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コラム vol.377
  • 不動産市況を読み解く

ウッドショックは木造住宅工事費にどれくらい影響があったのか?

公開日:2022/01/21

2021年の春から夏にかけて「ウッドショック」という言葉が盛んに使われるようになりました。世界的に木材価格が上昇し、供給が追い付かず木材価格が上昇しました。
以前、本サイトで紹介した「建設工事費は近年どれくらい上昇しているのか?」は、多くの方に読んでいただきましたが、建築材料費、労働人件費を含めた建築費の上昇は土地活用を考えている方には関心のあることでしょう。
今回は、ウッドショックの影響が建設工事費にどれくらい影響があったのか?また、いつまで続くのか?を考えてみます。

ウッドショックの背景

2020年の後半から世界的に木材価格(丸太価格や製材価格)が上昇し始めます。我が国においても、2021年春ごろからその傾向が顕著になり「ウッドショック」と呼ばれるようになりました。
2020年春ごろから全世界に広まった新型コロナウイルス感染症の影響は、いったん2020年5月~6月頃に落ち着きを見せます。7月に入るとアメリカでの住宅建築需要の増加が顕著になります。リモートワークが進み郊外に住まいを求める方が増えたこと、自宅の改装(リフォーム)をする方が増えたことに加えて、金融緩和が進み低金利になったことで住宅ローンが借りやすくなったことなどが住宅建築増のトリガーとなったようです。こうして、アメリカにおける住宅建築許可件数は2020年7月以降2021年夏ごろまで高水準が続きます。
いうまでもなく、住宅には多くの木材が使われていますが、世界各地で起こった大規模山火事で原材料が不足していたこと、そして新型コロナウイルス感染症の影響で製材業者などが休業に追い込まれたことなどが重なり、供給量が少なくなっていました。堰き止められた水が一気に流れるかのように急増する木材需要に供給量が追い付かなくなったというわけです。こうして世界中で木材価格が上昇、日本にも大きな影響をもたらしたというわけです。

国内企業物価指数に見る木材価格の上昇

我が国では、住宅に使われる木材の約6~7割弱が輸入材ですので、世界の木材価格の上昇により大きな影響を受けています。
特に2021年春以降その傾向は顕著になります。企業間の取引価格を基に指数化した国内企業物価指数の「木材、木製品」の項目を見れば、一目瞭然です。

図1:企業物価指数「木材・木製品」前年同月比(速報値)

日本銀行調査統計局「国内企業物価指数」より作成

図1は日銀調査統計局が毎月公表している「国内企業物価指数」の「木材・木製品」項目の指数の前年同月比の推移を示したものです。
2021年3月以降、木材・木製品の価格上昇が続き、最新データ(執筆時点:2021年12月21日)がある11月まで、高値が続いています。
世界的にワクチン接種が進み、2021年の夏以降は、いくぶん新型コロナウイルス感染症の影響も落ち着きを見せており(新種株などの影響もありますが)、それに伴い木材においても需給バランスが取れてきているようです。木材先物価格の推移を見てみると輸入材価格(先物)も、価格下落基調になっています。
こうしたことから、我が国の木材価格は高値が続いているものの上昇局面からは脱したようです。これは、国内企業物価指数の同項目の前月比の推移を見れば分かります。

図2:企業物価指数「木材・木製品」前月比(速報値)

出所:日本銀行調査統計局「国内企業物価指数」

図2のグラフが示すように、上昇幅のピークは2021年7月で以降上昇ペースが落ち込み、2021年11月にはマイナス0.2となっています。つまり、いまだ高値展開ではあるものの、上昇局面から、徐々に調整局面に入っているものと思われます。

ウッドショックは木造住宅工事費にどれくらい影響があったのか

それでは、2021年春以降のウッドショックは木造住宅工事費にどれくらい影響があったのでしょうか?

図3:工事費デフレーター(木造住宅)

出所:国土交通省「建設工事費デフレーター(2015年度基準)」

図3は、国土交通省が毎月公表している「建設・建築工事費デフレータ」のうち、木材価格が最も大きく影響をもたらすであろう、「木造住宅工事費デフレータ」だけを抽出したものです。データは最新(執筆時2021年21年12月21日)の9月分までで、2015年基準(=100)を指数化したものです。 これを見ると、2021年に入り少しずつ上昇し、2021年5月頃から上昇が顕著になったのが分かります。メディア等が盛んに「ウッドショック」として取り上げた頃に合致しています。

ここまで見てきたように、世界的に起こったウッドショックは、我が国においてもはっきりとその影響が見られました。しかし、2021年末の現在では、いまだ木材価格は高値圏にあるものの、落ち着きを見せ始めています。一時的な需給バランスの崩れは解消していますので、2022年に入れば、木材価格は多少下落するものと思われます。

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