毎日の洗濯が大変すぎるので、いつか我が家を建てる時には
「ランドリールーム」を設置したい……そんな声をたびたび耳にします。
「ランドリールーム」とは、洗って干す、たたむ、しまうなど、
洗濯まわりの作業を効率良く行うための部屋やスペースのこと。
また、室内干し派の方にとっては、一日中干しっぱなしにできる空間が欲しい、
というご要望もあるでしょう。
今回は使いやすい「ランドリールーム」をつくるうえで気になる疑問に、
一級建築士の佐々木志穂がお答えします。
佐々木 志穂
大和ハウス工業愛知北支社住宅事業部設計課
主任 一級建築士
2002年入社。出産・育児休業を経て復職後、仕事、家事、育児に追われながら、家事はできる限り「時短」+「楽に」を求める毎日。近年はキャリアを生かし、大型物件やコンビネーションハウジング等を担当。自身の経験を踏まえ「生活者の視点」による設計提案を心掛けています。
Q. どれぐらいの広さが必要?
A. 少しのプラスアルファで洗濯が一段と楽に
ランドリールームの広さに、○m²など明確な基準はありませんが、考え方としては「広すぎず狭すぎず」がベスト。
広ければ作業がしやすく収納も大きくとれますが、濡れた衣類を物干し場へ運ぶ時や、取り込んだ衣類をしまう際の移動距離も長くなるというデメリットが。広さにこだわるよりも、無理なく動けて、収納しやすい空間にすることを意識しましょう。
例えば写真のように、床面積は広くないけれど、タテの空間を有効活用して作業スペースを確保するケース。物干しは昇降式にして、天井近くまで上げてしまえば、下に備えつけた台の上で、取り込んだものをサッとたためる効率的なラインが生まれます。
少しのプラスアルファ的空間を足すことで作業がぐっと楽になり、毎日のように続けていく洗濯の時間やストレスを減らしてくれます。
Q. どんな収納が必要?
A. 脱いだ服を分類できるランドリーバッグや、タオル・下着類の収納場所があると便利
ランドリールームはなるべく浴室や洗面所と隣接してつくると便利。帰宅後、部屋着に着替える時に、汚れ物をそのままランドリーバッグへ投入する流れができます。リビングなどで衣服が散らかるのを防止できるばかりか、汚れ物の分類もできて一石二鳥です。
関連記事:効率的でストレスフリーな洗濯を!理想の洗濯動線を追求したら、こんな家になった
また、洗面所とランドリールームの間に、下着類やタオルを収納できる棚をつくるのもおすすめ。毎日使う下着やタオル類は数や種類が多く、家族それぞれの分に仕分けるのも手間がかかります。この棚(写真)ならば、両側からアクセスできるので、洗い終えたあとの仕分けや収納も楽々行えます。
Q. 物干し場との位置関係は?
A. 隣接する物干し場のほか、あらかじめ室内干しの設備をつけるのもおすすめ
洗い終えた衣類は、当然ながら水を含んで重たくなっています。干す場所は洗濯機から近ければ近いほど良いため、物干し場はランドリールームと隣接した所につくりましょう。
しかし、間取り上ランドリールームと物干し場を近づけるのがどうしても難しいケースもあります。また、共働きなどで家を留守にしている日中に乾かしておきたい、共働きなのでそもそも夜に洗濯する、というご家庭も。
そのような場合には、あらかじめ室内干しの設備をつけることをおすすめします。近年では室内干し用の洗剤や浴室乾燥機、湿度を調節する壁材など、室内干しを助けるアイテムや設備が普及しています。室内干しに抵抗をお持ちの方も多いですが、きちんと乾かせる空間を整えておけば、天気を気にせずいつでも干すことができる点は大きなメリットです。
Q. 湿気対策はどうするの?
A. 窓の配置を工夫して、空気の通り道を確保
ランドリールームに洗濯物を一日中干しっぱなしにしたいけれど、室内干しはやはり湿気が気になるという声も多くあります。特にあの生乾きのイヤなニオイがつくのだけは絶対に避けたいですよね。
まず、水まわりの部屋には必ず換気扇を設置し、在宅時は窓を開けるように。 それでも間取りや立地上、湿気が気になるという方は、空気の通り道を確保するようにしましょう。ランドリールームの窓から浴室の窓など、窓から窓へと空気の抜け道ができれば、湿気も自然と外に流れていきます。
Q. アイロンがけをするにはどれぐらいの広さが必要?
A. アイロンだけは別の部屋で行うなど、自分にあった動線を
アイロンがけは大きな台が置けるスペースを必要とし、また家事の中でも比較的時間のかかる作業。これをランドリールームで黙々と行うのはどうなのでしょう?水まわりのスペースに閉じこもって、長時間の作業をするよりは、アイロンをリビングや和室などへ持ち込んで家族との会話を楽しみながらかけている、というご家庭もあるようです。
このように、ランドリールームの中だけで洗濯まわりの作業をすべて行う必要はありません。アイロンがけなどの時間がかかる作業は、リビングなどで家族と触れ合いながら、また、テレビや音楽を楽しみながらゆったりと行えば、洗濯の煩わしさやストレスも和らぎます。せっかくつくった空間がデッドスペースにならないよう、普段のライフスタイルなども考え合わせて、洗濯作業の動線を確立していきましょう。
まとめ
洗濯まわりの家事を楽にしてくれるランドリールーム。
スペースに限りがある場合も、少しの工夫で、使いやすい空間にすることができます。
間取りはもちろん、家族のライフスタイルや、大切にしている価値観も考慮しながら、より快適に、気持ちよく暮らせる住まいをつくっていきましょう。