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コラム vol.471-14
  • 土地活用税務コラム

CASE14自分の相続税は知りたいが、費用がかかりそう

公開日:2024/09/30

子どもの希望と裏腹に、相続税額の試算をしてくれない父
父は相続税額の試算をしたことがありません。しかし、自分の預金で相続税を支払えるだろうと自信を持っていました。子どもたちは、試算だけはしておいてほしいと思っているのですが、費用がかかりそうで、なかなか言い出すことができません。

相続税の試算でかかる費用は、相続対策の設計図を描くための費用

事前に相続税の試算をしておかなければ、いざ相続が発生したときに、「蓋を開けてみたら、相続税の金額に驚く」ことになってしまいかねません。相続人である子どもたちは、自分たちが支払うであろう相続税額を把握しておかなければ、不安を抱えたままでしょう。

このケースは、「自分の相続税額を知りたいけれど、費用がかかりそう」というものですが、健康診断を受けなければ、自身の健康状態はわからないように、相続においても、相続税の試算をしてみなければ、税務対策も相続対策も何もできません。
もうひとつ、多くの人が、理解できていないことがあります。それは、「試算のために報酬を払えば手元の現金が減るので、財産評価額が減少し、相続税が下がる」ということです。亡くなる前に、相続税額を把握することができれば、相続税を支払う子どもたちも安心し、税金も下がるのですから、相続税の試算を一度しておくことは、家族全員にとって良いことだと思います。
相続税の試算は、家を建てるときと同じです。つまり、相続税の試算でかかる費用は、相続対策をしていくときの設計図を描くためのお金と考えるべきです。健康でいるためには、健康診断が必要です。相続においては、設計図をきちんと描くことが、成功への第一歩といえます。ご一家の「健康」を保つための健診費用も、将来に向けたとても大切な出費なのではないでしょうか。その費用を惜しまないようにしたいものです。

試算の段階で一部の財産を開示せず、自己判断で名義変更を行った

本試算をしたからといって、被相続人の財産の一部を明かさず、自分の判断で名義変更を行うなど、自分の判断だけでは、思った結果が得られないこともあります。次のようなケースです。
父は顧問税理士に自分の相続税を試算してもらっていましたが、ゴルフ会員権や高級自動車といったいくつかの財産については、伝えていませんでした。それは、「生前に名義変更してしまえばいい」という考えからの判断だったようです。結局、高級自動車だけ子どもに名義変更をしましたが、110万円を超えるにもかかわらず、贈与税の申告はしていませんでした。いざ相続が発生して相続財産を洗い出してみると、ほかにも除外していた財産がいくつもあり、結局試算していた相続税額よりかなり多額になってしまいました。子どもたちは相続税の試算に基づく金額を納税用に準備していましたが、それだけでは足りず、自分たちの預金を持ち出すこととなってしまったのです。
相続税の試算をしていても、税理士に一部の財産を隠していれば、実際の税額は試算とは異なり、試算を行った意味がまったくなくなってしまいます。税理士に相談せず、自己判断で生前に名義変更をしたことは良い施策とは言えません。

顧問税理士は味方。すべて見せ、事前に相談する

相続の「設計図」を描いても、自身で一部除外してしまえば、いざ相続が発生したときに、試算に組み入れなかった財産が出てきて、試算通りにはなりません。場合によっては、子どもの持ち出しで相続税を支払うことになってしまうかもしれません。
税理士は税務署員ではありませんので、きちんとすべて包み隠さず相談すべきです。たとえば財産の名義変更といった希望があれば、税理士はそれに合わせた設計図をつくります。 税理士に相続対策を依頼するときには、保有するすべての財産に加え、相続財産の分割についての意思、家族への想い、守ってほしいことなど、望んでいることすべてを伝えることが大切です。「この程度の税務対策ができればいい」と考えて、自分で判断してしまう人がいるのですが、それではきちんとした設計図を描くことはできません。
生前対策は、設計図がすべてであり、身体に例えれば「予防」といえます。設計図をつくるために必要なパーツが揃っていなければ、きちんとした設計図をつくることはできません。

普通に考えれば、相続財産のなかから相続税を払えば済むことです。このケースの場合、父が深く考えていなかったために、結果として子どもが自分の財産から切り崩して相続税を支払うようなことが起こりえます。私の周囲でも、このようなケースが存在します。顧問税理士は、相談者の味方です。何か対策が必要であると思ったときには、すべて見せた上で、税理士と一緒に対策を練るべきです。

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