阿蘇と「くじゅう連山」の間に広がる秘境の町へ

世界最大級のカルデラ地帯、阿蘇。東西約18km、南北約25km、面積約350km²の広さを誇るカルデラの中で、阿蘇五岳(高岳、中岳、烏帽子岳、杵島岳、根子岳)と外輪山などを含む一帯は「阿蘇山」の名で親しまれています。ロイヤルシティ阿蘇一の宮リゾートは1999年(平成11年)、阿蘇五岳の最高峰、高岳(標高1,592m)の裾野にオープンした森林住宅地。リゾート地内の一部からは、大分県との県境に広がる「くじゅう連山」の稜線も見渡せ、ダイナミックな自然を日常的に体感できます。

国の重要文化財である阿蘇神社の楼門。約1万1千点にも及ぶ部材を回収し、耐震補強も施された

阿蘇一の宮リゾートが位置する阿蘇市で、2300年もの歴史を誇る阿蘇神社は、古くから阿蘇山火口をご神体とし、人々の崇敬を集めてきました。江戸後期に造営された社殿群は、2016年(平成28年)の熊本地震で甚大な被害を受けましたが、2023年(令和5年)、神社のシンボルともいえる「楼門」が7年ぶりに復旧。同年12月までに全工事が終了する予定で、また荘厳な姿が拝めることを多くの人々が今から待ち望んでいます。

小国町の集落に現れる鍋釜滝。下流には下城滝もあり、周辺には遊歩道も整備されている

阿蘇市とくじゅう連山の間に広がる小国町(おぐにまち)と南小国町(みなみおぐにまち)は、古くから「小国郷」と呼ばれる集落。おおらかな里山の風景が続く町並みの中で、ふと出会うダイナミックな自然に驚かされます。例えば、樅木川(もみきがわ)にある、落差約5mの直瀑「鍋釜滝」もそのひとつ。平らな岩盤が突然垂直に落ち込んでできた直瀑は迫力があり、静かな集落の中で瀑声だけが響いています。

大自然の中で、阿蘇の人々を支えてきた風景と出会う

小国町には1984年(昭和59年)まで、大分県九重町までを結ぶ旧国鉄宮原(みやのはる)線がありました。1937年(昭和12年)に開業し、その役目を終えた後は、アーチ橋やトンネルなどの鉄道遺構群が残る散策コースとして人気を集めています。国道387号線の東側に残っているのは、1938年(昭和13年)頃につくられた「堀田(ほりた)橋梁」。橋長46mのコンクリート造4連アーチ橋で、廃線後に残されたアーチ橋部分が田園地帯で異彩を放っています。「宮原トンネル」は、小国町から大分県側に向かう際に最初に通るトンネル。畑の脇道の向こうに、馬蹄形のトンネルが当時のまま残っており、そこだけ時間が止まっているかのようです。

阿蘇の大自然に包まれる小萩山草原テラス

南小国町から阿蘇五岳まで一望できる場所が「小萩山(こはぎやま)草原テラス」です。足元から続く大草原の先に阿蘇五岳が鎮座するという、阿蘇ならではの風景。大いなる自然に吸い込まれるような錯覚が起こるのも阿蘇の醍醐味です。
南小国町の南東に隣り合う産山村(うぶやまむら)は、熊本を代表する名水の郷です。村の二大水源のひとつ「池山水源」からは、毎分30tの湧水があり、現在も飲み水や農業用水として地域を支えています。もうひとつの水源、「山吹水源」の近くに広がる「扇棚田」は、草原の中に孤立した扇状の田園地帯。その周りでは、放牧された牛たちがのんびりと草を食んでいます。

知る人ぞ知る温泉王国が、山間に

小国郷の2つの町には、大きく分けて8つの温泉地が点在しています。代表的なのが「黒川温泉郷」。江戸時代中期に開湯し、現在は国内外から多くの観光客が訪れていますが、実は平成になるまで長く秘境の温泉でもありました。弘法大師が開湯したと伝わるのが「満願寺温泉」。満願寺川の露天風呂「川湯」は、家にお風呂がなかった時代から親しまれる地域密着型の温泉です。ほかにも、南小国町の中心部、杖立川の両岸で1800年の歴史を数える「杖立温泉」や、民家が並ぶ町のあちこちで湯けむりが立つ「わいた温泉郷」など、温泉地それぞれに風情も泉質も異なり、巡る楽しみが待っています。