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2024年11月26日
厚労省・検討会
新地域医療構想、病床機能に加え医療機関機能も報告へ
厚生労働省は11月8日の「新たな地域医療構想等に関する検討会」に、新設する医療機関機能報告の具体案を提示した。報告する医療機関機能は、地域ごとに確保する4機能に大学病院本院が担う医育・広域診療機能を加えた全5機能とする考えを打ち出した。
2040年頃を目標とする新しい地域医療構想では、病床機能とともに医療機関機能の報告を医療機関に求める。地域の協議の場では報告結果を基礎資料として、「治す医療」(急性期入院医療等)を担う医療機関と「治し支える医療」(高齢者救急医療等)を担う医療機関の明確化と役割分担を議論する。
医療機関機能は二次医療圏等の地域ごとに確保する機能と、より広域で確保する機能に分かれる。厚労省案によると前者では、(1)高齢者救急等機能/高齢者等の救急搬送受け入れや入院早期からのリハビリ等を実施、(2)在宅医療連携機能/在宅医療、24時間対応、急変時の入院受け入れ等を実施、(3)急性期拠点機能/手術や救急医療等の医療資源を多く要する症例を集約化した医療を提供、(4)専門等機能/集中的なリハビリを提供する医療機関や一部の診療科に特化した専門病院―の4機能を設定。
急性期病院は病院経営や従事者不足などを考慮し、集約化を推進
このうち急性期病院を想定した(3)は、高齢者以外の急性期医療の需要減による病院経営の悪化が懸念されることや、医療従事者不足が一層加速することなどを考慮し、集約化を推進。症例の集約化による治療成績の向上も目指す。このため当該機能を報告する医療機関に一定の水準を満たすことを求めるとともに、構想区域ごとにどの程度の病院数を確保するか設定する。
一方、後者では「医育及び広域診療機能」を設定し、大学病院本院の機能に位置付ける。「急性期拠点機能」を担う病院が担う広域な観点での診療、人材の育成、医師派遣等についても報告を求め、地域全体でこれら機能を確保するための議論に役立てる。
新たな地域医療構想は入院医療にとどまらず、外来・在宅医療、介護との連携等を含む医療提供体制全体の将来ビジョンを示す内容となる。検討会は今後も議論を重ね、年内を目途に最終取りまとめを行う。制度改正などを経て都道府県が実際に構想を策定するのは26年度、構想に基づく取り組みの開始時期は27年度となる見通しだ。
2024年11月8日時点の情報を基に作成