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コラム vol.473
  • 賃貸住宅経営のポイント

賃貸住宅経営の基本空室対策

公開日:2023/11/30

新築の賃貸住宅を建て、賃貸住宅経営を行う際、新築のころには順調だった入居状況が、経年とともに徐々に悪化していくことがあります。空室期間が長引けば、賃料の収益は減少しますし、長期化し相続問題に発展した場合は、相続税にも影響が出てきますので、賃貸住宅経営にとって「空室」は、もっとも避けたいリスクのひとつといえます。

空室率の計算方法

全体の部屋に対して空室となっている部屋の割合のことを空室率といいますが、賃貸住宅経営にとって、この空室率を上げないことが、経営上の大きな指数となります。 最初に、この空室率の計算方法について振り返っておきましょう。
空室率はどれぐらいなのかを考えるとき、「現時点で、10室の賃貸住宅のうち4室空いているので空室率は40%」という計算をする人がいますが、この数値は、あくまでその時点の空室率(時点空室率)を表しているに過ぎません。賃貸住宅経営は、長期にわたって行うものであり、少なくとも年単位で把握することで、より正確な空室率を把握することにつながります。空室率を「年単位」で計算し、毎年の空室率の変化を確認することができれば、より的確な空室対策を施すことができるでしょう。 年単位で空室率を計算する場合の計算式は次のようになります。

空室率=(空室数×空室日数)÷(全体の室数×365日)

例えば、全部で10室ある賃貸住宅で、空室が1年間で4室、それぞれ2カ月間(61日)の場合、「(4室×61日)÷(10室×365日)=0.668」で、空室率は約6.7%ということになります。
どの程度の空室率が適切なのかは、条件によって異なりますので、収支シミュレーションを行った上で判断することが大切です。また、空室率がゼロというのは現実的にはありえませんので、ある程度の空室率を見込んでおくことも必要です。

空室が生まれる理由

なぜ空室が出てしまうのでしょうか。それは周辺環境やご入居者のニーズ、建物そのものなど、さまざまな条件が変化するからです。人口減少、周辺施設の変化(住民属性の変化)、施設の老朽化、競合施設の出現、ご入居者のニーズ変化など、賃貸住宅経営においては、さまざまな変化要因が考えられます。
賃貸住宅経営を始める際には、収支シミュレーションを行われたと思いますが、現在の空室率は、期初のシミュレーションとの乖離がないか確認してみましょう。あるとすれば、設定していた環境条件が変化しているということになります。
そして、空室率が想定よりも高い、しかも、年々悪化しているなどの判断ができれば、空室が生まれている要因を探る必要があります。空室が生まれる要因が分からなければ、効果的な対策を打つことはできません。

入居者ニーズの変化

入居者ニーズは、年月とともに変化します。新築時は人気があった設備や仕様が、経年とともに変化することはあり得ます。また、学校や工場、オフィスの移転、商業施設の進出などの周辺環境の変化によって、ご入居者の属性が変化していることもあるかもしれません。現在のニーズはどのようになっているか、定期的に把握しておくことが必要です。
管理会社からの情報や、自分自身で感じる街の環境変化などをもとに、ご入居者のニーズの変化を体感できれば問題ありませんが、現実として現在のご入居者ニーズを的確につかむことは難しいものです。
その場合は、Webサイトなどで紹介される調査データなどから補完すると良いでしょう。

空室対策を行う

空室対策とは、文字通り、賃貸住宅に空室を生まないための対策のことです。対策には、退去された時点から短期間で次のご入居者を探すため、現在のご入居者が少しでも長く入居していただくための施策も含まれます。

入居対象者を見直す

新築時に満室状態だったのが、空室が目立ってきたという場合、周辺に住む人たちの属性が変化している可能性もあります。外国人労働者や高齢者の増加などといったこともあるかもしれません。入居対象者を設定し直すことで、訴求するポイントを変更する必要もありますので、改めて検討してみましょう。

紹介情報や写真を見直す

賃貸住宅を探す場合、実際に見学する件数は減少傾向にあります。つまり、部屋を探す場合は、Webサイトなどであらかじめ件数を絞った上で見学に行っていることになります。賃貸住宅のポータルサイトや管理会社のWebサイトなどに掲載されている情報や写真が重要となります。改めて、ご入居者の立場に立って、現在掲載されている情報が適切かどうか確認してみましょう。

設備を見直す

Webサイトで部屋探しをするとき、多くの場合、欲しい設備や仕様にチェックを入れて検索します。そのため、ほかの条件では問題なくても、欲しい設備がなかったばかりに検索結果に表示されないこともありえます。ニーズの変化を捉えながら、現在の設備がニーズに合っているのかを確認した上で、対象者に合った設備の導入を検討する必要があるでしょう。

経年劣化に対応する

新たに賃貸住宅を借りる人は、築浅の賃貸住宅を選択する傾向があります。したがって、周辺に新築の賃貸住宅が建ったり、経年劣化が目立ってきたりすると、どうしても人気が落ちてしまい、空室期間が長期化するリスクが出てきます。
修繕費用をある程度見込んでいるのであれば、外観や共用部分、内装のリフォームなど、修繕費用を活用することである程度の空室対策は可能となります。
また、対象者の大きな変化があれば、間取り変更や設備の入れ替えなどのリノベーションが効果的かもしれません。ただし、リノベーションには大きな費用がかかりますので、綿密なシミュレーションを行った上で、検討する必要があります。

空室対策には、立地や周辺環境によってさまざまな対策が考えられます。専門家に相談しながら、ご自身の賃貸住宅に合った対策を慎重に検討し、実施することが大切です。

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