多くの方が、家の中で最も長い時間を過ごすリビング。
家族団らんの時間を過ごしたり、リモートワークをしたり、
来客をもてなしたりもするリビングには、どのようなこだわりがあるのでしょうか。
アンケートを実施し、今どきのリビングの在り方を探ってみました。
調査時期 | 2024年2月8日~2月18日 |
---|---|
調査対象 | My House Palette メールマガジン会員 |
有効回答数 | 630件 |
調査方法 | My House Palette メールマガジンでのアンケート |
Q1.現在お住まいの家のリビングは何帖ありますか?(ダイニングやキッチンとつながっている場合は、LDK全体の広さを教えてください)
「10〜15帖未満」(36%)が最多で、次いで「15〜20帖未満」(25%)、「10帖未満」(23%)となりました。20帖以上の広々リビング(もしくはLDK全体の広さ)にお住まいの方が16%いる一方で、15帖未満の方は全体の59%を占めます。
Q2.リビングは主にどのように使っていますか?
(複数回答)
上位に並んだのは「テレビを見る」(80%)、「おやつを食べたり、お茶を飲んだりする」(74%)、「家族で団らんをする」(71%)の3つでした。テレビ離れが叫ばれる昨今ですが、まだまだリビングの中心はテレビであることが分かります。しかし、「スマートフォンやタブレットを見る」(56%)、「パソコンで作業する(仕事以外)」(37%)など、リビングで個々の作業をして過ごしている様子も伺えます。その他にも、ゴロゴロする、子どもの遊び場、エクササイズやトレーニング、勉強などの場として、リビングは多目的空間となっているようです。
「誰が」「どのように」リビングを使っているかを具体的に聞いてみました。
お子さまの遊び場・勉強部屋を兼ねて
- 勉強したり遊んだりと、子どもたちが一番長く過ごしている
- 子どもが電車のおもちゃやブロックで遊んだり、折り紙を折ったりとのんびり遊ぶ場として使っている
- 子どもがおもちゃのキッチンやジャングルジムで遊んでいる
家族団らんの場所として
- 家族が集まって話をしたり、テレビを見たり、勉強をしたりする
- 家族と一緒にテレビで映画やスポーツを見たり、テレビゲームをしたりする
- 各自部屋を持っているが、寝るとき以外はリビングに集っている
- 仕事や学校から帰宅した後に話をしたり、宿題を一緒にしたりする。食後は家族でテレビを見る。一日の大半を過ごす場所と言っても過言ではない
- 夫はリビングでテレビ観賞。高校生の子どもは自室にこもっているが、用事があるときや食後はリビングのソファに座って一緒にテレビを見ることもある
それぞれ思い思いの作業をする空間に
- 家族が集まっているが、それぞれが自由にパソコン作業などをしている
- 母親は新聞を読んだりテレビを見たり、家計簿をつけたりしている
- 家族がおのおのに、パソコン作業やスマートフォン、タブレット、テレビを見ていることが多い
小さなお子さまのいるご家庭では、リビングは遊びや勉強の場になっているようです。お子さまが成長して自室を持つようになっても、家族が自然と集まり、会話を交わすコミュニケーションの場になっていることが分かります。また家の中でも広いスペースのあるリビングは、それぞれが好きに作業や家事をする空間としても機能しているようです。
Q3.リビングでの過ごし方について、
以下から最も当てはまるものを選んでください。
家族と一緒に住んでいる方にリビングでの過ごし方について聞いてみました。前問Q2の意見でもみられたように、最多は「リビング内に家族はいるが、それぞれ別のことをしている時間が多い」(50%)で、ちょうど半数を占める結果に。次に「家族みんなで同じことをして過ごす時間のほうが多い」(34%)、「リビング内に家族はおらず、一人きりで過ごす時間のほうが多い」(10%)、「そもそもリビングで過ごす時間が少ない」(6%)と続きました。
ひと昔前のように、家族みんながテレビを見る団らん風景は減り、リビングという同じ空間で緩やかにつながりつつも、スマートフォンやタブレットなどそれぞれが思い思いのことをしてくつろぐ団らんスタイルに変化しているのでしょう。回答別に理由を聞いてみます。
「リビング内に家族はいるが、
それぞれ別のことをしている時間が多い」と答えた方
- 自室よりも広く、日当たりも良くて快適なのでなんとなく集まる
- 広さが十分あるので、同じ空間にいても程よい距離感で別々のことができる
- 居心地がいいので、お風呂に入る時間までは家族全員がリビングでそれぞれ好きなように過ごしている
「家族みんなで同じことをして過ごす時間のほうが多い」と答えた方
- 家族みんなで同じテレビ番組を見る
- 家族が家にいるときは、できるだけコミュニケーションを取ろうというルールがある
- 子どもが未就学児なので、一日の大半をリビングで過ごしている
「リビング内に家族はおらず、一人きりで過ごす時間のほうが多い」と答えた方
- 家族がリビングで過ごすのは食事の時間だけで、終わるとみんな2階の自室に上がる。私の部屋は1階なので、そのままリビングでゆったりと一人で過ごしている
- 複数人でくつろげるソファがない
- 家族それぞれの生活時間・スタイルが違うので、それぞれが一人で過ごすことのほうが多い
Q4.リビングをつくる中で、
こだわったのはどんなところですか?(複数回答)
リビングのこだわりについて尋ねたところ、「日当たりや通風」(56%)が首位に。快適性を左右する条件は譲れないポイントであることが分かります。次に「広さ」(41%)、「家事動線」(30%)、「開放感」(29%)と続きました。多目的な過ごし方をするリビングだけに、広い空間にこだわるのも納得です。下記に、こだわりポイントの詳細をまとめました。
日当たりや通風
- 南側の家が隣接しているため、日当たりを確保するために2階をリビングにした。広さや家事動線も確保できた
- 光熱費の削減と、在宅勤務中の採光を確保したかった
- オープンキッチンにしてリビングとの一体感を重視。南側と東側に大きな窓を設け、日差しと風通しを確保した
- 前に住んでいた家はちょっと薄暗かったり、狭かったりして家族みんなで過ごせなかった。今の家は日当たりが良く、白が基調で清潔感もあり、すごく広いわけではないが心地いい空間になっている
- 2階がリビングなので、日当たりや風通しもよく、観葉植物や家具類、ピアノ、オーディオの配置を詳細に検討し、快適に過ごしている
広さ
- リビングが広いので家具のレイアウトがしやすく、多目的に使える(リビングの広さは20〜25帖)
- 人を呼ぶ機会が増えることから、広さにはこだわった(リビングの広さは15〜20帖)
- 広くて快適だが、太陽光を効率的に利用しないと光熱費が高いのがネック(リビングの広さは20〜25帖)
- 家族みんなで過ごすので広さを重視した(リビングの広さは20〜25帖)
家事動線
- 同フロアに洗濯・洗面、お風呂、ベランダがあるので家事動線は良い。日当たりも問題なく基本的に過ごしやすい。床暖房があるので冬は暖かい
- 洗濯物を干す・取り込む動線と日当たりを考慮した。家具もフィットするかどうかを念頭に置いて決めた
- 平日は家事に割ける時間が短いため、効率的な家事動線を最優先とした
開放感
- 天井が高く、広々とした空間をキッチンから見渡せる
- 窓の向こうが公園なので開放感が感じられる
- 掃き出し窓を大きくした。気分転換に窓の外の庭を眺めている
- 起きている時間のほぼ全てを過ごす空間。自由にリラックスしたいので、余計な家具や物は置いていない
その他
- 玄関から2階への動線で必ずLDKを通るようにした。子どもと顔を合わせることを大事にしている
- 大型テレビの壁面収納にこだわり、オーディオ配線も隠した
- 長く過ごす場所なので床の素材にはこだわった。収納が足りないとよく耳にしていたので、十分な量を確保した
Q5.理想のリビングをつくる上で、
懸念となることはありましたか?(複数回答)
「特にない」が36%でしたが、残りの方は理想のリビングをつくる上で懸念があったようです。 最も多かったのが、「スペース的に可能かどうか」(37%)でした。「理想のリビングの広さと、実際の建坪の中でリビングに使える広さは別物」など、求めるリビングの広さを確保できるかどうかという懸念は、多くの方が抱えていたようです。
次に多かったのが、「掃除やメンテナンスがしづらくないか」(27%)という意見。「長く住むので、段差がないなど掃除のしやすさは大事」「吹き抜けの上部の壁や、天井窓の掃除の仕方はいまだに分からないが、今のところキレイに保っている」といった、現実的なポイントが挙げられました。
「予算が足りるかどうか」(26%)については、「あまりお金をかけずに、自分好みの家具・家電・インテリア用品をそろえるべく店に足を運び、ネットショップやリサイクルショップなどもリサーチしてがんばった」「リビングに収納が欲しいが、その分スペースを取ってしまうし、お金もかかるので悩んだ」という声がありました。
その他にも、「リビングは広いのが理想だが、そのために廊下が確保できなかったり、同フロアに洗面・お風呂・トイレを置けなかったりなど不便が生じそう。リビング横にパントリーが欲しいが都内でそれがかなうのか」「2階リビングだと階段の上り下りが必須。高齢になったときの不安がある」という意見もありました。
Q6.現在のリビングで改善したいところ、
後悔しているところはどんなところですか?
実際に住んでみると、図面からは感じ取れないさまざまなポイントが不満として上がるようです。
広さ
- やはりもう少し広いリビングが欲しい(現在は10〜15帖。夫妻+子ども)
- 造作の収納スペースがなく家具を置いているので、圧迫感を感じる
間取り
- 2階に上がる階段の位置が使いにくい
- テレビの位置が限定されてしまい、模様替えができないところ
設備
- 電源タップの位置。配置する家具や照明から慎重に検討するべきだった
- 床暖房が一部にしか配置されていないこと
- テレビボードを置くスペースが無駄。壁掛けできるようにすればよかった
- プロジェクターを投影できる壁紙にすればよかった
日当たり
- 日当たりが悪いので2階をLDKにしたが、高齢になった今は2階メインの生活が少し大変
- 1階がリビングだが湿気対策に苦労している。調湿壁紙にするべきだった
その他
- 広さを優先したため、空調の効きがいまひとつ(現在は15〜20帖未満)
Q7.今後家を建てるとしたら、リビングのどんなところに
こだわりたいですか?(複数回答)
1位は「日当たりや通風」(68%)。2位は「広さ」(57%)、3位は「収納」(43%)となりました。1・2位についてはQ4の「リビングをつくる中でこだわったポイント」と一致しましたが、ここで「収納」という回答が上位に浮上しました。家族それぞれが多機能な過ごし方をするリビングには、おもちゃや勉強道具、リモートワークの書類の収納場所や、パソコン・ゲーム機器・スマートフォン、タブレットなどの充電ステーションも必要になってくるでしょう。これらの収納場所の有無は、リビングの心地よさにも直結します。設計段階で収納スペースを検討しておけば、置き家具も最小限で済み、スペースを有効活用できるでしょう。
以下は、リビングづくりにおいて回答者がこだわりたい・工夫したいと考えたポイントについての詳細です。さまざまな意見が寄せられたので、ぜひ家づくりのヒントに加えてみてください。
- 家族全員が集まっても、適度な距離感を保てて気ままに過ごせる広さのリビングがいい
- 造作の収納で見た目はすっきりと、動きやすい動線も確保されていれば安全性が高く、部屋をキレイに保つモチベーションにもつながると思う
- 長く過ごす場所なので、明るく省エネが望ましい。気に入った素材で落ち着きたい
- 来客を最初に招き入れる場所なので、床材を高級感のあるものにしたい
- リモートワークに適したスペースと、動線を工夫したい
- 家の中は現状満足だが、外とつながり感が出せると理想的
- テレビで動画を見ながらエクササイズできる十分なスペースが欲しい
- 今は4LDKだが、1部屋を減らしてでも今度はリビングを広くしたい
- リビングの延長として使える屋外のバルコニーをつくりたい
- 20帖くらいの広さにして、日当たりと風通しを確保し、壁紙にもこだわりたい
- 日当たりは重要だが、床材などの日焼け・経年劣化による色や風合いの変化も計画段階で勘定に入れておきたい
- 今は2階リビングなので、今度は広々として明るい1階リビングにしたい
まとめ
リビングの居心地がよければ、家族が自然に集い、コミュニケーションの中心となるでしょう。とはいえ、広ければ広いほどくつろげるというものでもありません。広さが限られていても、家族それぞれが思い思いにくつろげる居場所がリビングの中に点在していれば心地よく過ごせるものです。
また、間取りや省エネ性能・空調設計といった家の構造にまつわるものは、家を建てた後の変更は難しいことから設計時にしっかりと検討しておきたいもの。理想のリビング空間を実現するためにも、住まいづくりを検討される際はさまざまなアイデアを持つ設計士に、ぜひご相談ください。