家族構成の変化と住宅のあり方
公開日:2019/09/30
POINT!
・夫婦のみ世帯は増え、夫婦と子どもが同居する世帯は減少
・2000年以降、世帯のあり方が少しずつ変化し、住宅のあり方も変化
人の住まい方は、主に世帯(家族構成)によって左右されるといえます。世帯の動向を見れば、「どのような住宅がいま求められているのかが見える」ともいえます。
5年に1度調査される「国勢調査」は、総務省が取りまとめ分析していますが、その中に、「世帯構造等基本集計結果」というデータ(資料)があり、これをみると家族構成の変化が見えてきます。家族構成の変化が見えれば、住まいのあり方の一片が見えてきます。
- ※国勢調査は5年に一度行われています。今回のデータは最新の2015年国勢調査の結果を集計し、 2017年に総務省が発表したデータを元にしています。次回の国勢調査は2020年です。
緩やかに増え続ける夫婦のみの世帯
夫婦のみの世帯の割合は、2000年、2005年、 2010年、2015年(以下、この期間と表記)の調査で毎回少しずつ増えています。
全世帯に占める割合は2000年18.9%→2015年20.1%となっています。結婚してまだ子どものいない世帯に加えて、子どもが世帯を離れた老齢夫婦が主です。このうち、結婚して子どものいない世帯の多く、その中でも若年夫婦の大半は賃貸住宅に暮らしていると思われます。
減り続ける夫婦と子どもから成る世帯
かねてから典型的な世帯といわれてきた、夫婦と子どもから成る世帯の割合は、この期間(2000年から2015年)に、回を重ねるごとに減少しています。2000年31.9%→2015年26.9%となっており、いまや4世帯に1世帯という割合です。この世帯は賃貸派と所有派の両方がありますが、所有する住宅に住む方の方が少し多いようです。2000年には最も大きな割合を占めていた世帯でしたが、いまや単独世帯のほうが圧倒的に多くなっています。
大幅に減少している2世帯=3世代世帯
大幅に減少しているのは、3世代で暮らす家庭です。おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんと子どもの世帯です。
2000年にはその割合が10.1%だったのが、毎回10%以上減少し、2015年には5.7%となりました。2010年から2015年の5年間には、なんと17.4%も減少しています。
1つの家に同居か、2世帯住宅と呼ばれる家など、この世帯の多くは所有する住宅に住んでいると思われます。かつて、住宅展示場で2世帯住宅のモデルハウスを時折見かけましたが、最近はあまり見かけません。この3世代世帯(2世帯家庭)は、この先どんどん減っていくと思われます。
増え続ける単独世帯
逆に、この15年間で増え続けているのは、単独世帯です。2000年には27.6%でしたが、回を重ねるごとに割合は増え、2015年調査では34.6%になっており、いまや日本で最も多い割合の世帯構成です。
この調査で、単独世帯は2つのカテゴリーに分かれています。「65歳以上の単独世帯」と「それ以外の単独世帯」です。65歳以上の単独世帯」は、死別などによる単独世帯だと思われ、毎年20%を超える勢いで増え続けています。「それ以外の単独世帯」に該当するのは、概ね、若年層、未婚者、離婚者でしょう。その多くの方が、賃貸住宅に暮らしていると思われます。
2000年以降の日本では世帯のあり方が少しずつ変化してきています。そして、今の傾向はこれから先も続き、住まいのあり方も変化し続けるものと思われます。