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快適に暮らす

「住まい」と「電気自動車」で電力を共有し合うエコな暮らし「V2H」で私たちの暮らしは
どう変わる?

近年のガソリン代高騰の影響もあり、
ガソリン車に比べてクリーンな電気自動車に乗り換えることを
検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そんな電気自動車を有効活用する手段として注目されているのが「V2H(Vehicle to Home)」。
電気自動車に搭載されている大容量のバッテリーを活用して、
自宅に電力を供給できるシステムです。

家計の光熱費・ガソリン代削減や、非常時の備えとしても役立つV2Hのある暮らしについて、
大和ハウス工業住宅商品開発部の太田洋介が解説します。

Profile

大和ハウス工業株式会社 住宅事業本部
住宅商品開発部 戦略室 商品企画グループ

太田 洋介

一級建築士

大和ハウス工業デザイン室に2007年に入社し、外部企業との協業や産学連携を経験。商品開発部ではキッチンなどの住設開発から暮らしの価値づくりに関わっています。

V2Hがあれば電気自動車にためた電気を自宅へ供給できる

――V2Hとはどんなものなのでしょうか?

太田:V2Hとは家と電気自動車の間で、電力を相互に供給できるシステムの総称です。V2HはVehicle to Home(ビークル・トゥ・ホーム)の略で、直訳すると「車から家へ」の意味。通常、電気自動車を所有している方はご自宅に充電設備を設置しますが、通常の充電設備は家→電気自動車の一方向にのみ電気が流れます。しかし、V2Hであれば家と電気自動車の間で、双方向の電気の受け渡しができるようになります。

――「双方向」というのがポイントなのですね。でも、電気を双方向に受け渡しできると何が良いのでしょう。

太田:電気自動車を充電するだけでなく、電気自動車のバッテリーにたくわえられた電気を自宅に送って使えるようになります。「全天候型3電池連携システム」(太陽光発電×エネファーム×蓄電池)に、電気自動車を加えた「4電池連携」として活用できるのが大きな強みです。

例えば、日中に太陽光で発電した電力を電気自動車のバッテリーにたくわえておき、夜間や雨の日に家に送って使うことができます。さらに災害などによる停電時にも、電気自動車のバッテリーが非常用電源として役立ちます。

――電気自動車も蓄電池として使えると、家庭用蓄電池のみの場合と比べバッテリー容量はどれほど変わるものなのでしょうか?

太田:例えば4kWパネル搭載の太陽光発電の発電量は1日最大で約20kWhですが、一般的な家庭用蓄電池の充電容量は6.4kWh程度です。この場合、条件にもよりますが、晴天の日は約2時間程度で蓄電池が満タンになり、発電した電力をすべてためられないのが現状です。

しかし電気自動車なら、500km〜600kmにも及ぶ長距離の走行を達成するために、日々バッテリーの大容量化が進んでいます。これは当社で採用している家庭用蓄電池の2倍以上の容量を誇ります。

つまりV2Hがあれば、この大容量バッテリーを車の走行だけでなく家庭用の蓄電池としても役立てられるようになるため、つくった電気を効率的に活用できるのです。ひいては太陽光発電・エネファーム・蓄電池・電気自動車の4つの電池が融通できるようになり、「電気をつくる、ためる、つかう」の循環をよりスムーズに行えるようになるのです。

V2H導入で私たちの暮らしはどう変わる?

――つくった電気を効率的に使える、災害時などの停電にも安心といったお話が出ましたが、V2Hを導入すると私たちの暮らしはどう変わるのでしょうか。

太田:V2Hによって変わる暮らしは大きく2つあると思います。「住まい全体のエネルギー代が安くなる」と「災害時・停電時の心強い備えができる」です。それぞれ詳しくご説明しましょう。

暮らしの変化1:住まい全体のエネルギー代が安くなる

太田:最近は電気代やガソリン代の高騰で、以前より支出が気になってきたという方もいるのではないでしょうか? しかし、V2Hがあれば太陽光発電など家でつくった電気を家庭用蓄電池だけでなく電気自動車にも同時に貯められるので、電気の自家消費率が高まり、電力会社から買う電気を減らすことができます。さらに、電気自動車なのでガソリン代はゼロになります。

例えばシミュレーションでは電気、ガス、ガソリンのトータル費用は1992年省エネ基準相当の住宅よりも年間約27万円※1の削減が見込め、「全天候型3電池連携システム」のみを導入した場合と比べても、年間約6.3万円※1も安くなります。

※1当社調べ。「全天候型3電池連携+V2H」電気自動車での通勤、夜間充電・年間6,000km走行想定の場合。
ただし、算出した数値は目安であり、一定の金額等を保証するものではありません

――最も節約インパクトが大きいのは「全天候型3電池連携システム+V2H」を導入した場合なのですね。V2Hを導入すると、電気の自家消費率が高まっているのはなぜでしょうか?

太田:電気をためられる大きな箱(=電気自動車のバッテリー)がもう1つ増えるので、家でつくった電気を効率よくためて電気自動車を走らせたり、車を使わないときは自宅の電気として使ったりとライフスタイルに合わせた自家消費ができるからです。

V2Hがなければ、太陽光発電で得た電力を自宅で使い切れない場合は売電するしかありません。しかし、売電価格は近年下がっており、今後も下がっていくことが予想されます。一方、エネルギー価格の上昇で電力会社から買う電気代は上昇しています。余剰電気を安く売るよりも、自宅で最大限に使う方がおトクと言えると思います。

――V2Hはどのような世帯に向いていますか?

太田:「全天候型3電池連携システム+V2H」はどのご家庭にもおすすめしたいですが、特に二世帯住宅など電気を使うシーンが多いご家庭ほど、つくった電気の自家消費率が高まり、メリットを享受できるでしょう。また、車の走行距離が長いお宅ほど、ガソリン車と比較した場合の節約効果が大きくなります。年間4,000kmよりも6,000km走行する方が、家計全体のエネルギー削減効果は大きくなります。

暮らしの変化2:「災害時・停電時の心強い備えができる」

太田:もう1つの変化が「災害時・停電時の心強い備えができる」ことです。
近年、大型台風や集中豪雨といった自然災害により、甚大な被害がもたらされています。災害時のライフライン被害のうち、停電は約90%の確率で発生※2しており、大災害時には停電からの完全復旧に8日以上かかる場合もあります。

こういった災害時、バックアップがないご家庭では停電が起きてしまったら「照明」も「お風呂」も基本使えません。さらに災害が真夏や真冬だった場合はどうでしょう? 近年の異常気象ともいえる暑さや寒さに耐えながら、ひたすら復旧を待つことがどれだけ心細いか…というのは想像に難くないと思います。

※2参考:内閣府(防災担当)災害情報 2017~2019年より

そこで大和ハウスでは「停電時も自宅で電気を確保したい」というご要望に応え、災害で不安な時こそ、家族が安心して過ごせる住まいを実現するため、雨天でも約8日分※3の電力と暖房・給湯が確保できる「全天候型3電池連携システム」を提供しています。その上で、V2Hを加えて電気自動車のバッテリーも活用すれば、合計11日間※4、普段と同じように電気が使えるようになります。

  • ※3水道・ガスが使える場合。一部対応できない地域があります
  • ※4全天候型3電池連携システムの8日に電池容量40kWhの電気自動車によるV2H蓄電システムの3日を合計したもの
    (1日の電気使用量約14kWh/日とした場合)

2024年元旦に起きた能登半島地震では、道路が各所で寸断されたことによりライフラインの復旧が大幅に遅れ、地震発生1週間後の電気の復旧率は約6割にとどまりました。合計11日間、電気がいつも通りに使えることは、災害時の大きな安心となるはずです。

また例えば、自宅の停電が長引いても、停電していない地域まで電気自動車を走らせて充電スポットで充電し、自宅に電気を持ち帰るといった使い方もできます。これは家庭用蓄電池にはできない、電気自動車ならではの機能といえます。

クリーンな電力を賢く使い切る。V2H活用のコツは?

――電気自動車が家にある日とない日とでは、それぞれどのように電気の受け渡しをするのが理想的ですか?

太田:昼間に電気自動車が家に置いてある日は、太陽光発電の余剰電力を蓄電池と電気自動車へ同時充電。夜間は、昼間にためた蓄電池や電気自動車から家へ放電して使うのがおすすめです。技術的な話になりますが、一般的な充電器は太陽光発電の電気を直流から交流へ変換する際にロスが発生します。しかし、大和ハウスが採用するV2Hは太陽光発電由来の電気を直流のまま充電できるため変換ロスがなく、クリーンな電力を最大限活用することができます。

一方、昼間に電気自動車が不在になる場合は、太陽光発電の余剰電力を自宅の蓄電池にためておき、帰宅後に蓄電池→電気自動車へ充電することもできますし、余った蓄電池の電気を自宅へ放電することもできます。電気自動車と蓄電池のどちらを優先して充電・放電するか、優先度の割合はお客様のライフスタイルに合わせて設定が可能です。

ただし車通勤などで日常的に、日中電気自動車がないご家庭の場合、日中はつくった電気をためられるのが蓄電池のみになってしまうため、どうしても全体的な自家消費率が下がってしまう点には注意が必要です。

――V2Hはどんな車種に対応していますか?

太田:2024年9月時点で、国内メーカー7社18車種に対応しています。導入前には必ずお持ちの電気自動車がV2Hに対応しているかの確認を行うようにしましょう。

充電はとても手軽で、V2Hスタンドのケーブルを電気自動車の急速充電口にカチッと接続するだけ。災害時のレジリエンス※5を考えれば、電気自動車の充電は常にフル充電にしておくのが好ましいので、車で帰宅したら充電するのを習慣にするといいですね。従来の電気自動車の充電設備は、空の状態からフル充電まで約16時間かかりますが、V2Hならその半分の8時間で充電が可能です※6

  • ※5本記事での「レジリエンス」とは、災害などのリスクに対する抵抗力や災害を乗り越える力を指します
  • ※6充電容量40kWhの電気自動車を想定した場合。なお、充電時間は車種によって異なります

エコでクリーンな移動手段として「次に車を買い換えるなら電気自動車」と考えている方は一定数いらっしゃるのではないでしょうか?自宅でつくったクリーンなエネルギーを電気自動車と自宅で効率良く使えるV2Hは、経済的なメリットがあることに加えて、家庭から出るCO2排出量を大幅に削減できます。さらに、断熱性が高く省エネルギーな住まいなら、冷暖房費を抑え、消費電力を抑えることができます。

住まいづくりを検討されている方は、日常と非常時の安心と豊かさをかなえる、全天候型3電池連携システム+V2Hの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

家計や環境にやさしく、災害時の備えにもなるV2H。環境負荷を減らすクリーンな暮らしにご興味のある方は、ぜひ「電気の自給自足ができる 災害に備える家」カタログと「SMILE Edition」カタログ2冊セットを下記よりご請求頂き、住まいづくりの参考にしていただけたらと思います。

※掲載の情報は2024年10月現在のものです。

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