新居を建てたら、害虫とは無縁の暮らしをしたいと誰もが思うはず。
できれば遭遇したくない害虫の筆頭であるゴキブリを中心に、住まいの害虫対策をご紹介します。
室内への侵入防止策から、虫を寄せ付けない環境づくり、発生してしまったときの駆除法について、
ダスキンの山中さんにお話を伺いました。
Profile
ダスキン ターミニックス
山中さん
ゴキブリ・シロアリ・ハチなどの害虫やネズミなどの害獣を、人と環境に配慮した方法で駆除・予防を行う害虫獣対策のプロ。状況に応じた安心なサービスで、害虫獣がいない快適な環境づくりをサポートしている。
「1匹いたら数十匹いる」はホント!?すさまじい繁殖力
一般家庭での害虫のお悩みで最も多いのは、やはりゴキブリです。ご家庭でよく見かけるのは「クロゴキブリ」という種類で、体長は約3cm。春や秋などの暖かい時期に発生しやすいですが、暖房設備がある場合は、地域により年中発生する可能性があります。ジメジメとした暗くて暖かい場所を好み、下水や水回り(キッチンや洗面所、洗濯機の周辺、浴室、トイレ)などに発生しやすいです。
メスの寿命は約1年半程で、産卵回数は約17回といわれています。卵は「卵鞘」と呼ばれる焦げ茶色の硬いカプセルのようなものに守られていて、中には20〜30個程度の卵が入っています。「1匹いたら数十匹はいる」といわれるのも、こうした繁殖力の高さゆえでしょう。
室内で繁殖してしまうと駆除にも時間がかかります。まずは、①侵入させない、②寄り付かせない、の2ステップで害虫を寄せ付けない住まいに整えましょう。
STEP1:数ミリの隙間も油断大敵!侵入ルートをシャットアウト
ゴキブリの成虫は数ミリの隙間があれば侵入してきます。主な侵入経路と対策をご紹介します。
人の出入り口は要注意。隙間は隙間テープでふさぐ
玄関、窓といった開口部から、人が出入りする隙をついて侵入してくることがあるので、開けっぱなしにせずにその都度閉めることを心がけましょう。また、築年数がたつと玄関や窓枠、網戸に隙間ができる可能性もあり、その場合は隙間テープで埋めるのが有効です。網戸の破れも修理しましょう。2階・3階の窓も侵入経路となるので注意が必要です。
網戸は「右側」にして虫の侵入を防ぐ
網戸を閉めているはずなのにいつの間にか虫が入ってきているという経験はありませんか?引き違い窓は室内から見て右側が部屋の内側、左側が部屋の外側に重ねるようにできています。
サッシが重なる部分は両端よりも厚みがあるので、重ね方によっては隙間ができやすく、その隙間から虫が入ってくることも。網戸は右側にセットしておくと虫の侵入を極力抑えることができます。
意外な盲点!排水管と床板の隙間はパテで埋める
排水管自体は排水トラップ等によって虫の侵入対策がされていますが、盲点なのが排水管と床板のつなぎ目の隙間です。ホームセンターなどで入手できる隙間埋め用のパテなどで埋めましょう。キッチンや洗面所、トイレの排水管、コンロ下のガス管周りは要注意です。
エアコン周りの侵入経路もチェック
エアコンの周辺も侵入経路となります。壁にあけられているスリーブ穴はエアコンパテ等で隙間が埋められていますが、経年劣化で隙間ができている場合も。その場合は、隙間埋め用のパテで補修しましょう。さらに、結露を排水する室外機のドレンホースから虫が侵入する場合もあるので、ドレンホースの先端に取り付ける防虫キャップで対策をしましょう。
STEP2:段ボールは格好のすみか。害虫の好む環境を減らそう
侵入対策を行うのと同時に、害虫が好む環境を減らすことも大切です。
水回りは清潔に保つ
ゴキブリは雑食性なので、キッチンの生ゴミはもちろん排水口のぬめり、お風呂の排水口にたまった髪の毛、床に落ちたフケなども餌にします。水回りは特に清潔にして換気を行いましょう。生ゴミは密封し、ふたの付いたゴミ箱に捨てます。排水口はパイプクリーナーで掃除をし、シンクの水分は拭き取るといいでしょう。
ペットの餌は放置しない
ペットのごはんを置きっぱなしにしたり、水を不衛生な状態で放置したりすると害虫を引き寄せてしまうことがあります。器はすぐに片付けて、汚物は密封して捨てましょう。
段ボールはためずに片付ける
家にたまりがちな段ボールも要注意。段ボールは保温性が高く、放置すれば格好のすみかになり、卵を産み付けられてしまうこともあります。屋外に放置しても同様なので、できるだけ早めに処分しましょう。
室内で遭遇したらどうする?
室内で遭遇した場合はスプレー殺虫剤での駆除をおすすめします。スプレー缶には可燃性ガスが含まれるので、コンロ周りで使う場合は火を消してから使いましょう。逃げ隠れてしまった場合は、エサ状の駆除剤「ベイト剤」を仕掛けて群れごと駆除するのがおすすめです。薬剤の種類にもよりますが、設置してから約1週間後には効果が現れ始めます。トラップを仕掛けて駆除効果を確認するといいでしょう。
ダスキンで提供しているゴキブリ駆除サービスは、お客さまに発生状況をヒアリングした上でふんの形跡などを調査。目撃エリアを中心に、隠れ場所になりそうな箇所にベイト剤やトラップを設置し、一定期間が経過してから駆除効果の確認を行います。複数の部屋で遭遇する、室内で卵を見つけたなど、すでに繁殖していると考えられる場合は、4週間ごとの定期的な駆除サービスをおすすめしています。
家の外も要注意。植木鉢の下、落ち葉の下は生息場所に
ゴキブリの対策は室内だけでなく、屋外での発生も防いで寄せ付けないことが大切です。すみかとなるものを敷地内からなくせば、結果的に屋内に侵入してしまう確率を減らすことができます。
暖かく湿った場所を好むので、植木鉢やプランターの下、堆積した落ち葉の下、物干し台の土台の下は生息場所になります。また、落ち葉がたまった雨樋も発生しやすいポイントです。植木鉢やプランターは同じ場所に置きっぱなしにせず、こまめに場所を移動させ、落ち葉は処分しましょう。植木鉢の受け皿やバケツなど、水がたまりがちなものは撤去します。これは蚊ボウフラの対策にも有効です。屋外のゴミ置き場はにおいが漏れないようにゴミ箱の密閉性を高め、汚れたらすぐに洗って清潔を保つようにします。
夏場になると悩まされる蚊・コバエの対策は?
ご家庭で出やすい蚊、コバエの対処法もご紹介します。
蚊
日本には約130種類の蚊が生息していて、主に家の周りや屋内に現れるイエ蚊、雑木林などに生息するヤブ蚊などに分類されます。屋外の水たまりは蚊が卵を産み付けてボウフラ(幼虫)が湧き、蚊が羽化する可能性があるので、庭にバケツなど雨水が貯まるものを置きっぱなしにしないこと、水たまりになりやすいくぼみなどを整備しましょう。植木鉢の受け皿の水もこまめに捨てます。庭に植栽が多いと蚊が発生しやすくなりますが、草を短く刈ったり、雑草をこまめに抜いたりするとヤブ蚊が潜む場所を減らすことができます。
コバエ
コバエは2mm以下の飛ぶ虫の総称です。キノコバエ、ショウジョウバエ、ノミバエ、チョウバエなどが代表的ですが、種類によって発生場所や好みが分かれるため、種類を特定してから対策をとるのがいいでしょう。チョウバエは浴室やキッチンに発生しやすく、排水管や排水口などのヘドロや泥状の有機物に卵を産み付けるので、そうした場所を清掃することが有効です。キノコバエは観葉植物の腐葉土に混ざった卵がかえることで室内に発生します。ショウジョウバエとノミバエはキッチンやゴミ箱の周辺に卵を産み、そこから発生するので、ゴミは放置せずに密閉して捨てましょう。もちろんコバエも自然発生するわけではなく、屋外から入ってくるのは他の害虫と同様なので、侵入経路となる隙間をふさぐことも大切です。
LED照明は虫よけに有効
飛翔害虫の多くは電灯に集まる習性がありますが、誘引しているのは光の波長が365nm(ナノメートル)付近の紫外線です。LED照明の多くは紫外線を含まないため、虫を引き寄せにくいといえます。
まとめ
どの害虫も外から侵入してくるのは共通しているので、住まいのメンテナンスをしっかり行うことも大切になりそうです。また、川や雑木林などがすぐ近くにある土地はどうしても害虫が発生しやすくなります。自然豊かな場所に家を建てる場合は、より念入りな害虫対策を行って、快適に過ごしたいものですね。