暮らしにいろいろな色を
人が健康に暮らすために必要な太陽の光は「赤・橙(だいだい)・黄・緑・青・藍・紫」の7色からできています。そして、色は人の心や体にさまざまな影響を与えます。それは視覚だけでなく肌でも感じるといわれ、目隠しして赤い部屋に入ると血圧や呼吸数が上がり、青い部屋では下がるという実験結果もあるそうです。それぞれの色が持つ効果を知ることで、私たちの暮らしに役立てることができます。
色彩心理効果を生かす
ファッションでは、自分に似合う色を身につけて健康的に美しく見せることはもちろん、色彩心理効果を利用して、人の気持ちに影響を与えることもできます。例えば、自身を強く主張したいときは「赤」、親近感を与えたいときは「黄」を身につけるとよいでしょう。また、このような色の効果を住まいにも取り入れて、心地よい空間をつくることもできます。例えば、リビングにはコミュニケーションを活発にする「橙」、寝室には安眠を誘う「青」、子ども部屋には好奇心を育む「黄緑」など、どのように過ごしたいかによって、色を選ぶとよいでしょう。さらに、同じ色でも明るさや鮮やかさによって、気分が落ち着いたり、高揚するなど、受ける影響は異なります。
バランスよく配色する
色には「色相」「明度」「彩度」があり、それらをうまくコントロールすることで、カジュアルやゴージャスなど好みの雰囲気を演出することができます。その際に大切なのが「トーン」といわれる色の調子です。例えば、赤でも、パステル調の明るいピンクや暗く濃いボルドーなど、いろいろな色があります。色数が多いときは、トーンをそろえるとまとまりやすく、バランスよくコーディネートすることができます。
●家族でくつろぐ、リビング
「橙」や「黄」は、コミュニケーションを活発にする色。トーンを落として、「キャメル」や「こげ茶」を使うと、落ち着いた雰囲気になります。
●ぐっすり眠れる、寝室
上質な眠りを誘うといわれる「青」を、ベッドカバーやカーテンなどに取り入れてみましょう。目が覚めたとき、視界に入る位置に「赤」を配置すると、目覚めがよくなります。
●好奇心を育む、子ども部屋
「青」や「緑」などは勉強に集中できるといわれますが、ワクワク感があり、生命力を表す「黄緑」もおすすめです。好奇心を育み、前向きな気持ちにしてくれます。
色彩をインテリアに上手に取り入れるヒント
どんな部屋にしたいのか
イメージを膨らまそう
インテリアを考えるとき、まずはどんな部屋にしたいのか明確なイメージを持つことが大切です。雑誌やインスタグラムなどから、自分の好きな画像を探してみましょう。例えば、北欧風がいいと思っていても、実際にはそのスタイルと自分の好みが違っているかもしれません。スタイルにとらわれず、自分の好みのイメージを見つけましょう。
部屋全体を見渡してコーディネートしよう
どんな部屋にしたいのかイメージが決まったら、部屋全体を見渡してみましょう。例えば、明るいイメージの部屋にしたいと思っても、床や壁、ソファやテーブルなどを変えるのは難しいもの。そんなときは、カーテンやラグ、ソファのカバーリングなどに淡い色を取り入れてみましょう。そして、その色を中心にコーディネートしていきます。床、家具など1つずつの色にこだわるのではなく、部屋全体のイメージをトータルで考えましょう。
ファブリックの柄や色を生かして
インテリアを楽しむ
カラフルな色使いにチャレンジしにくいという方は、アクセントとして小物などに取り入れることから始めてみましょう。敬遠されがちな柄物のカーテンですが、意外とコーディネートが簡単。カーテンの柄の中の色を選んでクッションや小物に使うとおしゃれにまとまります。また、無地のカーテンの場合は、濃いめの色を選ぶと、開けたときと閉めたときで部屋の雰囲気が一変し、昼夜の変化が楽しめます。
照明の色にもこだわってさらに快適に
照明の色によって、同じ物でも温かみのある色に感じたり、冷たい色に感じたりすることがあります。例えば、赤みを帯びた電球色の方が、青白い昼光色より、料理がおいしく見えます。また、読書のときは昼白色、くつろぐときは暗めの電球色というように、明かりの色や明るさを切り替えられる調色タイプの照明器具を取り入れると、シーンに応じて快適な空間を演出することができます。
カーテンの柄の色とクッションなど小物の色をコーディネート。多色使いでも統一感が出る。
鮮やかなカラーのロールスクリーンを下ろせば、部屋の雰囲気ががらりと変わる。
ダイニングとリビングが同じ空間にある場合、照明の色は統一した方がよい。ただし、リビングは本を読むなど作業スペースにもなり、電球色が不向きな場合もあるので、調色タイプの器具がおすすめ。
色の基本を知っておこう!
色の三属性とは
色にはそれぞれの性質を表す「色相」「明度」「彩度」の3つの属性があります。「色相」とは、赤・黄・緑・青のような色のことをいいます。これをリング状に並べたものが「色相環」で、向かい合わせに位置する2色が補色になります。そして、「明度」と「彩度」の組み合わせで表した色の調子を「トーン」といいます。
配色のポイント
多数の色を組み合わせる際、同じような色相やトーンでまとめると統一感が出ます。個性的な雰囲気にしたいときやアクセントを効かせたいときは、トーンの違う色や、補色など色相の違う色を組み合わせるとよいでしょう。
株式会社COLORHOUSE
代表取締役 廣田 リカさん
二級建築士・インテリアプランナー・カラーコンサルタント。インテリアデザインのプランニングのほか、色彩を扱うスペシャリストとしてカラーコンサルティングも行う。
2019年1月現在の情報となります。