- 堀野 健一Horino Kenichi
- 一級建築士、インテリアコーディネーター
神奈川県横浜市生まれ。物心ついた頃から建築を仕事にすると心に決め、大学に進むと寝食の時間も惜しんで設計の勉強に没頭する。卒業後は6年間、住宅営業の経験を経て、設計士となる。楽しんで生きることを信条とする。家族は画家である妻と、息子が一人。
建築と建物は似て非なるもの
極論を言えば、敷地寸法や必要な部屋数などが定まれば間取りを作ることはできます。しかし、「建物」は作ることができても「建築」を作ることはできません。さまざまな敷地条件をご家族の暮らしに照らし合わせ、建築的思考を経て、想いを込めて設計された建物だけが「建築」になり得ます。私はエクステリア、インテリア、照明など、それぞれを個別に考えるのではなく、すべてが「建築」として意味を成すようなデザインを描いていきたいと思います。
固定観念を疑うと手に入る自由がある
住まいづくりには、敷地状況、ご予算、法律による規制などさまざまな枠が存在します。その中でいかにご希望に沿う住宅を建てられるかを考えるとき、私は固定観念を疑ってみます。例えば3LDK、4LDKという言葉は当たり前に存在しますが、いくつかの個室とリビング、ダイニング、キッチンが本当に必要でしょうか。ご家族の生活を詳しくお聞きすると、必ずしもリビングは必要なく、ダイニングを広くすることで暮らしやすく魅力的な家になるケースもあります。実際に私が設計した自邸も固定観念を疑い「子ども部屋」をなくすことで、限りある土地を生かした自分たちらしい家を生み出すことができたのです。
お客さまらしさを尊重する
注文住宅をご依頼いただく以上は「施主性」、つまりお客さまらしさを表現できる住宅をご提案したいと常に思っています。醸し出されるお人柄や、ご自宅を訪問した際に伝わってくる雰囲気、大切にしておられる物や楽しんでおられるご趣味など、あらゆることにアンテナを張り、何を建築に盛り込めばお客さまらしさが表現できるかと、ヒントを探しています。「なぜ家を建てたいのか」という根源的な目的を見失うことなく、お客さまと対話を重ね、ともに楽しみながらお住まいを作り上げること。それが建築家の仕事だと考えています。
※プロフィール等の情報は、原稿作成時(平成30年7月)のものです。