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2021年03月12日
厚労省
オンライン資格システム導入に向け、ベンダーに見積もりの適正化を要請
オンラインで医療保険の被保険者資格を確認できるシステムが、3月下旬からいよいよ本稼働する。厚生労働省によると、マイナンバーカードを読み取る顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関・薬局は2月21時点で全体の32.8%(本稼働開始時点の目標値は6割程度)。システムベンダーが出した見積もりが高額であることを理由に導入を見送るケースが散見されることから、同省は大手システムベンダーに対して見積もりの適正化を依頼する方針を明らかにしている。
厚労省は3月4日に開かれた社会保障審議会・医療保険部会で、本稼働に向けた準備状況や、患者が受診した場合の業務フローなどを説明した。それによると、本稼働後は健康保険証とマイナンバーカード(健康保険証化されたもの)による受診が併存。マイナンバーカードの場合は、患者本人が顔認証付きカードリーダーにカードを設置し、所定の操作をして被保険者資格の確認や、保健医療情報の医療機関との共有についての同意手続きを済ませる。このため健康保険証での受診と比べると、受付での健康保険証の受け渡しや、事務職員による入力作業がなくなる分、待ち時間の短縮効果が期待できるとしている。
受診の都度、保健医療情報提供についての意思を確認
特定健診結果や過去の処方薬剤などの保健医療情報の提供に関しては、受診の都度、患者の同意を取得することとし、同意なしで医療機関が情報を閲覧することはできない。医療機関が情報を閲覧した際にはログがオンライン資格確認システムに残り、患者はマイナポータルを介して、情報を提供した日時や医療機関名などを確認できる。情報閲覧者は医師や薬剤師などの有資格者に限定されるため、医療機関では電子カルテシステムなどのID・パスワード認証を活用してアクセスを制限する。
一方、マイナンバーカード本体のセキュリティについては、▽マイナンバーカードのICチップはデータベースから情報を引き出すための「鍵」であり、それ自体に個人情報が格納されているわけではない▽不正に情報を引き出そうとすればICチップが壊れる▽オンラインで使用するには本人しか知り得ない暗証番号は必要―などの措置を講じていることから、仮に落としたとしても悪用は難しいと説明した。
2021年3月4日時点の情報を基に作成