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コラム vol.471-16
  • 土地活用税務コラム

CASE16 空室が目立つ、古い賃貸住宅を相続したときにどうすれば良いか

公開日:2024/11/29

相続が直前に迫った頃、父は築40年を超える木造の賃貸住宅(土地と建物)を保有していることが分かりました。管理会社を調べ、聞いてみると、最近は老朽化が進み、空室も目立ってきたとのことでした。このままでは、負の遺産になってしまう可能性や3人いる兄弟全員が相続を拒否することも考えられます。

古い賃貸住宅を相続したときのリスク

相続人が賃貸住宅を相続する場合、新しく収益性も高い賃貸住宅であれば相続時に問題が起きず、相続人も賃貸住宅経営を続けることに問題はそれほどありませんが、一方で、空室が多い、古い賃貸住宅を相続した場合、さまざまな問題が起こりえます。

まず、賃貸住宅やマンションは相続発生時に空室が多いと、賃貸割合が下がり相続税評価額が高くなってしまいます。賃貸住宅経営をしている建物、土地は、評価額に借家権割合と賃貸割合を掛けた分を引いて算出しますので、相続発生時に空室が多いと賃貸割合が低くなり、相続税評価額の減額が少なくなってしまう可能性があります。

また、収益性に問題があり、将来的な経営上の不安があるような、古い賃貸住宅やマンションが相続財産となった場合、相続したいと考える相続人がいなくなる可能性があります。通常の相続上の争いは、お互いがより多くの資産がほしいという思いから揉めますが、このケースでは、逆に、資産価値が低く、将来マイナスとなる可能性があるため、誰も引き継ぎたくないという争いになります。 資産価値が低くなり管理コストだけかかる状態では、受け継ぎたいと考える相続人がいなくなるのは当然でしょう。
さらに、相続トラブルによって遺産分割が遅れてしまうと、相続対策として有効な配偶者控除や小規模宅地等の特例を利用できない可能性も出てきます。
収益性に問題があると判断し、売却を前提とした分割協議が終わり、相続人が決まったとしても、想定した価格での売却ができなければ、遺産分割の費用や相続税の納税資金が足りなくなってしまう危険性もあります。

古い賃貸住宅を相続したときの対策

古い賃貸住宅やマンションを相続したときには、賃貸住宅経営をそのまま継続するのか、建て替えまたはリフォーム・リノベーションして継続するのか、あるいは売却するのか、大きくはこの3つから選ぶことになります。

賃貸住宅経営を継続する

築古の賃貸住宅であっても、地域の市場性に問題がなければ、賃貸住宅経営を継続することは可能です。ただし、現状うまくいっていないのであれば、何らかの対策が必要となります。
うまくいっていない要因はケースバイケースですが、設備の問題か賃料の問題か、あるいは管理上の問題なのか、原因を探り、適切な対策を行うことが必要です。ただし、賃貸住宅経営は長期におよびます。将来のキャッシュフローのシミュレーションも確認しながら計画を立ててください。

賃貸住宅を建て替え、またはリフォーム・リノベーションする

賃貸住宅経営を継続する別のパターンにはなりますが、立地的な条件を考慮した上で、思い切った建て替えやリフォーム・リノベーションを行うのも、ひとつの方法です。
地域の市場情報に詳しい不動産会社や建設会社に相談しながら、検討しましょう。建て替えやリノベーションを行うということは、単なる相続の問題から、不動産経営というビジネスの領域となります。資金面を含めて、長期的な収支計画を立てた上で、取り組む必要があります。

土地と賃貸住宅を売却する

賃貸住宅経営を継続する判断ができないのであれば、売却を検討することになります。すぐに売却ができれば問題ありませんが、場合によっては、解体して更地にする必要もあるかもしれません。その際は、ご入居者との交渉も必要になるので、慎重に進める必要があります。

古い賃貸住宅を相続する可能性がある場合

直前になってどのような相続財産があるのか判明する場合もありますが、本来は、前もって相続について、親やきょうだいと話し合っておきたいものです。
そして、被相続人である親が古い賃貸住宅やマンションが財産として所有している場合は、事前に対策を進めておく必要があります。

事前の対策のひとつの方法としては、「資産の組み換え」があります。前もって資産価値を評価し、不動産を売却して分割しやすい資産を購入したり、将来の資産価値を上げるために他の不動産に組み換えたりすることを検討しても良いでしょう。
また、空室割合や経営状況を確認しておく必要もあります。仮に今は大丈夫であったとしても、賃貸住宅は経年によって老朽化します。将来のことを考慮し、空室が出ないように、周辺の賃貸住宅の賃料と比較して競争力はあるか、ご入居者の条件に問題はないか、管理上、ご入居者とのトラブルは起きていないかなど、定期的に確認しておきましょう。

不動産の相続対策には様々な方法があります、不動産の立地は当然のこと、ほかの資産の状況や、そして家族や相続人の状況によって、適した相続対策は変わります。自分のケースに合った相続対策を行うためには、土地活用に強い不動産会社や税務対策として税理士に相談しながら進めてください。

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