固定資産税据え置きと住宅ローン減税の拡充!2021年度住宅・不動産関連の税改正について
公開日:2021/01/06
POINT!
・2021年度の税制改正は、固定資産税の評価額が前年度より高くなる場合、令和2年度税額に据え置き
・住宅ローン減税の対象が緩和される
与党より2021年(令和3年)度の税制改正大綱が公表
2020年12月10日に、与党による2021年(令和3年)度の税制改正大綱が決定され、公表されました。
この税制改正大綱をベースに、財務省と総務省が「政府の税制改正大綱」と「地方税制改正案の概要」を取りまとめます。この後、閣議決定→国会での審議と採択(改正する項目しない項目を選択)→国会での可決成立→公布→4月1日から施行、という流れになります。
本来は、このような流れを経て改正されますが、与党の案が概ねそのまま実施されるため(時には採択されない項目もある)、12月半ばに発表される「与党による税改正大綱」に注目が集まるわけです。(以降はすべて採択されたものとして紹介しています)
税制度改正は、社会の状況を鑑みて、毎年多かれ少なかれ改正されます。誰(個人・法人)から、どのような形式で(間接税・直接税)、どのくらいの税率で税金を徴収するかは、大きな政治的問題であり、社会情勢によりフレキシブルな対応が求められます。また、このところは税収が足りず、多額の国債が発行されていますが、国家予算は基本的に税により賄われます。つまり、国の財政状況にも税制度は関係してくるというわけです。こうしたことが、毎年税制改正が行われる大きな理由といえるでしょう。
現在、新型コロナウイルスの影響により、企業の経営状況の悪化及び家計の所得環境の悪化、つまり経済状況の悪化が深刻な問題となっています。今回の与党による税制改正大綱には、さまざまな税の負担軽減や軽減措置の延長が含まれています。
固定資産税の据え置き
「不動産・住宅・土地活用」に関連した2021年の税改正では、メディアも大きく取り上げていたように、2021年度の土地にかかる固定資産税が据え置きとなります。
国土交通省の「令和3年税制改正概要」によると、「土地に係る固定資産税について、現行の負担調整措置等を3年間延長するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ令和3年度は、評価替えを行った結果、課税額が上昇する全ての土地について、令和2年度税額に据置」とあります。
通常、土地の固定資産税は、3年ごとに評価額の見直しが行われます。本来、2021年(令和3年)度からの3年間は、2020年1月の地価公示に基づいて課税されることになっていました。
近年地価が上昇していたため、2021年度の固定資産税は多くの地点で固定資産税が増加する見込みでした。しかし、税負担の増加により新型コロナウイルスの影響が収まった後の経済回復に悪影響が出る可能性があると判断され、2021年度に限って負担軽減措置が取られることになりました。住宅地や商業地や工業地、農地など、すべての土地が対象です。
具体的には、近年の地価上昇に伴って2020年1月の地価公示に基づく課税額が、2020年度を上回る場合、2021年度の税額は据え置きになり、地価の下落によって課税額が減る場合はそのまま課税額の引き下げが行われることになりました。
住宅ローン減税について
消費税率10%への増税に伴う反動減を抑制するために、住宅ローン減税の適用期間が、それまでの10年から13年に延長されました。住宅ローン減税の3年延長を適用される特例措置は、2020年(令和2年)12月31日までの入居が対象でしたが、注文住宅の契約は2021年(令和3年)9月30日分まで、分譲住宅は2021年(令和3年)11月30日分契約まで延長されます(令和4年12月31日までに入居する必要があります)。
また、これまで住宅ローン減税の対象となるのは、床面積が50m2以上の物件でしたが、40m2以上に緩和されます。しかし、この40~50m2の物件については、世帯の所得制限3000万円以下から1000万円以下に引き下げられ、厳しくなります。これは、多くの投資用マンションが対象に含まれることから、富裕層による投資物件での適用を排除する意味合いが強いと思われます。
さらに、住宅取得等の資金に使うための贈与に伴う贈与税の非課税措置(最大1500万円)も現行のまま延長されます。
このように、住宅取得や不動産を所有すると必ずかかる税の軽減(あるいは軽減措置の延長)が決まりました。税制は、個人か法人かによっても異なりますので、詳細は専門家である税理士等にご相談ください。