消費税が10%になる2019年10月が近づいてきました。
住まいづくりでは、検討を始めてから家が完成するまでに
一般的に6か月から1年程度かかります。
今から情報を収集し、準備をすることが必要です。
一戸建ての場合、消費税は建物価格のみにかかり、土地の購入代金にはかかりません。しかし、土地の売買における不動産会社の仲介手数料や住宅ローンの事務手数料などには消費税がかかります。一方、団体信用生命保険やローン保証料などにはかかりません。住宅の購入にあたって消費税がかかるものとかからないものを、事前に確認しておきましょう。
また、引っ越し費用や家具・カーテン代など、住むために必要なものにも消費税はかかりますので、増税の影響は小さくないでしょう。できれば消費税が上がる前に家を建てたいですね。
今年の後半になると駆け込み需要で多くの人が動き始めると思われます。落ち着いて住まいづくりを計画するには、早めに動き始めることをお勧めします。
消費税が10%になるのは2019年10月からですが、住宅購入の場合に気をつけなければいけないのは、2019年10月までに請負契約を結んでいても、引き渡しが10月以降になれば基本的に10%が適用されるということです。消費税8%で家を建てるためには、2019年9月30日までに引き渡しを受けなければなりません。
しかし、過去の増税時と同じように経過措置が設けられます。増税の半年前である2019年3月31日までに請負契約を結んでいれば、引き渡しが10月以降になっても消費税8%が適用されるというものです。
つまり消費税8%で建てるには、
- 12019年9月30日までに引き渡しを受ける
- 22019年3月31日までに建物の請負契約をする
という二つの方法が考えられます。
また、消費税の増税に合わせて、税制優遇や補助金の制度の内容も変更されます。親族などから住まいづくりの資金を援助してもらえる人は、適用条件やどのタイミングで家を建てるのが一番いいのか、税務署や税理士に相談するといいでしょう。
消費税がかかるもの、かからないもの
消費税はすべてのものにかかるわけではなく、課税の対象としてなじみにくいものや、社会的配慮により課税することが適当でないため課税されないものもあります。住まいづくりに関して、課税されるものとされないものがありますので、把握しておきましょう。
消費税がかかるもの、かからないもの
消費税がかかるもの
- ● 建物の購入代金
- ● インテリア・家電・外構など
- ● 仲介手数料
- ● 住宅ローン融資手数料
- ● 司法書士への報酬料
- など
消費税がかからないもの
- ● 土地の購入代金
- ● 印紙代
- ● 住宅ローンの返済利息・保証料
- ● 地代・家賃(住宅用)
- ● 保証金・敷金
- など
消費税が10%になると、すまい給付金の最大給付基礎額が増額
「すまい給付金」とは、消費税率の増税に伴う住宅取得者の負担を軽減するための制度です。消費税8%の場合、住宅ローンを利用して住宅を購入すると、収入に応じて10万~30万円の給付金を受け取れます。消費税が10%の場合、給付金額は最大50万円となり、収入基準も緩和されます。
すまい給付金の給付基礎額
収入の確認方法
市町村が発行する課税証明書※1に記載される都道府県民税の所得割額で確認します。
収入額の目安は、扶養対象となる家族が1人(無職、16歳以上の子どもなど)の場合をモデルに試算した結果です。
※1:発行市区町村により、名称が異なる場合があります ※2:神奈川県は他の都道府県と住民税の税率が異なるため、収入額の目安は同じですが、所得割額が上表と異なります
注:現金取得者の収入額(目安)の上限650万円に相当する所得割額は13.30万円
対象となる新築住宅
住宅ローンを利用する場合
- ●自らが居住する住宅
- ●床面積50㎥以上の住宅
- ●工事中に第三者の現場検査を受け、以下の(1)~(3)のいずれかに該当する住宅
- (1) 住宅瑕疵担保責任保険に加入
- (2) 建設住宅性能表示制度を利用
- (3) 住宅瑕疵担保責任保険法人により、保険と同等の検査が実施された住宅
住宅ローンを利用しない場合(現金取得者)
- ●左記の要件
- ●年齢が50歳以上(引き渡し年の12月31日時点)の人が取得する住宅※3
- ●フラット35Sの基準を満たす以下の(1)~(4)のいずれかに該当する住宅
- (1) 耐震性に優れた住宅(耐震等級2以上の住宅または免震建築物)
- (2) 省エネルギー性に優れた住宅(一次エネルギー消費量等級4以上または断熱等性能等級4または省エネルギー対策等級4)※4
- (3) バリアフリー性に優れた住宅(等級3)
- (4) 耐久性・可変性に優れた住宅(劣化対策等級3、維持管理対策等級2等)
- ※3:10%時には、収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)の要件が追加されます
- ※4:省エネルギー対策等級4による証明書等の申請は、2015年3月31日で終了しています
「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度の控除額が拡大
「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度とは、両親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合、一定金額まで贈与税がかからない特例のことです。現在は700万円(省エネ等住宅は1200万円)ですが、2019年4月以降は消費税の税率と時期によって非課税限度額が増減します。2019年4月1日~2020年3月31日の期間は、消費税10%の場合、非課税限度額が2500万円(良質な住宅は3000万円)と大幅に増加します。年間110万円の基礎控除と併用できるので、合計すると2610万円(良質な住宅は3110万円)まで贈与税0円で援助が受けられるのです。
住宅取得等資金の贈与税の非課税措置
消費税税率が10%の場合
〈主な適用条件〉
- ●贈与年の翌年3月15日までに申告すること(期限後申告は適用なし)
- ●贈与年の翌年3月15日までに工事が完了し居住すること※5
- ●贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下であること
- ●住宅(増改築等の場合は工事後)の床面積が50㎥以上240㎥以下で、かつ床面積の1/2以上が受贈者の居住用であること
- ●その住宅(増改築後)の敷地となる土地等の取得も含む
- ●省エネ等住宅に該当する場合は住宅性能証明書等の書類が必要
※5:売買契約の場合 贈与を受けた年の翌年3月15日において引き渡しを受けていなければ適用はありません
請負契約の場合は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに棟上げをしていれば適用されます
(一社)住まいる総合研究所
井口 克美先生(住宅評論家)
1987年株式会社リクルート入社。SUUMO(旧週刊住宅情報)及びSUUMOカウンターにて、営業及び企画を担当。
マンションから注文住宅まで幅広い領域で活躍。2014年「住まいる総合研究所」を設立し、セミナー講師及び執筆活動に取り組んでいる。
2018年6月現在の情報となります。
内容は制度運用中でも変わる場合がありますのでご了承ください。