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2022年11月28日
厚労省検討会・報告書
全ての医療法人に経営情報の提出を原則義務づけへ
厚生労働省の「医療法人の経営情報のデータベースの在り方に関する検討会」は11月8日、報告書をまとめた。医療法を改正し、原則全ての医療法人に経営情報の提出を求めてデータベース(DB)を構築。DBに蓄積した情報を行政の政策立案に活用するほか、属性でグルーピングした分析結果を公表し、医療法人の運営の透明化につなげる。
新制度の対象になるのは、法人税制度で社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる四段階税制)が適用されている小規模法人を除く、全ての医療法人。提出を義務化するのは、病院会計準則に基づいて作成された損益計算書(収益及び費用)の情報とする。これに対して資産、負債、純資産の情報は、施設単位で貸借対照表を作成していない法人が一定数あることから提出は求めず、既存の事業報告書等の法人単位の貸借対照表を活用する。
給与関係情報の提出は義務化せず、任意での提出を要請
医療従事者の処遇改善を論じる際の基礎データを得る目的で、「職種ごとの給与費の合計額」(直近1月1日から12月31日)と「職種ごとの延べ人数」の情報も集め、「職種ごとの年間1人当たり給与額」を算出する。このうち、「職種ごとの延べ人数」は「病床機能報告」の毎年7月1日時点の「職種別の人数」の活用を基本とし、同制度の対象外の無床診療所などについてのみ、同じ7月1日時点の人数の報告を求める。ただし、法人の事務負担の増加に配慮し、これら給与関連情報は全て任意の提出項目とする。
2023年度早期の施行を目指し、施行後に決算期を迎える法人から順次、経営情報の提出を求める。その際には法人の準備期間も考慮し、提出期間などについての経過措置を設ける。
DBに蓄積された経営情報の分析結果は公表し、国民に医療がおかれている状況を理解してもらうために役立てる。その際には医療法人が特定されることがないよう、属性に応じてグルーピングした分析結果のみを公表することとする。なお、DBの運営と経営分析は国と独立行政法人福祉医療機構が連携して担う方向で検討が進められている。
2022年11月8日時点の情報をもとに作成