皆さんは自分なりの「衛生ルール」を持っていますか?
気心の知れた家族や友人であっても、衛生観はそれぞれ異なり、時には驚いてしまうこともあるでしょう。
今回は食中毒が発生する危険性がたくさん潜んでいる、「キッチンの衛生ルール」に注目。
キッチンツールの使い方やお手入れ方法まで、キッチンにまつわる衛生観をアンケートで解き明かします。
調査時期 | 2024年10月4日~10月14日 |
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調査対象 | My House Palette メールマガジン会員 |
有効回答数 | 653件 |
調査方法 | My House Palette メールマガジンでのアンケート |
Q1.ご自身のキッチン衛生管理レベルは
どのくらいだと思いますか?
10が最も高いレベル、1が最も低いレベルとして、ご自身のキッチン衛生管理レベルをお聞きしました。「8(24%)」と「7(23%)」が多く、「7」以上を高評価とした場合、7~10と答えた方の割合は全体の59%を占めました。半数以上の方が、一般的に見てある程度の衛生管理レベルであると評価していると考えられます。また普通レベルの「5」以上を含めると、90%以上を占める結果となりました。
これを踏まえ、キッチン周りの衛生観を一つずつ探っていきましょう。
Q2.食材や調理法によってまな板を使い分けたり、
洗ったりしていますか?
上位3つの回答が拮抗(きっこう)しましたが、最多は「使い分けはしていないが、野菜を切った後に肉や魚を切るようにしている(24%)」でした。このような衛生ルールを持つ理由には「火を通す料理ならそれほど気をつかわないが、食中毒を避けるために肉や魚は最後に切る」「食中毒も怖いが、洗い物の回数はなるべく減らしたい」などが挙げられました。
次に多かったのが「使い分けはしていないが、肉や魚を切った後は毎回洗剤で洗う(23%)」でした。これには「台所が狭いので、1枚を洗って使っている」など、スペースの問題から1枚のまな板を使い回しているキッチン事情があるようです。僅差だった「肉、魚、野菜ごとにそれぞれ使い分ける(22%)」を選んだ方の中には「小さな子どもがいて食中毒が怖いから」「洗い物が増えて面倒だが、食中毒対策には使い分けが一番安心」さらに「牛乳パックやラップなどを敷いて使う」という意見も。
このように、まな板の使い分けまではしていなくとも、使うたびに洗ったり、食材の切る順番を工夫したりすることで食中毒を予防している方が69%と大半を占めました。
年齢別に見ると、「使い分けはしていないが、野菜を切った後に肉や魚を切るようにしている」が20・30・40・50代において最多の回答。20代では47%と圧倒的多数、30代では「肉、魚、野菜ごとにそれぞれ使い分ける」と二分されました。20代では賃貸住宅に住んでいる方が多く、キッチンが狭いなどの背景もありそうです。また、40代以降は回答がバラつき、まな板における衛生観は人それぞれになっていくようです。
Q3.キッチンで台ふきんを使っていますか?
当てはまるものを一つお選びください。
「使っている(61%)」「ペーパータオルなどで代用している(30%)」「使っていない(8%)」「その他(1%)」という結果に。多くのご家庭で使われているペーパータオルですが、台ふきんの代わりに使っている方は、台ふきん派の半分以下となりました。これには、近年の物価高などの影響もありそうです。「その他」としては、アルコール、重曹スプレー、ティッシュや古タオルを小さくカットしたもの、ウェットティッシュを使うといった意見が寄せられています。
また、台ふきんを使っていると答えた方に管理方法を尋ねたところ、オリジナリティあふれる意見が並びました。
- 1日1回、塩素系漂白剤で除菌した後、洗濯機で洗濯する
- 他の洗濯物と一緒に洗濯機で洗っている
- 水洗い、もしくは中性洗剤で洗い、ふきん掛けで乾燥させる
- 電子レンジで加熱殺菌する
- 食事の準備をするごとに台ふきんも交換している
- 1回ごとに水道水で洗いアルコールスプレーをかけて消毒。元々タオルの使い古しを台ふきんにしているので、汚れやシミがついたら捨てる
- 使用後はお湯ですすぎ、1週間に2~3度洗濯。1カ月で捨てる。
※上記はアンケートに回答した個人の方法であり、正しい衛生管理方法であることを保証するものではありません。
手洗い派もいれば、他の洗濯物と一緒に洗濯機で洗う方もおり、消毒方法や頻度も人それぞれ。汚れがつきやすくニオイも出やすい台ふきんのお手入れ法には、それぞれの衛生観念が如実に表れています。
Q4.冷蔵庫の使用について、衛生面で気をつけていることをお選びください(複数回答)
「冷蔵庫は低温だから安心」と過信しがちですが、肉、魚、卵についた細菌やウイルスが他の食材や調理後の料理に付着することも。また、調理済みの食品を保存するときに十分に冷まさずに冷蔵庫に入れると内部で菌が増殖することもあります。
冷蔵庫の衛生対策は「熱いものは冷ましてから冷蔵庫に入れる(64%)」「しっかりとラップに包む、容器に入れるなどをしてから保管する(58%)」「ドアの開閉は少なく、手早くを心がける(46%)」の回答が上位に。庫内で雑菌を増やさない、付着させない、庫内温度を一定にして食品の傷みを防ぐといった意識は多くの方が徹底しているようです。しかし、「消費期限が切れたものはすぐに捨てる(26%)」「賞味期限が切れたものはすぐに捨てる(13%)」といった、期限切れの食品に対する意識は、他の回答に比べると低いのが印象的です。
選択された回答の詳細を聞いてみました。
- 冷蔵庫の中にも、小さい虫や細菌がいるので必ずラップやふたで密閉している
- ペットボトル飲料などは口をつけると飲み口から雑菌が入るので、開封済みのものは冷蔵庫に入れないようにしている
- 冷蔵庫内の温度が上がらないよう、ドアの開閉は最小限に行う
- 冷蔵庫の中の食品が行方不明になったり、消費期限が切れて腐ったりするので、1週間に1度は夫婦のどちらかが整理するようにしている
※上記はアンケートに回答した個人の方法であり、正しい衛生管理方法であることを保証するものではありません。
「その他」を選択した方のフリーアンサー
- 週に1度、アルコールタイプのウェットティッシュで掃除をする
- 土曜日に生鮮食品を使い切り、庫内のアルコール消毒をしてから日曜日に食材の買い出しに行くようにしている
- 冷蔵庫の脱臭剤は欠かさず入れる。出し入れに迷わないよう、ドリンク、卵、牛乳、麦茶、ジュース、納豆は定位置を決める
※上記はアンケートに回答した個人の方法であり、正しい衛生管理方法であることを保証するものではありません。
Q5.ごみ処理について、
気をつけていることを教えてください。(複数回答)
「缶や瓶は一度ゆすいでから捨てる(55%)」や「プラスチックは一度ゆすいでから捨てる(48%)」については、ごみのニオイ防止や害虫対策の観点からも、気をつけている方が多いのは納得です。次に多かった「三角コーナーを使わない(40%)」は「見た目が良くないうえにヌメリが出る、コバエも寄ってくるので使わない」という意見が多く寄せられ、約4割の方が三角コーナーを導入していないことが明らかになりました。また最近では、三角コーナーに代わってポリ袋ホルダーや自立型の水切りごみ袋などが登場しています。
ごみの捨て方は「生ごみも一般ごみに含めて捨てている(37%)」「生ごみは密閉袋などに入れてから捨てる(33%)」「三角コーナーは使うが毎日生ごみを捨てる(23%)」のように、ごみを密封し、こまめに捨てることで、衛生を保っているようです。
近年、話題となっているエコな生ごみ処理については、「生ごみはディスポーザーを使用する、またはコンポストを行う(8%)」とまだまだ少数派でした。しかし、「ディスポーザーは生ごみを粉砕して下水に流せるのでキッチンの衛生を保てる」「コンポストを使い、生ごみを家庭菜園の肥料として有効活用」などの意見が寄せられ、利便性やごみを減らす観点から導入している方もいました。一方、「生ごみは一度凍らせてから捨てる(4%)」の回答は、冷凍庫に生ごみを入れることに抵抗があるのか少数でしたが、実践している方からは「魚の内臓などニオイの出やすいものは新聞紙に包んで冷凍する」「ニオイや腐敗防止対策としてかなり有効」という意見がありました。
「その他」を選択した方のフリーアンサー
- 生ごみ処理は毎日必ず行う。ネットで排水周りを掃除して、スポンジの節約に
- 生ごみは新聞紙に包んで捨てると水気が吸収できてニオイも気にならない
- 野菜は皮をむかずに食べるなど、生ごみをなるべく出さないようにしている
※上記はアンケートに回答した個人の方法であり、正しい衛生管理方法であることを保証するものではありません。
Q6.キッチンについて、ご自身が理想とする水準の衛生管理はできていますか?
「できていない(36%)」「わからない(33%)」「できている(31%)」がほぼ互角に。Q1の質問で「キッチンの衛生管理レベル」を4以下(低評価)とした方の多くは「できていない」を選択。5~6(中評価)とした方は「できていない」「わからない」がほぼ同数でしたが、中でも「5」を選んだ方は「わからない」を選ぶ傾向が見られました。
また、Q1を7以上(高評価)とした方は「できている」と答えた方が最多となりましたが、その中で「7」としている方のみ、「できていない」という回答が一番多い結果に。一定の衛生管理レベルに達していても、さらに高みを目指しているため、自分自身では「できていない」と感じる方も多いようです。
性別で見ると女性の方が「できていない」と答えている方が多く、「自分は気にしているが、夫が汚してしまう」「就寝前に消毒清掃しているのに、その後に家族がキッチンを使ってしまう」といった、自分ひとりの努力ではどうにもならないモヤモヤを抱えている方も散見されました。
その他の回答理由も見てみましょう。
「できていない」
- 時間がなくて汚れた食器をため込みがち
- 家が古過ぎて、いくらキレイにしても衛生面の限界を感じる
- キッチンが狭く、缶・瓶、生活ごみなどがシンク周りにあふれている
- 自分はキレイに使うように気をつけているが、家族が汚してしまう
「できている」
- 食中毒は発生していないし、害虫も見たことがないから
- 夕食後、食器を片付けた後はガス台やシンクを洗剤できれいに拭き上げている
- これまで食中毒はなく、引っ越してきたときと近い状態を保てているから
- 料理しながら片付けを済ませ、使用後はシンクの水気まで拭いている
「できていない」の回答からは、時間がなく片付けが十分にできないという声や、キッチンが古かったり手狭だったりしてモノがあふれているといった声が聞こえてきました。一方、「できている」の回答からは、食中毒が発生していないこと、ニオイや害虫など困り事がないこと、キッチンの片付けを意欲的に行っている様子が伝わってきました。広くて動線が良く、使い勝手のよいキッチンは掃除もしやすく衛生管理も行き届いている印象です。
まとめ
食中毒予防、ニオイ対策、害虫対策など、さまざまな観点からキッチンの衛生管理に励んでいる様子がアンケートからうかがえました。「まな板」「台ふきん」「冷蔵庫」「ごみ処理」のお手入れ方法は人それぞれで、さっそく取り入れてみようと感じるアイデアもあったのではないでしょうか。
その一方で、キッチンの衛生管理に気を配っているものの、自分が理想とするレベルに達していないと回答した方も少なくありませんでした。これから家を建てる方は、調理をするときの使い勝手だけでなく、ご自身の衛生ルールに合ったキッチンを計画してみてはいかがでしょうか。理想の衛生管理が無理なくできるようになるかもしれません。