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住まいコラム vol9. 人の心を動かすロボットたち。

vol.9  人の心を動かすロボットたち。

アニメの世界から現実へ

1950~60年代、白黒テレビの前に集まった子どもたちは、平和のために悪と戦うロボットの活躍に胸を踊らせていました。それから半世紀。アニメでおなじみの人型ロボットが普及するには、まだ時間がかかりそうですが、かつて夢物語だったロボットは、現実世界のいたるところで活躍しています。オフィスや店舗で働くロボット。工場で作業するロボット。海中や宇宙、災害現場など人が行けない場所で活動するロボット。2013年の今、私たちの日常にどれほどロボットが入りこんでいるのか、その一端をのぞいてみましょう。

家事支援やコミュニケーションを行う
家庭用ロボット

家庭用ロボットでヒットしたものといえば、世界で数百万台も売れた自動掃除機ロボット。忙しい共働き家庭や高齢者のご家庭で大いに重宝されているようです。
動物や人形のかたちをしたコミュニケーションロボットも、昔からよく目にするロボットです。アザラシの赤ちゃんをモデルにしたメンタルコミットロボット「パロ」は、名前を呼ぶと反応したり、キューッと鳴きながら首を動かして、自閉症の子どもたちや認知症の高齢者などのセラピーに効果を発揮。ギネスブック(2002年)に「世界でもっともセラピー効果があるロボット」として認定されています。

メンタルコミットロボット「パロ」
  • ※「メンタルコミットロボット」は独立行政法人産業技術総合研究所の登録商標です。
  • ※「パロ」は株式会社知能システムの登録商標です。

オフィスや医療施設、店舗などで使われる
サービスロボット

サービス業で活躍するロボットは、まさに千差万別です。オフィスビルや店舗には来客を迎える案内ロボットや安全を見回る警備ロボット、お寿司屋さんではシャリを握る寿司ロボットが活躍中。原発事故の現場にはカメラや水位計などのセンサーを搭載したレスキューロボットが投入されました。そんなモニタリングロボットは、建築業界にも登場しています。狭小空間点検ロボット「moogle(モーグル)」は、狭い・暗い・動きにくい建物の床下を人に代わって点検するロボットです。

狭小空間点検ロボット「moogle」

※「モーグル」「moogle」は大和ハウス工業株式会社の登録商標です。

医療・福祉現場では、数億円もする手術支援ロボットや薬の調剤を支援するロボット、リハビリ用ロボットが導入されつつあります。自立動作支援ロボット「ロボットスーツHAL®福祉用」は、脚に障がいを持つ人や脚力が弱くなった人の脚力や歩行をサポート。患者さんの「歩けた!」という喜びに触れ、スタッフもとても感動するそうです。

自立動作支援ロボット「ロボットスーツHAL®福祉用」

※「CYBERDYNE」「ロボットスーツ」「ロボットスーツHAL」「HAL」は、CYBERDYNE株式会社の登録商標です。

いまやロボットは、私たちの身近な生活空間でも、医療や産業の最前線でも、さまざまなサービスや労働力を提供してくれています。少子高齢化で働き手が減っていく日本にとって、ロボットたちは、これからますます心強いパートナーになってくれることでしょう。

日本を救う介護・福祉ロボット

日本人の平均寿命は、2011年の簡易生命表によると、男性が79.44歳、女性が85.90歳。しかし、長寿を喜んでばかりはいられない現実があります。あるデータによると、男性で60歳を過ぎて死ぬまで元気な人は約1割しかおらず、70歳を過ぎると助けが必要になる人が約7割、70歳くらいから寝たきりになる人が約2割いるそうです。女性は70歳あたりから助けが必要な人が約9割、寝たきりになる人が約1割でした。

自立度の変化パターン-全国高齢者20年の追跡調査(N=5715)-拡大する

また、老老介護も問題化。2010年度には、介護者の6割以上が60歳以上という厚生労働省の報告が上がっています。夫婦ともに認知症になる例も多く、2012年のWHOの報告書によると、世界の認知症患者は2010年時点で3,560万人、2050年時点には1億1,540万人になる見通しだとか。その半数強を日本や中国などアジアが占めています。

医療技術の進歩で寿命は伸びましたが、できれば「健康寿命」も伸ばせたら…。そのためには予防医療や介護予防に力を入れ、QOL(Quality of Life:人生や生活の質)を上げていかなくてはなりません。大和ハウスは、少子高齢化や老老介護、認知症などの課題を解決するため、2008年からロボット事業に取り組んでいます。その想いや活動について、理事 ヒューマン・ケア事業推進部の田中に話を聞きました。

ロボットでどんなことができますか?

理事 ヒューマン・ケア事業推進部長 田中一正

大和ハウスのロボット事業には、2つの目標があります。1つ目は、自立度が低下した人の自立度を再び向上させること。2つ目は、認知症の人に穏やかな生活を過ごしてもらうこと。

1つ目の自立度の向上は、自立動作支援ロボット「ロボットスーツHAL®福祉用」がひとつの答えになると考えています。これは現在、日本全国で140を超える医療・介護施設に導入されています。

2つ目の認知症の人を支えるのが、メンタルコミットロボット「パロ」です。アメリカのFDA(食品医薬局)に医療機器として認証されたロボットで、世界30ヵ国に約2,400体も普及しています。実際、抑うつや徘徊といった認知症の周辺症状が、パロとの触れ合いで半減したという報告もあります。
日本では、認知症の人が精神科や心療内科の病院に入院されるケースが非常に多い。薬代、ひいては医療保険の費用も莫大になります。パロを導入すると、うつが改善されたり、血圧が安定します。黙って座っていた認知症の人たちが、パロを通じてコミュニケーションをとるようにもなる。パロをはじめ、適切な支援があれば、認知症の人でも地域社会で質の高い生活を送ることができると考えています。

これからの目標は?

私には、常々言っていることがあります。「ロボットテクノロジーを活用して“人が心豊かに生きる理想の社会”を提供する“未来生活共創事業”を目指します」と。一番重要なのは「心豊かに」ということです。ロボットは機械ですから冷たい印象がありますが、私はロボットを使って人の心理に温かい影響を与える仕事がしたいと思っています。たとえば認知症の人でも、「パロ」と触れ合うことで穏やかな生活ができる。「ロボットスーツHAL®福祉用」を使って、立てなかった人が立てるようになり、リハビリテーションに対する意欲が上がる。あるいは、足が全く動かないからとあきらめていた人が「なんとかなるんじゃないか」と望みを持つ。高齢者の人でも、障がいのある人でも、誰もが心豊かに暮らせる社会を創ることが、私たちの夢です。

日本では、「施設から在宅へ」という国の方針のもと、在宅医療・介護を重視する流れが強まっています。ですが、これから人口が減ると介護に携わる働き手も減り、家で介護する家族はますます高齢になり…と問題は山積み。その解決策として期待されているのが、生活や介護を支援するロボットです。歳をとってもできるかぎり自立した暮らしを続け、周りの家族も笑顔を絶やさずにいられたら、どれほど幸せなことでしょう。ロボットは、白黒アニメの時代からずっと、私たちに夢を見せてくれるヒーローなのです。

今回のコラムについてのご意見・ご感想があればお聞かせください。
メールマガジン会員の皆様から寄せられたご意見・ご感想を一部ピックアップして紹介します。

  • 既に高齢社会に入っている日本は、介護の問題が身近になってきています。安心して、老後が暮らせるシステムつくりに、役立ててもらいたいです。(60代 男性)
  • 介護に使えるロボットがあるのは知りませんでした。介護は大変です。する側もされる側もどちらも無駄な動力がなく快適にできれば素敵です!!このロボット見てみたいです。(50代 女性)
  • 介護をしてる立場から思う事はたくさんあります。排泄ロボットはとても便利だと思いました。でも、夜中のオムツ交換がなくなっても体位転換は必要なので、結局、夜中に起きないといけないと思います。後、排泄に限らず、体位転換など力がいるような動作も一人でも楽にできるようなロボットがあれば老々介護をされている方は喜ばれると思います。(80代 女性)
  • 昨年まで義父を自宅介護しておりました。自宅介護と一言でいっても、なかなか大変なものです。自宅で共に暮らせる嬉しさと、やはり心身の疲労は伴います。介護する側もされる側もお互いが少しでも楽になれるロボットがこれからの自宅介護を支えてくれるのだと思います。(30代 女性)
  • ロボット事業が成功することで助かることが沢山あるのだと改めて思いました。コラム面白かったです。また、勉強になりました。(20代 女性)
  • ロボットなんて・・と思っていたけどロボットの存在を見直しました・・楽しいコラムでした。(30代 女性)
  • 医療関係者として興味深いです(40代 男性)
  • 父親の介護をしているので、介護ロボットはとても有り難いお話でした。父親にも話をしたら「すごいなぁ~」と笑っていました。(40代 女性)
  • もし、両親や親戚の方々が、介護等、必要になった時に、薦めてあげたいです。(50代 女性)
  • 介護は皆が抱える大きな悩みですが、排便ロボットは介護者にとっても、非介護者にとってもとても有り難いものです。お互いに気楽になれるという事は、長く続く介護の大きな助けとなると思います。(50代 男性)
  • 凄く画期的な話と感じ、興味を持ちました。現実化すれば、素晴らしいことですね。今後も、より良い情報提供を、期待しています。(40代 男性)
  • 印象としてはネガティブな介護用のトイレが、利便性はもちろんのこと、今はこんなにシンプル・おしゃれなものなのだなあと感心致しました。(30代 女性)
  • ダイワハウスのロボットを初めて知りました。イメージ的にロボット人型or動物型を想像していまいますが、今もこれからも認識はされにくいけどロボットが活躍する場面が多くなっていきそうだなと思いました。(20代 女性)
  • いずれ我々も介護が必要になるかもしれない。家族に迷惑をかけたくもない。そうゆう意味でもロボットなら気も使わなくていいので早く実用化出来るように期待したい。(50代 男性)
  • 今回のコラムはアニメの世界から現実へも日本を救う介護、福祉ロボットも大変良いテーマでよかったです。ネットの記事でたまたま日本のロボット技術の記事を読みロボットについて興味を持ち始めていました。テーマが興味と合うことで関心が高くためになりました。テーマもよく読んでみたくなる気持ちも高まります。今後に期待しています。(40代 女性)
  • 私は父親の介護をしています。また、私のまわりの人もご主人やお父様の介護をされていらっしゃる方がたくさんおられます。私の母親が私の祖父母を介護してた時より、今の方が介護は楽になったと思います。今回のコラムを見てもそう思いました。でも、3月11日に思った事があります。寝たきりの家族を連れて逃げる方法はどうすればいいのか?という事です。いざという時に力が弱い女性でも寝たきりの家族を連れて逃げる事ができるロボットがあれば良いと思いました。(40代 女性)
  • 排泄行為は人間の尊厳を守る意味で最も重要なことで、 それが他人にお願いすることなくロボットがやってくれるとなるとすばらしい。気兼ねなく、介助する側・される側の負担を考えると早く普及することを願っています。(60代 女性)
  • ロボットは、未来のことだと思っていましたが、現実的になってきましたね。(30代 女性)
  • 今後、高齢化社会がいっそう進むと思われるので、介護・福祉ロボットの進化も飛躍的に向上するのではないか、とコラムを読んで感じました。(40代 男性)

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大和ハウス工業のロボット事業 誰もがいきいきと心豊かに暮らすために人とロボットの心豊かな共生を目指して。大和ハウス工業のロボット事業 誰もがいきいきと心豊かに暮らすために人とロボットの心豊かな共生を目指して。

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