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家づくりを知る

地震に強い家づくりの第一歩
~耐震等級は何を指す?~

4つのプレートの境界線上に位置する日本は、世界でも有数の地震多発地帯。
日本で暮らす上で地震は避けることができない現象だからこそ、
そのメカニズムを理解し、被害を最小限に抑えることが大切です。
今回は、地震に強い家づくりを考える上で知っておきたい法律や性能表示について、
住宅事業推進部の瀬戸口がお話しします。

大和ハウス工業株式会社 住宅事業推進部skye改善プロジェクト室 専任部長・シニアメンター

瀬戸口 正樹

1級建築士・1級建築施工管理技士

商品開発部門で30年以上市街地向け住宅商品の企画・開発を担当。現在は開発担当者の支援と、経験と知識を生かし、後進の育成を行う。

住まいの耐震性能に関わる2つの基準

日本は4つのプレートが交差する位置にあり、各地に活断層が存在する地震リスクの高い地域です。さらに、地震にはプレートの摩擦によって起こる「プレート境界型地震」と、内陸部にある活断層が動くことで発生する「直下型地震」の2種類があり、両方を想定しておく必要があります。日本で暮らす限り、こうした地震による被害を念頭に置いた、住まいの高耐震化が不可欠だと言えるでしょう。

地震に強い家を考える上で知っておきたいのが、「建築基準法」と「住宅性能表示制度」の2つです。建築基準法は、建物の敷地、構造、設備や用途について必要最低限の基準を定めることで、住まい手の命、健康、財産を保護することを目的としたもの。その中で、建物の耐震基準が定められています。一方、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく住宅性能表示制度は、共通の基準を用いて住宅の性能を「見える化」する仕組みで、義務ではなく任意の制度です。この制度の中で、耐震性能を表す指標として「耐震等級」が設定されています。

1981年以前に建てられた建物に注意が必要な理由

建築基準法は1950年に施行されて以来、震災を経験する度に見直され現在に至っています。中でも大きな転換点となったのは1981年。1978年の宮城県沖地震で甚大な家屋倒壊被害が発生したことを受けて、耐震基準が大きく改正されました。1981年以前のものは「旧耐震基準」、以降のものは「新耐震基準」と呼ばれます。旧耐震基準では概ね震度5弱の地震で倒壊しないことが基準とされていましたが、新耐震基準では、さらに極めて稀に発生する概ね震度6弱・6強の地震で倒壊しないことが定められました。

新耐震基準は1981年6月1日に施行され、それ以降に建築確認を受けた建物に対して適用されています。自分の家が新耐震基準に基づいて建てられているかどうかを調べるには、建築確認申請の確認済証日が1981年6月1日以降であることを確かめる必要があります。1981年以前、もしくはその前後に建てられた建物に関して不安があれば、まずは耐震診断を行うことをお勧めします。

建築基準法と住宅性能表示制度

また木造に関しては、2000年にも木造戸建て住宅の耐震性を大幅に高める内容が盛り込まれたため、1981年と2000年の2つを目安にすると良いでしょう。

地震に耐える力を表す「耐震等級」

住宅性能表示制度は、構造の安定、火災時の安全、高齢者等への配慮などの10項目で住宅の性能を評価する制度です。以前は家を建てる側がそれぞれ独自に表示していた住まいの性能を、第三者である「登録住宅性能評価機関」が共通の基準で客観的に評価。目には見えない住まいの安全・安心を信頼性の高い方法で可視化することにより、住宅の比較検討がしやすくなりました。ここで建物の耐震性能を表す基準となるのが耐震等級です。建築基準法は建築における最低限度の基準ですが、耐震等級はより高い耐震性能も表す指標となっています。

耐震等級は、「倒壊等防止」と「損傷防止」の2種類の項目について定められています。等級1は、建築基準法と同程度の強さの建物。その1.25倍の地震力に耐えうる建物が等級2、1.5倍が等級3とされています。現在、主なハウスメーカーが供給する標準仕様は等級3がほとんどです。ただし、変形して揺れを吸収する構造の建物は「損傷防止」の項目で等級が低くなるケースもあるなど、建物の特性により等級が異なります。

住宅性能表示の耐震等級

住宅性能表示の耐震等級

これから家を建てる方へのアドバイス

家づくりを考えている方は、こうした基礎知識を押さえた上で、地盤についてもよく調べることをお勧めします。その場所が以前どのような土地だったか、地盤の固さはどの程度かをチェックしておきましょう。また、最近は活断層の場所が細かく特定できるWEBサイトもあるため、合わせて調べておきたいところ。もちろん活断層があれば確実に地震が起こる訳ではありませんが、注意した方が良いでしょう。

さらに設計のバランスも大切で、デザイン性を求めるあまり、構造の強度が生かせない……ということがないよう気をつけてください。我々も家づくりのプロとしてしっかりアドバイスをさせていただきますが、希望の間取りと安全性、コストのバランスを考えて、プランニングを行いましょう。

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