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コラム vol.373-3
  • 不動産市況を読み解く

減り続ける世帯構成人員と求められる住まいの変化(3)世帯数はいつまで増え続けるのか?

公開日:2022/01/11

POINT!

・人口減少が進む一方で、世帯数は伸び続けている。しかし、2023年まで増えた後は、減少が予測されている

・世帯構成人員はすべての都道府県で減少し続けると予測されている

・世帯の変化は住まいのあり方に変化をもたらし、「求められる住宅」も変わっていく

最新の国勢調査が2021年11月末日に公表されました。これによれば、2020年10月1日現在、わが国の世帯数は5583万世帯で、前回調査(2015年)から238万1000世帯増加(プラス4.5%)となっています。世帯数の推移は、調査開始(1920年:大正9年)から一貫して増加しています。今回の調査では、2015年の調査と比較して増加率がプラスになったのは43都道府県にのぼり、減少は4県(高知・秋田・長崎・山口)だけでした。このように、人口減少が少しずつ進むわが国ですが、世帯数は伸び続けています。5年ごとの世帯数の増加率を見てみると、1975年から1980年以降しばらく5~7%台で推移してきましたが、2010年から2015年は2.9%と低下。しかし、2015年から2020年では4.5%となり、増加率が再び大きくなりました。
わが国の人口は2011年以降、少しずつですが減少を続けています。大量の移民が移住するなどしない限り、日本の人口は今後一貫して減り続ける見込みです。現在増えている世帯数ですが、人口減少が続くということは、いつかは世帯数が減る時が来るでしょう。では、いつ頃まで増え続けるのでしょうか。

世帯数の将来予測

世帯数の将来予測は、厚生労働省に所属する研究機関である国立社会保障・人口問題研究所が、国勢調査をもとに5年ごとに行っています。最新の調査は2015年の国勢調査をもとに将来推計し、2019年に公表されたものとなります。以下、この推計データをもとに進めます。

推計によれば、わが国全体の世帯数は2023年まで増えますが、その後は減少の見込みで、2040年の世帯数は、2015年と比べて4.8%の減少になると推計されています。都道府県別でみれば、2015年と2040年の世帯数を比較すると、42道府県において2040年の世帯数が2015年を下回ります。とくに、秋田県(-22.6%)など19道県では10%以上の減少となるようです。逆に、沖縄県(+13.3%)など5都県では、2040年の世帯数は2015年よりも多くなる見込みです。
見込みによれば、あと数年で世帯数が減少すると推計されています。しかし、この研究所による5年ごとに行われる世帯数の推計結果の各調査年度を追ってみると、世帯数については現在に近づくにつれ、世帯数は増加し、減少予測時期が遅くなっています。(上図参考。年は基になる国勢調査を指します)

図1:全国 将来世帯数推計の変化

国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数将来推計」より作成

緑・黄・赤の違いを見れば明らかなように、予測より少しずつ減少が遅くかつ少なくなっています。これは、単独世帯が予測を超えて急速に増えているためだと思われます。調査結果に詳しくありますが、2040年の単独世帯数は2015年比で8.3%、37都道府県で増加の見込みとなっています。

増える単独世帯数

世帯構成人員は減少を続けています。予測推計では、この先平均世帯人員はすべての都道府県で減少します。また、2040年の2015年対比でも、すべての都道府県で減少する見込みです。2015年に平均世帯人員が1.99人となった東京都に続き、2040年までに北海道や高知県で平均世帯人員が2人を下回ると推計されています。都市部での減少は、都市化が進みライフスタイルの変化(結婚観や家族感、働き方の変化など)が要因で、地方では過疎化と高齢化が進んでいることが要因と推測されます。
また、2015年には41都道府県で最大の割合を占めていた単独世帯ですが、2025年までにはすべての都道府県で最大の割合を占めるようになると予測されています。

まとめ

こうした世帯の変化は、住まいのあり方に変化をもたらします。またそれは、住宅需要の変化、つまり「求められる住宅」に変化が起こるということです。わが国では人口はすでに減り続け、数年後には世帯数の減少も始まると、同研究所では予測しています。それにより、若年層の一人暮らしの増加、死別等の要因による一人暮らしの高齢者が増加するでしょう。土地オーナー様には、こうした時代に求められる住宅を検討していただきたいと思います。

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