「くらしのレター」vol.105〈住まいかた 暮らしかた〉の「夏の日は、スパニッシュでひと味違うおもてなし」では、料理・菓子研究家の田島裕美子さんに、気のおけない友人たちを招いて楽しめる「気軽なスパニッシュ」をテーマにしたメニューを教えていただきました。掲載されている料理のレシピをご紹介します。
テーブルの中央に並べた前菜2皿。いずれも取り分けやすくカットしてあるので、各自で取り皿へ。じゃがいものトルティージャ(下写真右)といわしのエスカベッシュ(下写真左)
いわしのエスカベッシュ
いわしにカレー粉をまぶして揚げ、野菜と一緒に甘酢に漬け込んだ南蛮漬け。パーティーのオードブルとして食べやすいようパンにのせてカナッペに(写真左)。
材料(4~5人分)
- いわし … 8尾(250g)
- 玉ねぎ(薄切り) … 100g
- にんじん(せん切り) … 80g
- ディル … 2本
- 強力粉(なければ薄力粉)、カレー粉、揚げ油
- 【マリネ液】
- 白ワインビネガー … 60ml
- 水 … 50ml
- 塩 … 小さじ1/2
- 砂糖 … 大さじ1強(10g)
- オリーブオイル … 大さじ2
作り方
- (1)いわしは手開きにして、水洗いし、水分をしっかり拭き取る。一口大に切り、強力粉とカレー粉をまぶし、余分な粉ははらう。
- (2)180℃の油で、(1)をこんがりきつね色になるまで揚げる。
- (3)マリネ液を作る。鍋にオリーブオイルと玉ねぎ、にんじんを入れて中火で炒める。香りが出たら、白ワインビネガーと水を加え、沸騰したら塩と砂糖を加えて混ぜ、ひと煮立ちさせる。
- (4)(3)を(2)にまわしかけ、粗熱が取れたら、ディルを加える。冷蔵庫で冷やし味をなじませる。
※そのまま食べてももちろんOK。写真のように軽くトーストしたパンにサワークリームとはちみつを塗り、その上にのせてカナッペにするのもおすすめ。
じゃがいものトルティージャ
卵が半熟状になったところへじゃがいもとマッシュルームを加えて焼き上げた、ボリュームたっぷりのスペイン風オムレツ。
材料(6~8人分)
※直径16cmのフライパン使用
- じゃがいも(ごく薄くスライスする) … 100g
- マッシュルーム(スライスする) … 3個
- 卵 … 4個
- 生クリーム … 50ml
- オリーブオイル … 適量
- 塩、こしょう、ナツメグ
作り方
- (1)フライパンにオリーブオイルとじゃがいもを入れ、塩少々をふり、炒める。マッシュルームも加え、じゃがいもがやわらかくなったら取り出す。
- (2)ボウルに卵と生クリームを入れて溶きほぐし、塩・こしょう・ナツメグ各少々を加え混ぜる。(1)のフライパンに流し入れ、半熟になるまでかき混ぜながら弱火で焼く。卵が固まる前にじゃがいもとマッシュルームを加え、卵と混ぜなじませる。
- (3)ふたをして弱火で5分蒸し焼きにする。裏側も同じように5分蒸し焼きにする。
ロシア料理のボルシチで知られるビーツはサトウダイコンの仲間。栄養価が高く今注目の野菜です。鮮やかな色が特徴でほんのり甘さを感じます。パーティーに出せば、ちょっと自慢できそうなおしゃれな一品です。
材料(6~8人分)
- ビーツ … 100g
- トマト … 100g
- ビーツのゆで汁 … 100ml
- 塩 … 小さじ1/2
- ビネガー … 大さじ1
- オリーブオイル … 適量
作り方
- (1)ビーツは皮をむいて薄くスライスし、ひたひたの水で5分ほどゆで、粗熱が取れたらざるに上げる。ゆで汁はとっておく。
- (2)トマトはへたを取り除き乱切りにする。
- (3)ビーツ、ビーツのゆで汁、トマトをミキサーにかける。
- (4)(3)をざるでこし、ビネガーと塩を加え、味を調える。冷蔵庫でしっかり冷やし、食べるときにオリーブオイル少々をかける。
えびから取ったフォン(だし)で煮込めば、お米に旨みが染みて美味。
出来たてを鍋のままテーブルに出せば、見た目も豪華で盛り上がります。
材料(2~4人分)
※直径24cmのパエリア鍋またはフライパン使用
- 【えびのフォン】
- 有頭えび … 4尾
- オリーブオイル … 大さじ1
- 白ワイン … 大さじ2
- 水 … 500ml
- 玉ねぎ … 1/4個
- セロリ … 1/4本
- にんにく … 1かけ
- 塩 … 小さじ1/4
- こしょう … 少々
- サフラン(あれば) … ひとつまみ
- 【パエリア】
- 玉ねぎ(みじん切り) … 50g
- にんにく(みじん切り) … 1かけ分
- 米 … 150g
- トマトピュレ … 15g
- えびのフォン … 300ml※
- オリーブオイル … 大さじ2
- あさり … 200~300g
- レモン(くし切り) … 1/2個
- イタリアンパセリ … 適量
※えびのフォンの代わりに、市販の固形(顆粒)ブイヨンを湯に溶かしたものでもよい。
作り方
- 【えびのフォンを作る】
- (1)有頭えびの頭を取り、殻をむく。
- (2)鍋にオリーブオイルを入れ、えびの殻と頭のみを中火でこんがり炒める。
- (3)白ワインを加え、アルコールを飛ばして、水と玉ねぎ、セロリを切らずにそのまま入れる。沸騰したら弱火にして30分煮る。
- (4)(3)をこして、ヘラなどで押さえて旨みを出し、塩とこしょうで味を調える。300mlを計り、サフランを加えて色を出す。
- 【パエリアを作る】
- (5)パエリア鍋またはフライパンにオリーブオイルと(1)のえびを入れて中火で炒め、こんがり両面が焼けたら取り出す。
- (6)玉ねぎとにんにくを入れて炒め、香りが出たら米を加え、透き通るまで混ぜながら炒める。
- (7)トマトピュレを加えて混ぜ、熱した(4)を加えて、ヘラで鍋底をかき混ぜながら中火で約5分煮る。
- (8)全体にとろみがついてきたら弱火にし、(5)とあさりをのせ、アルミホイルをしっかりかぶせ、パチパチと音がするまで15分ほど煮る。一度お米を食べてみて芯がなければ、さらに弱火にして3分ほど煮て、お米に焦げ目をつける。火を止めて5分ほど蒸らし、アルミホイルを外して、レモンとイタリアンパセリを飾る。
スペインの夏の定番、サングリア。好みのフルーツをワインに漬け込むだけ。
フルーティーで甘く、飲みやすく、安いワインや残ったワインでもおいしく作れます。
リキュールを加えて風味よく、またシナモンやクローブなどスパイスを入れても。白ワインに桃や柑橘を合わせるなど、アレンジも自在です。
材料(つくりやすい分量)
- 赤ワイン … 1本(750ml)
- オレンジ … 3個
- りんご … 1個
- パイナップル … 1/4個
- キウイフルーツ … 2個
- はちみつ … 50~100g
- オレンジリキュール … 大さじ1
作り方
- (1)フルーツは皮をむき、それぞれ好みの大きさに切る。
- (2)容器にフルーツ、はちみつ、オレンジリキュールを入れ、赤ワインを注ぎ入れる。
- (3)冷蔵庫で一晩から1週間漬け込む。約1週間保存可能。
暑い季節は、まずは冷たいドリンクでおもてなし。ふだんから作り置きしておけば重宝する、ちょっとおしゃれな簡単ドリンクを教えていただきました。
「お客さまはもちろん、外出先から帰ってきたときに、さっぱりと汗がひいていいですよ」
レモネード
甘酸っぱさが爽やか。夏バテ気味のときにも元気がでそうです。「皮ごと使うのでレモンは国産のものを使用してください」
作り方
- (1)きれいに洗った国産レモンを輪切りにし、レモンと同量の砂糖もしくは蜂蜜を一緒に容器に入れ、冷蔵庫でひと晩漬ける。
- (2)好みの濃度に、水もしくは炭酸水で割って飲む。
ハーブウォーター
フレッシュなハーブを水出しで楽しみます。「料理教室の生徒さんにも好評の定番です。さっぱりとしてとても喜ばれます」
作り方
容器に、きれいに洗ったミントとレモングラス、レモンバーベナなど、お好みのハーブを入れ、水を注ぎ、冷蔵庫でひと晩冷やしておく。ミントだけでもよいが、いろいろなハーブを組み合わせて楽しんでも。
料理・菓子研究家。兵庫県芦屋市にてフランス料理ベースの家庭料理と洋菓子の教室『ユヌ・プティ・メゾン』を主宰。
ケータリングや雑誌などでも活躍。
2017年4月現在の情報となります。