森林ウォーキング
「森の暮らし」を支える/感じる
ロイヤルシティ別府湾杵築リゾート/2021.09.28
「ピーヒョロロロ」。別府湾に面したロイヤルシティ別府湾杵築リゾートの約800m続く砂浜を歩いていると、岬に続く崖の上空を数羽のトビが円を描きながら飛んでいました。ふたつの岬の間に広がる静かな砂浜はまるでプライベートビーチ。ハマゴウやオカヒジキ、ツルナ、ハマアカザなど海浜植物が小さな花を付け、たくさんのカニの穴もありました。
砂浜の縁の崖には張り付くようにクロマツやハマヒサカキ、トベラなど潮風に強い植物が生えています。崖の上のカシやシイの仲間、タブノキ、イヌビワ、カラスザンショウなど多種類の木々が茂る林は魚付保安林に指定されていて、目の前に広がる海の豊かな恵みを育んでいます。
ハマゴウ
砂浜を這うように広がる常緑低木。全体にさわやかな香りがある。
ツルナ
茎がつるのように伸び、葉は肉厚でザラザラしている。古くから食用とされている
タブノキの赤い果柄
黒紫色の果実は鳥に食べられてしまったのか、赤い果柄だけが葉の間からのぞいていた
ロイヤルシティ別府湾杵築リゾートは別府湾に向かって緩やかに下っている地形なので海が見える場所が多く、天気が良いと四国まで望める雄大な景色を室内や庭から楽しんでいるオーナーさまも多いそうです。街並みの先に広がる海を見ながら散策していると道端に黄色い花が咲いていました。花弁が少しいびつな形をしているキンゴジカです。小高い場所にある自然の林が残された公園に向かうと、アブラゼミの鳴き声が響く林縁にアキノタムラソウが咲いていました。林に足を踏み入れると強い日差しが木々の葉に遮られ涼しく感じられます。公園の斜面に植えられたフジバカマが秋に開花すると、長距離の旅をする蝶として知られるアサギマダラが飛来するそうです。さらに進むとツユクサが群生していました。幅広い葉の縁が波打ち、青い花が2個ずつ付いている関東地方以西の海辺に多く見られるマルバツユクサです。
キンゴジカ
名前は午の刻(11時から13時)に咲くゴジカ(午時花)に似ていて黄色いことから
アキノタムラソウ
名前に秋と付くが夏から秋に咲くシソ科の植物。タムラソウはキク科なので似ていない
マルバツユクサ
ツユクサより花の色が薄く小さい。地中にも花を付ける(閉鎖花)ため繁殖力が強い
今回は散策できませんでしたが、以前荒れていた竹林が整備され竹林公園ができたそうです。オーナーさまはタケノコ掘りができるとか。うらやましいですね。竹の緑が美しい春、アサギマダラが舞う秋、別府湾杵築リゾートを訪れたい季節がまた増えました。
取材撮影/2021年8月2日
関口 亮子
自然観察指導員/1級造園施工管理技士/グリーンアドバイザー