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スタッフからの現地便り

滝の恵みから日本の近代化を支えた産業遺産 ― 伊佐市「曽木の滝」「曽木発電所」

  • 更新日:2014年07月31日
  • カテゴリ:周辺情報

 今回のテーマは、滝と発電所です。
                                                                   
  東洋のナイアガラと称される
伊佐市「曽木の滝」へ出かけてきました。

 高さ12mと落差はありませんが、
滝の幅は210mと広く、四方八方から流れ落ちる瀑布は迫力満点で、不思議な光景です。

 曽木の滝公園にはお土産品やお食事処が軒を並べます。
 なかでも鯉料理が名物とのこと。

また、公園内には清水神社があり 『縁結び と 安産の神様』とあります。
 



 意外だったのが、
NHK朝の連続ドラマ「花子とアン」にも登場する歌人“柳原白蓮”は1957年(昭和32年)にこの曽木の滝を訪れ歌を詠んでいます。


 ちなみに、1587年(天正15年)
  川内において島津氏と豊臣氏の和睦が結ばれました。
                   その際、秀吉は帰路、
                                                     この曽木の滝を訪れています。
                        
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 曽木の滝には「曽木発電所遺構」として、二つの水力発電所跡が今もその面影を残しています。

 曽木第一発電所は
曽木の滝公園の滝より約400m下流に位置し1907年(明治40年)に完成しました。

                        出力800kwでその多くの電力は、
                        近郊の町村や牛尾金へ送られて
                        いたそうです。                         
                                                                                            当時、牛尾金山は年間産金量500kg                      を超える日本屈指の鉱山でした。

 その後、1910年(明治43年)
曽木第二発電所が完成しました。
 この発電所は曽木の滝公園から新曽木大橋を渡り約1.5㎞下流域にありま          
                        す。


 滝から取水し、水路とトンネルを使って水を引き、発電所の背後の斜面上方にあるヘッドタンクという貯水槽を経由し、4本の導水管で発電所内のドイツ・シーメンス社製の発電タービン4基を駆動しました。
 最大出力は6,700kwの発電能力
があったといわれています。

                        1965年(昭和40年)、
建設省鶴田ダムの完成と同時にその歴史に幕を降ろし、周辺の集落と共に湖底に沈んでしまいました。                        
                        曽木第二発電所跡の全体が
観られるのはダムの水位を下げる5月
                        から9月頃の渇水期だけです。
                        
    これらの発電所を作ったのは、野口 遵(したがう)という方です。

    【1873(明治6年)~1944年(昭和19年)】
    野口氏は「電気化学工業の父」「朝鮮半島の事業王」などと称された
    事業家です。
                   
 維新の後、
欧米列強に学び、
追い付き追い越せと
近代的な国づくりを
志した明治政府。


 富国強兵や殖産興業が国策として掲げられ、電力事業は様々な産業発展の礎となったことでしょう。

 湖底に建つ西洋の古城
を思わせるレンガ造り
の佇まいは、今もその偉業と、近代国家への過程を物語る日本の産業遺産と感じました。
 
 
 
 
 
 
 
■撮影年月日/全て平成26年7月
 
■曽木の滝公園

■伊佐市大口宮人635番地    電話 0995-23-1311

■交通アクセス/霧島高千穂リゾートランドより約53㎞(車で約80分)
 
 

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