意外に日本の人口は減っていない! 最新予測データ分析
公開日:2018/06/29
POINT!
・日本の人口減少は、都市部を中心に人口減少のスピードが緩やかになっている
すでに日本は人口減少局面に入っています。
書店に行くと、「人口減少社会を迎える日本の未来像」がかなり悲劇的に書かれた書籍が並んでいます。人口減少がもたらす可能性のあるネガティブな出来事の解説に、「このままの日本で大丈夫か?」と思ってしまうほどです。
報道では、昨年1年間に生まれた新生児の数が過去最低水準の94万人に留まり、政府はさまざまな対応をしているものの出生率が伸びていないとありました。
未来の日本の人口予測は、「国立社会保障・人口問題研究所」が予測・公表しているデータを基にしているものがほとんどですが、実はこの予測が微妙に変化しています。
日本の人口推移
日本の人口は、明治維新の頃、約3300万人でしたが、その後一気に増え始めます。
終戦前に減りましたが、終戦時(1945年)には約7200万人でしたので、明治~終戦までの約80年間で倍以上になりました。そして戦後、人口は加速度的に増えていきます。1967年には1億人を突破、その後も増加の角度は小さくなったものの、ジワジワと増えていきます。ピークは2008年の1億2808万人、現在は1億2700万人台で、少しずつですが、減少しています。
そして、この先日本の人口は、今のままの出生率が続くようだと2100年には5000万人を割りそうだと予測されています。
2018年3月30日に、国立社会保障・人口問題研究所から『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』が発表されました。これによると、5年前(2013年)に発表された同予測に比べると、日本の人口減少は予測よりもかなり緩やかになっているようです。確かに、2040年には日本の人口は減っていますが、2013年予測に比べて2018年時点での予測は、日本全体でプラス3%となっています。(出生、死亡とも中位予測、以下同じ)
(図1)日本の人口推移と将来人口予測
人口推移:総務省データ、将来人口予測:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25 年推計、平成30 年推計)」より作成
図1の実線はこれまでの人口数字(実数)で、点線は赤色が2013年に推計されたもので、青色は2018年に推計されたものです。人口減少がやや緩やかになっているのが分かります。2030年、2040年で3ポイント程度乖離があります。
都道府県別人口
予測これを都道府県単位で見たのが、図2です。
図2:2040年の人口推計2013年予測と2018年予測の比較(都道府県別)
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25年推計、平成30年推計)」より作成
東京都における、2013年に予測された2040年の人口に比べて、2018年に予測された2040年の予測人口は、なんと12ポイントも増えています。
2013年時点の予測では、2015年から2040年で92.2%(人口はマイナス7.8%)でしたが、2018年の予測では、101.8%(人口はプラス1.8%)とマイナスからプラスに転じました。同様に、福岡県では、86.8%が92.2%となり、プラス5.4ポイントとなっています。図2を見れば分かるように、29都道府県が2013年の予測よりもプラスになっています。都市部を中心に、人口減少のスピードが緩やかになっているようです。
また、東京が最も大きく乖離しています。これは、東京への人口流入が予想以上に進んでいるのが原因だと思われます。
一方、2013年予測よりも、さらに人口減少スピードが早くなりそうだと予測されている県が11あります。図2における100%未満の県です。
人口減少の予測は、徐々に変化しています。これからも注意深く見守っていく必要があるでしょう。