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2022年7月14日
中医協・総会
10月からの看護の処遇改善を巡る議論が本格始動
中央社会保険医療協議会・総会はこのほど、今年10月に診療報酬を改定して行う看護の処遇改善について、本格的な議論を開始した。基本診療料に所定の点数を上乗せする方向での検討が進んでおり、委員の見解は診療報酬で手当てする額に過不足が生じることのないようできるだけきめ細かな点数設定を行うという点で概ね一致。ただ、処遇改善の対象報酬を入院料だけにするのか、初・再診料も含めるのかという点では意見が割れている。
点数設定を巡っては、▽処遇改善に必要な額と診療報酬による補てん額との差や、医療機関間のばらつきの最小化▽医療機関の事務負担に配慮したシンプルな制度設計―という、相反する2つの課題の両立が最大の焦点となっている。点数設定を細分化したほうが補てんの過不足は生じづらくなるが、制度は複雑にならざるを得ないからだ。
厚生労働省は今回、議論の素材として条件を変えた8パターンで点数設定のシミュレーションを実施。その中では診療報酬による収入見込み額と処遇改善必要額の乖離が小さく、医療機関間のばらつきも少ない2モデルが委員の支持を集めている。両モデルとも、点数設定を100種類とし、入院料への上乗せを病棟単位ではなく施設単位とする点は同じ。違いは初・再診料も対象報酬に含めるかどうかで、患者負担の公平化を図るために外来も対象に含めるべきだとする意見と、患者負担が少しでも軽減されるよう外来での負担増は避けるべきだとする意見の両論が出ている。
処遇改善で得た収入を賃上げに反映させる際のルール設定も重要な論点の一つだ。先行実施されている補助金での処遇改善や、介護報酬の「介護職員処遇改善加算」では、賃上げの効果を持続させる狙いから、処遇改善で得た収入の2/3以上を基本給または毎月支払われる手当の引き上げに充当することをルール化。総会では委員の多くが、これらの既存ルールを参考に制度設計を進めることを提案した。医療機関の裁量で処遇改善を行える職種の対象に病院薬剤師の追加を求める声もあった。
2022年6月16日時点の情報を基に作成