「♪夏も近づく八十八夜~野にも山にも若葉が茂る~♪」と唱歌にあるように、もうじき立春から数えて八十八日目、一番茶の茶摘の時期です。
お茶がひと冬越えて栄養を蓄え、今年初めて新芽を出す4月~5月。滋味も香味も豊かな良質の茶葉を摘むことができるそうです。古くから八十八夜に摘んだお茶の葉は極上とされ、八十八と末広がりで縁起の良いこの日にお茶を飲むと寿命が延びるといわれてきました。
また、一年間無病息災で元気に過ごせる、長生きできる等、縁起のよい言い伝えもあります。晩春から初夏にかけて茶の新芽が伸びる時期に、新芽を摘み取る農作業は、日本の伝統的な風物詩でもあります。
今では機械化が進み、絣の着物に頭に手ぬぐい、赤い前掛け姿の茶摘み娘は見られませんが…。
霧島市は県内有数の茶どころ。霧島連山の麓が「霧島茶」のふるさとです。地名の由来にあるように、霧島市の高地では季節によって霧が大変多いので、この地で育つ茶樹に天然のミストとしてかかることによって、品質のよいお茶ができるとか。またこの土地が持つ、ミネラル豊富な土壌、山から湧き出る清らかな水、寒暖の差が激しい気候など、良質なお茶づくりの条件を満たしているそうです。地域には、数多くの茶栽培農家や製茶工場があり、昔から香り高いお茶を育んできました。あまり知られていませんが、過去に天皇賞、農林水産大臣賞、産地賞などをたびたび受賞しています。平成22年度の第64回全国茶品評会では、普通煎茶30キロ部門で産地賞1位を獲得し、平成23年度65回全国茶品評会でも、2年連続の産地賞1位を受賞したほどです。
その霧島茶のルーツとも言えるのが、かつて霧島の牧園地区にあった樹齢300余年の大茶樹です。江戸時代初期に植樹され、高さ約4.5メートル、枝張りが南北に9.6メートル、東西に7.5メートルにも達するほどに成長したその木は「霧島大茶樹」と呼ばれていました。大茶樹から採れた煎茶は“不老長寿のお茶”として珍重され、霧島神宮などに奉納されていたそうです。
現在は、この大茶樹から挿し木をして成長したという「二代目・霧島大茶樹」が現存しています。こちらも樹齢およそ130年、高さ約4.5メートル、枝張り約6メートルと大きなもので、霧島茶のシンボルとして地元の皆さんから大切に守られています。
霧島大茶樹公園
霧島市牧園町持松690-2
■交通アクセス ロイヤルシティ霧島妙見台より約4km(車で約6分)
■上記の写真はすべて平成24年4月に撮影されたものです。