ダイワハウスの賃貸ガレージハウス 「今、豊かなライフスタイルを求める人が増えています」 趣味性の高い住宅をプロデュースする建築デザイナー 岩切剣一郎様 インタビュー
公開日:2018/03/31
住まいは自己表現のひとつである。
設備を充実させた賃貸ガレージハウスというと、一昔前なら特殊な賃貸住宅というイメージだった。しかし現在はそういうガレージ付き賃貸住宅を求める人が増えており、需要は高まっている。その背景にあるのは、趣味を大切にする豊かなライフスタイルが日本にも根付き始めたことにある。今、住まいは「快適に住める」だけでなく、「自分を表現できる」ということも重要になっているのだ。
そうした現代のトレンドを強く感じているという、一級建築士の岩切剣一郎さんに話を聞いた。岩切さんは、クルマやバイク、サーフィン、フィッシングなど、趣味の雑誌を数多く発行している枻(えい)出版社で執行役員を務め、同社のデザイン部門「カリフォルニア工務店」のチーフデザイナーでもある。
こだわりを持って物を選ぶ時代。
「最近は自分の趣味や世界観を重視して、こだわりを持って住まいを選ぶ人が多くなったと感じます。その根底にあるのは“より豊かな暮らしをしたい”ということだと思います。それは金銭的な豊かさというより、自分らしいライフスタイルを楽しみたいということ。例えば『今日は天気がいい日だからドライブに出かけよう』とか『いい波が来ているからサーフィンをしよう』とか、日常の中に趣味が当たり前のように入り込んだ生活です。そんなライフスタイルのあり方を、弊社の雑誌や外国映画、海外旅行などで知って『こういう生活を、僕たちもやっていいんだ』と多くの人が気づき始めた。今や住宅は、自己表現の手段の一つになっているんです」
岩切さん自身も、大好きなサーフィンやバイクをいつでも楽しめるよう、湘南にある築40年の民家を自分好みにリフォームして暮らしている。
「こだわりを持って豊かな生活を求めている人にとって、普通の賃貸住宅では物足りない部分があります。例えばクルマが好きな人にとって安心して保管でき、いつでも愛車に触れていられるガレージ設備は必須です。大好きな趣味を日常生活に取り入れられるなら、立地が不便でも、家賃が高くても気になりません。ガレージを持たない場合に必要になる時間や費用の方がもったいないと思うでしょう。以前ならそういうガレージ付き住宅を利用する人はよっぽどの趣味人、道楽者というイメージでしたが、今は普通の人でも気軽にそんなライフスタイルを楽しみたいと考える時代ですね」
趣味を大切にする人に、賃貸ガレージハウスはマッチする。
様々な趣味を持つ岩切さんだが、本人はそれらを“趣味”と思ったことはないという。好きな時に、好きなことをする。それはすべて生活の一部として存在するものなのだそうだ。
「そんな風にクルマやバイク、サーフィン、フィッシングなど、好きな物を生活の中に取り入れて、より豊かな暮らしを楽しみたいという人は、これからますます増えていくでしょう。賃貸ガレージハウスはそういう人たちのマインドに、まさに合致している物件だと思います」
ライフスタイルが多様化し、心の豊かさが求められている現代。賃貸ガレージハウスの需要は、今後様々な方面に広がっていく可能性を持っているのだ。
プロフィール
株式会社 枻出版社
執行役員 事業開発本部 建築デザイン事業部
岩切 剣一郎さん
クルマやバイク、ゴルフなど趣味の雑誌を数多く発行する「枻(えい)出版社」にて、建築と不動産部門を担当。アメリカ西海岸の住宅をモチーフとするデザインオフィス「カリフォルニア工務店」でチーフデザイナーも務める。自身もバイクやサーフィンなど様々な趣味を持つ。一級建築士
職場にも趣味の世界が広がる
●カリフォルニア工務店
岩切さんが働いているデザイン事務所「カリフォルニア工務店」には、カバードポーチやサーフボードなど、アメリカ西海岸のライフスタイルをイメージした装飾が施される。職場にも岩切さんのライフスタイルが色濃く反映されている
●今求められているのは、自己表現できる家
岩切さんがデザインを手がける物件の中には、カリフォルニアのサーファーズハウスのような物もある。まさに趣味と生活が一体となった住宅だ。
岩切さんの話から、日本人のライフスタイルや住宅観が変化しつつあることで、賃貸ガレージハウスの需要が高まっていることがわかった。とはいえ、まだ開拓がスタートしたばかりの市場のため、賃貸住宅を建築する土地オーナー様にとっては確実にご入居者を集められるか不安な部分もあるだろう。そこで、神奈川県相模原市で、2018年3月に賃貸ガレージハウスを竣工した篠崎様にお話しを聞いた。
土地オーナー 篠崎様 インタビュー「賃貸ガレージハウスを求める人は多いと実感していました」
駅から遠い郊外だからこそのメリットがある。
篠崎様は相模原市内に複数の賃貸住宅を所有している。これまでは一般的な賃貸住宅を経営してきたが、なぜ今回はガレージハウスにしようと考えたのだろうか。
「この地域には賃貸住宅がかなり多いんです。だから普通とは違うコンセプトで、特色のある物にしようと思っていました。ガレージハウスにしようと考えたのは2年ほど前で、その頃はまだこのエリアにガレージハウスはありませんでした。もともと交通の便が悪くて生活にクルマが必須のエリアなんですが、数年前に圏央道が開通して近くにインターチェンジができたので、クルマの利便性が高くなったんです。また、自分の友人にも高級車を持っているクルマ好きの人が多くいて、彼らから『自宅でクルマを出し入れしていると、騒音などで近所に迷惑をかけないか不安。安心して停められる場所が欲しい』という声も直接聞いていました。そういう状況から、賃貸ガレージハウスには需要があると思ったんです。実際、建築を始めてから、このエリアにもガレージハウスが増えてきましたね」
圏央道の開通によって生まれた新たな需要と、潜在的にあったクルマ好きの人たちの要望をうまく取り入れたというわけだ。
特色のある賃貸物件には、大きな可能性がある。
ガレージハウスという前例の少ない賃貸住宅だけに、デザインや間取りに悩むことはなかったのだろうか。また、競合のガレージハウスとどのような違いを打ち出しているのだろうか。
「間取りなどは大和ハウス工業の担当者と相談して決めました。私のこだわりとしては、ガレージの前にもクルマを駐車できるよう、5メートルの余地をとっています。それと車高が低い高級外車やスポーツカーのオーナーが多いことも想定して、敷地内の段差を極力無くすようにしました。また、以前ペット共生のマンションを建てた時、その需要の高さをすごく感じていたので、今回も思い切ってガレージハウスもペット共生という特徴を持たせました」
他にも篠崎様のガレージハウスにはクルマ好きの夢を叶える設備が充実している。例えばクルマを2台横に並べられるよう、十分なスペースを確保。エアコンや照明はもちろんのこと、愛車の整備や、仲間とパーティーをする時に便利なアース付き電源やシンクも備え付けられている。また、ガレージ内でエンジンをかけられるよう、24時間の換気システムと―酸化炭素濃度センサーを完備。マフラーから出る排気ガスが当たる壁には耐熱性で汚れが付きにくい素材を使い、掃除もしやすいようにしている。こうしたこだわりの設備によって近隣のガレージハウスとは明確にコンセプトを分け、篠崎様のガレージハウスはクルマ好きの人々の強い支持を得た。賃料は同エリアの、面積が広いメゾネットタイプ住宅の相場よりもおよそ2割高いが、引き渡し後すぐに全室の入居が決まったという。
篠崎様はエリアの特性をしっかり見極め、ターゲットを絞り込むことで潜在需要を掘り起こすことに成功した。今、ガレージハウスという個性は、賃貸住宅の収益性を高める、一つのキーワードになっているのだ。