土地を購入して注文住宅を建てる場合、最初にどこに相談するのがいいのでしょうか?不動産会社から土地を購入して、その後でハウスメーカーに相談すると思っている方もいるかもしれませんね。実はハウスメーカーでも土地を紹介してくれます。むしろ、土地の取得段階から相談して家づくりを始めたほうが何かとメリットが多いのです。
土地・建物にかける総予算をバランスよく計画できる
土地を先行して取得する場合には、資金計画面でのリスクがいくつか考えられるので注意が必要です。
住宅を建築する際には、総予算を土地の費用と建物の費用をバランスよく按分しなければなりません。土地に費用をかけすぎると建物の予算が減るか、総予算をオーバーしてしまいます。その点、ハウスメーカーに相談すれば、土地と建物価格のトータルバランス、そして希望の間取りがとれるのかどうかを見ながら予算のコントロールをしてもらえます。
意外とかかる「仲介手数料」を抑えられる
不動産会社の仲介する土地を購入する際、一般的に(土地価格の3%+6万円)+消費税の仲介手数料が発生します。例えば、土地価格が3,000万円なら、仲介手数料は3,000万円×3%+6万円で96万円。消費税を入れると103.68万円が必要になります。ハウスメーカーから直接土地を購入すると、この仲介手数料がかからないことが多く、コストを抑えることができます。
土地・建物の契約時の窓口をひとつにできる
土地の先行取得の資金や、注文住宅を建てる時に必要な着工金や中間金などを自己資金でまかなえなければ、土地代だけ先に融資してもらう「土地先行融資」や、一時的に資金を借り入れる「つなぎ融資」が必要になります。住宅ローンは物件を担保にするため、完成するまでは組むことができないからです。住宅ローンを組む金融機関と同一金融機関に依頼することになりますが、ローン契約にはさまざまな書類や手続きが必要で、施工会社や建築プランなどが決まっていないと融資してもらえないことがあります。ハウスメーカーに土地購入から依頼した場合、土地の契約や建物契約時の手続きなどが一つの窓口になるので手間が省けます。
建てたい家が建つ土地を効率よく探してもらえる
住宅を建てる際、用途地域や建築基準法、地域の建築協定などで、建物の高さや広さ、建築に際しての条件などが決まりますので、土地を先行取得する場合は、建てたい家が建てられるかどうか、土地の契約前に確認する必要があります。土地の選定からハウスメーカーに依頼していれば、最初から条件にあった土地を探してもらえるので、土地の見極めが早く効率的です。また、地盤改良や地盤強化などが必要な場合は、事前にアドバイスや提案もしてもらえるので安心です。
土地により、さまざまな条件が生じます
- 地域の建築協定が定められている
- 敷地境界線からのセットバックが必要
- 接道の状態(幅4m以上の道路に2m以上接していないなど)により再建築不可
- 斜線制限が建物形状に影響する
- 建ぺい率・容積率により、建物の規模が制限される
まとめ
土地選定の段階からハウスメーカーに相談することで、土地と建物の費用按分など、予算内でのコントロールがしやすくなります。また、建てたい家が建つかどうかの見極めができ、条件に沿わない土地を購入して後悔する可能性は少なくなります。土地から住まいづくりをスタートする人は、土地探しの段階からハウスメーカーに相談し、土地と建物を同時進行で検討するのがいいでしょう。
※掲載の情報は2018年3月現在のものです。
アドバイス
(一社)住まいる総合研究所 / 住宅評論家
井口 克美先生
1987年株式会社リクルート入社。SUUMO(旧週刊住宅情報)及びSUUMOカウンターにて、営業及び企画を担当。マンションから注文住宅まで幅広い領域で活躍。2014年「住まいる総合研究所」を設立し、セミナー講師及び執筆活動に取り組んでいる。