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スタッフからの現地便り

思い出の中で変わらない玩具を作る 「工房みやじ」

  • 更新日:2012年01月15日
  • カテゴリ:周辺情報

  正月気分が収まって節分が近づくと、平野に春を告げる、鹿児島神宮初午祭の準備が始まります。
 640年以上前から続くと言われる伝統行事・初午祭の主役は、鈴かけ馬です。首にたくさんの鈴をかけ、色とりどりの飾りを付けて着飾った馬が軽快なステップを踏んで躍ります。
 

 三味線や太鼓に合わせて、人馬一体になって繰り広げられる祭りは明るく賑やかで、本当に春を呼ぶに相応しい祭りです。

 

 

 

 その鈴かけ馬である御神馬を飾る玩具として生まれた初鼓(ポンパチ)の、制作現場を訪れてみることにしました。
 鹿児島神宮に受け継がれる信仰玩具。「工房みやじ」は隼人町の宮内地区、街並みから少し入った田園風景の中にあります。初午祭の歴史とともに歩んで来たために鹿児島神宮との関わりは深く、神宮から1キロメートル以内に居を構えるという暗黙の了解に従って
きたそうです。代々、鹿児島神宮に納めるための9種類の信仰玩具を作る家柄です。現在では鹿児島県指定伝統工芸品の店としての指定も受けました。








 
 

 工房を訪ねると、にっこり優しい笑顔で迎えてくれたのは、森山かおりさん。お母さんの花見ユリ子さんと共に、伝統玩具の「工房みやじ」を支える心強い跡取り娘さんです。
 

 
 

 木の香りが溢れてくるような明るい工房の中には、カラフルなポンパチがいっぱい並んでいた。中に特大サイズの大きな物もあり、尋ねると、躍る鈴かけ馬の背を飾るものとのことです。


 

 
 元々は御神馬の鞍を飾るために作られた豆太鼓が、祭りに参加する人々に請われて、可愛い初鼓(ポンパチ)となり子ども達の手に渡るようになったといいます。ポンパチに使われる色は黄色と赤と緑が基本です。鮮やかな朱や黄色は魔除けの色として子ども達を病から守り、健康でありますようにと願いを込めて渡されます。
 
 
 
 
 
 
 
  

 
 初めて知りましたが、ポンパチの表は赤い鳥居で、馬の絵は裏なのだそうです。描かれている馬の絵も一様ではなく、様々な姿かたちがあり、愛らしい馬の目が見る人の気持ちを和ませてくれます。手造りの良さだろうと思いながら、竹で形を作るところから和紙をピンと張り絵を描くまで、すべてが細かい指先を使う仕事であり、根気がいるのだろうとその大変さに思いあたりました。
 森山かおりさんは郷土玩具を作る家に生まれ、幼稚園の頃から遊び気分で色付けを始めたそうです。中学・高校の頃には家の手伝いとしてありましたが、本格的に仕事に取り組むようになったのは10年ぐらい前から。「まだまだひよっこで、父や母から叱られながらしています。」と柔和に微笑みながらも、ポンパチの由来や自身の仕事について話す口調には頼もしさが感じられました。
 五穀豊穣や家畜の安全など農民のお祭りから発達して、人々の病気や災いを祓う祭りの初午祭。子ども達の健康を願いながら、身を守る魔除けのポンパチを、今年もみんなで威勢よく、ポンポン・パチパチ鳴らしたいなあ・・・。

今年の初午祭は2月12日鹿児島神宮にて開催されます。

 工房みやじ
 霧島市隼人町内山田3-21-20
 TEL0995-42-3205

■交通アクセス ロイヤルシティ霧島妙見台より約10㎞(車で約15分)

■上記の写真はすべて平成24年1月に撮影されたものです。

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