や建物にかかる税金のこと。それぞれの評価額をもとに計算され、毎年払う税金です。新築一戸建ての場合、“建物にかかる固定資産税を新築から3年間、2分の1にする”という優遇税制が延長されることになりました(表1)。床面積50㎡以上280㎡以下の新築一戸建てについて、そのうち120㎡までの建物の固定資産税が対象になります。
家を建てて、これからお財布のヒモを引き締めなくては…という時期に、税金の減額はありがたいですね。
建物にかかる固定資産税って、どうやって計算されるの?
評価額×1.4% という式で計算されます。
この「評価額」とは、実際に新築時にかかった費用ではなく、独自の固定資産評価基準によって決められます。たいていの場合、この評価基準額は実際の建築費用よりも低く算定されます。
住まいに関する税金には、性能の良い住宅の建築を促すための特例措置もあり、こちらも延長されます。適用されるのは以下の2つの住宅です。
- 耐久性や耐震性などの基準を満たし、長く良好な状態で住み続けられる『長期優良住宅』
- 省エネ法の省エネ基準に比べてエネルギー消費量が10%以上少なく、省エネ性能の高い設備などを設置している『低炭素住宅』
『長期優良住宅』に認定された新築住宅は、前項の「固定資産税」の減額が3年間ではなく、5年間となります。建物を新築した時に支払う「不動産取得税」も軽減になります。
また、『長期優良住宅』『低炭素住宅』に認定された新築住宅は、建物分の「登録免許税」(所有権保存登記・所有権移転登記の税率)が軽減されます。「登録免許税」とは、住宅の引き渡しの際に行う登記のタイミングで支払う税金です(表2、3)。
※一般の住宅も軽減措置がありますが、軽減税率は異なります。
「登記」って何?
住宅などを購入して権利の変動があったとき、法務局に対して申請するのが「登記」です。家を新築したときに行われる所有権の登記は「所有権保存登記」、中古住宅を購入したときに行われる所有権の登記は「所有権移転登記」となります。土地に関しても、新しく購入した土地であれば「所有権移転登記」となります。
また、住宅ローンを借りた場合は「抵当権設定登記」を行い、返済し終えれば「抹消登記」をします。これらの登記を申請するときには「登録免許税」が必要になります。
建て替えの場合は関係ありませんが、今住んでいるマンションなどを売り、別の場所で家を建築あるいは購入する場合に適用できる特例措置が3つあります。
上記3つの特例措置については、所有期間や敷地面積などの要件が決められています。自宅を売却して新たに家を建てる予定の方は、この点についてもしっかり押さえておきましょう。
最後に、中古住宅についての優遇措置についても触れておきましょう。
一定の質の向上が図られた中古住宅を取得した場合の、登録免許税や不動産取得税の特例措置が新たにつくられました。また、中古住宅を購入した後に耐震改修工事を行う場合についても、一定の要件を満たせば住宅ローン控除などの特例の適用対象になるように、制度が拡充されます。
このような措置を通じて、リフォーム市場の活性化や質の高い中古住宅の流通を促すことが目的になっています。
2014年度の住宅関連の税制改正は、特例の期間延長が中心になっています。期限に留意して、家づくりのスケジュールを考えていきましょう。
税制改正以外にも、消費税増税や住宅ローン減税の特例の拡充、すまい給付金の導入など、住まいとお金をめぐる環境は変化しています。常に最新の情報を把握しておきたいものです。とはいえ、税金やローンの話は家づくり初心者には難しいもの。不明な点は、住宅メーカーの営業担当など専門家に相談することをおすすめします。
2014年度税制改正のうち、住宅向けの主な優遇税制
項 目 | 優遇の内容 | 改正された点 |
---|---|---|
1. 新築住宅の固定資産税の減額措置 | 3年間、建物の固定資産税額を2分の1にする | 適用期限を2016年3月31日まで延長 |
2. 長期優良住宅の特例措置 | 固定資産税の減額措置が3年→5年間 登録免許税、不動産取得税を軽減 |
同 上 |
3. 低炭素住宅の特例措置 | 登録免許税を軽減 | 同 上 |
4. 住宅の買換え等の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 | 自宅を買換えた場合、売却による損失を給与所得などから控除でき、控除しきれない分も最長3年間に渡って控除 | 適用期限を2015年12月31日まで延長 |
5. 住宅の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 | 自宅を売却し、残っている住宅ローンの額を下回る額でしか売れなかった場合、損失分を給与所得などから控除でき、控除しきれない分も最長3年間に渡って控除 | 同 上 |
6. 住宅の買換え等の課税繰延べの特例 | 自宅を買換えた場合、売却による利益に対する課税を将来に繰延べることができる(将来売却した際に課税)。ただし、売却価格の上限は現行の1.5億円から1億円に縮減 | 同 上 |