新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、私たちの生活は通常に戻りつつあります。
未曽有の感染症が私たちの暮らしや住まい方にどのような変化をもたらし、
そしてどこまで元通りになったのかを知るべく、アンケートを実施しました。
調査時期 | 2023年5月23日~5月31日 |
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調査対象 | My House Palette メールマガジン会員 |
有効回答数 | 466件 |
調査方法 | My House Palette メールマガジンでのアンケート |
Q1.感染拡大期の生活において、
どのような点で変化がありましたか?(複数回答)
まずは、新型コロナウイルス感染拡大期において、どのような変化があったのかを確認します。「衛生習慣」(46%)が最も多く、「食事(内食、中食(テイクアウト・デリバリー等)、外食)」(43%)、「仕事環境」(41%)、「友人や親戚間のコミュニケーション」(36%)、「レジャー」(35%)と続きました。外出自粛により、さまざまな変化を強いられたことがうかがえます。
その一方で、「テレワークが選択肢に増えて自分の時間が持てるようになった」「オンライン化が進んで便利になった」「いろいろなことを見直すいいきっかけになった」と、肯定的に捉える意見もありました。
コミュニケーションの部分でも「おうち時間が増えて家族関係が濃密になった」という意見がある一方で、「友人との交流が希薄になった」「長い時間を一緒に過ごしていて家族関係にストレスを感じた」という意見が見られるように、コロナ禍による生活の変化に対して、良い面も悪い面も見いだしていることがわかります。
Q2.ご自身の直近1週間の生活は、感染拡大期と比べて、どのように変わりましたか?最も近いものをお選びください。
最も多かったのは「おおむねコロナ禍以前のような生活に戻り、一部新たな生活習慣が残った」(33%)で、「ほぼコロナ禍以前のような生活に戻った」(19%)と合わせると、半数はおおむねコロナ禍以前の生活に戻っているようです。
しかし、「一部コロナ禍以前のような生活に戻ったが、おおむね新たな生活習慣が根付いた」(25%)と「コロナ禍中と何も変わっていない」(10%)、「かつてないまったく新しい生活になった」(2%)を合わせると、4割近くの人は新たな生活習慣での生活が当たり前になっていることがうかがえます。
どのように生活が変化したのか具体的に聞いてみました。
おおむねコロナ禍以前の生活に戻った人
オフィスに出社するようになったり、旅行やライブなどに出かけたりと、コロナ禍以前の生活に戻っている様子ですが、状況に応じてマスク着用や手洗い・消毒などの衛生習慣は引き続き継続しているという意見が多く見られました。
新たな生活習慣での生活が残っている人
衛生習慣の継続はもちろんのこと、在宅勤務が継続していたり、レジャーの頻度が変わらず減ったままだったり、外で食事やお酒を楽しむことにまだ抵抗があるといった意見が寄せられました。
Q3.新型コロナウイルス感染症が5類移行を迎えた今、やりたいことはありますか?当てはまるものをいくつでもお選びください。(複数回答)
やりたいことがあると答えた人の最多は「レジャー」(31%)。次に「友人や親戚間のコミュニケーション」(21%)、「食事(内食、中食(テイクアウト・デリバリー等)、外食)」(18%)、「仕事環境」(13%)、「ライフスタイル」(12%)と続きました。一方、「特にない」と答えた人も3割を占めています。コロナ禍で我慢していたことがあっても、それを行動に移すのはまだ難しいと考えている人もいるのかもしれません。
レジャー・コミュニケーション
- 海外旅行に行きたい。コロナ禍で行けなかった祖父母の地元にも行きたい
- コロナ禍前に友人と会おうと話していたが、そのままコロナ禍に突入。会えずじまいだったので会う機会を増やしたい
- 子どもや孫と遊ぶときにもマスクなしで表情を伝えてコミュニケーションを図りたい
衛生習慣
- 気持ちが緩みがちになると思うので、消毒・マスク着用を心がけたい
- マスク生活になって風邪をひくことも減ったので、これからもなるべくマスク着用と手洗いうがいは続けていきたい
在宅勤務
- 仕事はテレワークにしてほしい。家でやった方がはかどるし、家族とのコミュニケーションも増えるから
- 在宅勤務と出社を自らの意思で選択させてほしい
- 部屋にいる時間も気持ちよく過ごせるように、部屋を片付けたり断捨離をしたりしたい
レジャーやコミュニケーションはコロナ禍で抑圧されていた分、早く元の状態に戻りたいという気持ちがうかがえます。対照的に、メリットの多い衛生習慣やテレワークは引き続き継続していきたいという意見が多数でした。私たちの生活は、肯定的な変化を新たに取り入れつつ、「おおむね」コロナ禍以前の生活に戻っていくことになりそうです。
Q4.感染拡大がきっかけで住まいを変えましたか?
ここで、感染拡大が住まいにどんな影響を与えたのか聞いてみました。少数派ながら、感染拡大を受けて住まいを変えた人もいることがわかります。その理由はどのようなものでしょうか。
家を住み替えた
- 自宅にいる時間が増え、広い部屋に買い替えた
- 実家の両親になかなか会えないので実家近くに引っ越した
- テレワークが導入され、都会の賃貸マンションから自然豊かな一軒家に住み替えた。部屋数が増え、いろいろな場所で仕事ができるのでリフレッシュできる
- 持ち家に住み替えたので、コロナに罹患した際にはストレスなく過ごせた
- 感染対策を考えて、玄関の近くに洗面所を設けた家を建てた
リフォームした
- 自由に犬の散歩に行けなくなったので、庭を人工芝にして小さなドッグランを作った
- 畳は掃除がしにくいと聞き、衛生的なフローリングにリフォームした
- 換気・断熱リフォームをした
- 時期が来たのでリフォームした。理由は特にないが、コロナ禍の自粛で考える時間ができたのかもしれない
「いつかは住宅を購入したい」と考えていて、コロナ禍でそのタイミングが前倒しになった人もいました。新たな住まいには換気のしやすさ、帰宅したときの手洗い動線など、感染対策を盛り込んだり、おうち時間の増加を受けて部屋を過ごしやすくしたりするケースも見受けられました。
Q5.将来、予測不能の出来事が起こったときに備え、住環境全般でアップデートしたいと思うポイントはありますか?(複数回答)
6割近くの人が予測不能の出来事に備えて、何かしら住まいをアップデートさせたいと考えているようです。
中でも、室内の住環境に関わる「設備」(30%)、「家の間取りや動線」(19%)、「インテリア」(12%)の回答が上位を占めました。具体的にどこをアップデートしたいと思っているのかを見てみましょう。
設備(エネルギーシステム、換気システム、防犯システム等)
- 玄関で雑菌やほこり、汚れ、ニオイなどが除去できる設備があったら良いなと思う
- 昨今のエネルギー価格高騰を受け、もう少し手頃な価格になれば蓄電池を導入したい
- 自然災害でライフラインが途絶えた場合に備えて、太陽光発電容量の増大や蓄電システムについて検討したい
- 最近物騒な事件が多いので、防犯カメラなどのシステムを強化したい
家の間取りや動線
- 家族が病気になったとき、隔離できるような間取りを考えたい
- 手洗いなど衛生面で便利な動線にしたい
- 状況に応じて、共用と独立をフレキシブルに変えられる間取りや動線を工夫したい
インテリア
- おうち時間に備えて、家の中でも快適に過ごせるよう、新たな設備や気晴らしになるようなインテリアを考えたい
- 仕事と私生活で切り替えができる、持続可能なインテリアを考えたい
- 最近地震が多く、対策はしているが心配なので背の高い家具を減らしたい
二拠点居住などの先進的な住まい方
- コロナ禍で都心での暮らしが本当に息苦しく、地方都市移住の思いが強まった。仕事や子どもの学校の都合で今はかなわないが、希望だけはどんどん強くなる
- 家族が感染したときや災害が起きたときのために拠点を増やしたい
立地
- 地震や洪水のリスクを減らせる土地を探したい
- 老後に備えて、買い物に便利な立地に住み替えたい
「設備」に関しては手洗いや換気といった清潔志向の高まり、「家の間取りや動線」「インテリア」に関しては、家で過ごす時間が増えて居心地の良さを追求したり、「もっとこうしたい」という改善点に気づいたりするケースもあるようです。コロナ禍の3年間は、さまざまな角度から住まいを考えるきっかけになったのかもしれません。
感染症以外にも、近年増加している大型台風や大雨被害、地震などの自然災害、エネルギー価格高騰なども視野に入れた意見が目立ちました。
まとめ
コロナ禍でも生活を充実させるべく、私たちはいろいろと工夫を行ってきました。そういった工夫のうち、衛生習慣やテレワークをはじめとする良い変化は今後も取り入れられていくでしょう。コロナが5類に移行してさまざまな規制が緩和しても、完全に感染拡大前の生活に戻ることはないと考えられます。テレワークに適したスペースや感染対策に配慮した間取り、おうち時間を楽しむといった新たな視点も加えて、家づくりを考えてみてはいかがでしょうか。