「和」の空間で過ごす時、不思議と懐かしさや穏やかさを感じることはありませんか?
今回は、心地よい空間を演出するための効果的な「和」の取り入れ方をご紹介します。
洋式の暮らし方が根付き、独立した和室を設けた住まいは減りつつある一方、「和」の趣を感じられるプランニングは依然として人気があります。
畳敷きの空間は座った時の視線に合わせて重心を低く設定するため、自然と落ち着いた印象になります。リビングと一体になった畳スペースをしつらえたり、ダイニング横の家事スペースを畳敷きにしたりするのも良いでしょう。静謐(せいひつ)ながら温かみのある、ほっと一息つけるような空間が生まれます。
住まいに和の趣を取り入れる際は、現代的なデザインに馴染ませる工夫が必要です。床の間や長押(なげし)、小壁(こかべ)といった和室を構成する要素を省いてすっきりとした佇まいにしたり、住まい全体のデザインやインテリアと調和する素材・色味を選んだり。ライフスタイルに畳が合わなければ、建具をモダンなデザインの障子にしたり、壁面の一部を塗り壁や和紙を用いたアクセントクロスにしたりするだけでも、和の雰囲気を味わえます。
暮らしに合わせた和の空間を設けて、心安らぐくつろぎの時間をお過ごしください。
心地よい「和」の
空間づくりのヒント
温かい和の雰囲気を生む方法はさまざま。
現代の暮らしやデザインに調和する、洗練された和の空間づくりのヒントをご紹介します。
1要素を減らしたデザインを選ぶ
昔ながらの和室は構成要素が多く、そのまま現代の住まいに取り入れるとモダンな印象になりづらいです。そこで、鴨居や長押、障子の格子、畳の縁など、縦・横のラインを強調する要素を減らしたデザインにすることで、すっきりと洗練された空間に仕上げられます。
伝統的な和室の造りをベースにできるだけ要素を省き、シンプルな佇まいに
2色味をインテリアに合わせる
和の空間だけが不自然に浮いてしまわないよう、畳やクロス、建具などの色は住まい全体のコーディネートを意識して選びましょう。主流の和紙畳はカラーバリエーションが豊富で、選ぶ色によって空間の印象を大きく変えることができます。
鴨居・敷居や障子の格子に黒い塗装を施し、隣接するホールと美しく調和するデザイン
3和の空間を住まいのアクセントに
こだわりの和の空間は、住まいの表情を豊かにするアクセントにもなり得ます。フロアレベルや照明、建具のデザインなどに趣向を凝らすことで、意匠性の高い空間へと仕上がります。
左)ちょっと腰掛けたくなる小上がりの畳スペースには、空間をゆるやかに区切り、メリハリを生む役割も
右)障子を閉じると内側から柔らかい光が漏れ、まるで部屋自体があんどんのようになる畳スペース
4素材を効果的に取り入れる
住まいの一部に和の素材を使うだけでも、趣のある空間を演出できます。ライフスタイルに和室や畳スペースが合わない場合は無理に採用せず、壁面や建具に和を取り入れてみるのもいいでしょう。
左)モダンなデザインの障子は、洋室に使用するのもおすすめ。落ち着いた雰囲気を演出できます
右)スキップフロアを畳敷きにして、座ったり寝転んだりできるくつろぎのスペースに