どうなる?賃貸住宅市況!2017年上期の賃貸住宅市況を振り返る
公開日:2017/08/25
2017年もすでに半分以上過ぎ、年末まであと4カ月と少しとなりました。
今回の連載では、上期の新規住宅着工数のデータが出そろいましたので、賃貸住宅(貸家)の受託実績がどうだったのかを振り返ってみます。
昨年1年間の賃貸住宅の着工数は41万8000戸(前年対比+10%)となっており、ミニバブル期以降では最高の数となりました。2016年の上期は、19万2000戸で、下期が22万戸と後半に大きく伸びた形となりました。2016年の年初は、2013年以降増え続けていたのが、一旦着工数の勢いが落ち着きを見せましたが、マイナス金利政策が効いて低金利が進み、春以降勢いが出てきたという状況でした。
2017年の上期はどうでしょう?
図1:2017年上期の貸家着工戸数
(国土交通省「住宅着工統計」より作成)
2017年上期の滑り出しは順調で、年度末(3月)に〆た数字では過去最高という企業も多かったようです。しかし、4月以降その勢いに陰りが見え始めています。
1月~3月は前年同月比10%前後のプラスで推移していたのが、4、5月は+1%台にとどまり、6月分ではマイナスとなりました。
しかし、半期の合計数字を見ると、2016年の上期は前述のように19万2000戸でしたが、2017年は20万1000戸でプラス4.7%となっています。
図2:2017年上期の貸家着工戸数(前年対比)
(国土交通省「住宅着工統計」より作成)
図2は2016年~2017年上期の貸家着工数の前年同月対比を折れ線グラフ化したものです。
グラフを見た感じでは、勢いが止まっている感がありますが、これを一過性のものとみるか、このまま勢いが止まるのかはしばらく様子を見なければなりません。
賃貸住宅市場は、2012年の秋ごろからジワジワと勢いが出てきましたが、その後消費税増税、相続税改正というかなり強い追い風を受けて、大きく伸びました。そして2015年秋~2016年頃に一旦落ち込む気配を見せましたが、マイナス金利政策という追い風を再び受けました。
とくに、相続税改正の影響は大きく、地方都市においても、賃貸住宅を活用した対策が広まり、土地を所有する方が新たに賃貸住宅経営を始められました。こうした動きが一巡したという状況にあるのかもしれません。
しかし、賃貸住宅需要が今後も伸びるエリアはもちろん、地方においても需要が底堅いエリアにおいては、有効な資産活用であることは間違いなく、また空室の出にくく賃料下落しにくい賃貸住宅を建設することは、節税だけでなく、収益をあげるという点でも有効なことは間違いありません。
こうしたことから、2017年下期は昨年ほどの勢いはないと思われますが、まだまだ賃貸住宅の建設の勢いは旺盛だと思われます。