花を飾ると、その空間が華やかになり、また、見ているだけで心が和やかに。
そんな花のある生活をおくるための、飾り方や長持ちさせるためのお手入れのコツを、
公益社団法人日本フラワーデザイナー協会の方に教えていただきました。
広い空間は「花木」で華やかに
広い空間の場合は、その広さに合わせて大きめの花木=枝ものがおすすめです。「部屋に飾るのは花」と考えがちですが、枝ものは高さもボリュームもあり、広い場所でも存在感を放ちます。また、大きさがあるため値段が高いのではと思われますが、実は手頃な価格のものがフラワーショップで手に入れることができます。
5月、6月の新緑の季節は青々としたもの、秋は紅葉のものを飾るなど、室内に居ながら季節を感じられる演出をしたり、枝ものを挿した花瓶と小さめな花を挿した花瓶を傍らに飾るなど大小組み合わせるだけでも、おしゃれなインテリアになります。
枝ものは背が高く、不安定になりやすいので、重さのある花瓶を選びましょう。枝もの自体が存在感があるので、シンプルな花瓶がおすすめです。
小さい空間で旬の花を楽しむ
玄関や洗面所など、小さい空間でちょっと飾る場合は、フラワーショップには旬のものが手頃な価格で置いてあるので、そういった旬の花がいいでしょう。食事も秋は高級まぐろよりサンマなど、旬の食材を安く手に入れておいしく味わうように、花も旬のものを気軽に楽しんでください。その時期の花の中から、「かわいい」「この色が好き」など心ときめくものを選んでみてください。
グリーンを1種類と自分好みの花をミニブーケ風にして、小さめの花瓶や身の回りにあるマグカップなどに挿してもかわいく飾ることができます。
また、広い空間、狭い空間にかかわらず、花を飾る際には、まず片づけることから始めましょう。室内のどこか一部だけでもいいので、片づけてスッキリさせた空間に花を飾ることで、より花のキレイさが際立ちます。
身近な器で飾って楽しむ方法
花瓶がないときや、少し趣向を凝らしたいとき、小さめなブーケなどの花を飾る場合は、前述したようにマグカップやグラスなどを活用する方法があります。もし、ご自宅にお土産でいただいたり、かわいくて思わず1点購入したものなど、バラバラで不揃いなカップやグラスがありましたら、これらのトレイにのせ、一輪ずつ好きな花を挿すだけでもおしゃれな印象になります。
また、サラダボウルに飾る方法もおすすめです。そこに、ホームセンターなどで売っている柔らかいアルミの針金(ワイヤ)を丸めて、入れて花留めにし、短めにした花や葉、ハーブなどを挿しても素敵なインテリアになります。
そのほか、空き瓶などを花瓶代わりにしてもいいですし、身近にあるもので楽しんでみてください。
長く花を楽しむための、お手入れ方法
葉を取って、水切り
花を買ってきたらすぐに、水に浸かる部分の葉をキレイに取りましょう。葉が水に浸かっているとそこから腐り、水が汚れる原因になります。次に、茎の切り口を水の中で斜めに切る「水切り」をします。水の中で行うことによって空気に触れず、また、斜めに切ることによって水を吸い上げる表面積が増えるためです。水を吸ってもらうことが花にとってとても大事なのです。
毎日水を替えましょう
一番大事なのは毎日水替えをすること。水が汚れるとバクテリアが繁殖して茎が詰まり、水が吸えなくなるためです。常にキレイな水を保っておくと、花が長持ちします。また、できれば器も毎日洗うといいでしょう。食器用洗剤でOKです。
延命剤や漂白剤を活用するのも◎
フラワーショップで花を買う際に、延命剤を付けてくれる場合がありますが、それには栄養剤などが含まれているので活用するのもいいでしょう。もし延命剤もなく、また毎日水替えができない場合は、台所用の漂白剤を1、2滴垂らすと、その殺菌作用でバクテリアを防ぐことができます。
傷んだ花や葉は摘んで、茎も切る
傷んだ花びらや葉は取って、また毎日茎は少しずつ切りましょう。水の接触面をキレイにしておくことが重要です。もし花が全体的にしおれてきたり傷んできたら、花束を輪ゴムなどでまとめてから風通しの良い場所で逆さにして吊るしておくと、ドライフラワーにすることもできます。花によってドライフラワーに向いているものと向いていないものがありますが、難しく考えず、まずは試してみるといいでしょう。
季節ごとにおすすめの花
春
花の春は4月ではなく、実は2月、3月なのです。フラワーショップにはこの時期に春の花がたくさん入荷します。春は香りが良いものや彩り豊かなかわいいものが多いのです。花ならフリージア、枝ものなら桜やユキヤナギなどがおすすめです。
初夏・夏
初夏は花もバラなど豊富ですが、枝ものもドウザンツツジなどキレイな緑のものが多くでてきます。夏は観葉植物などグリーン系が多くでてきます。暑さで花を保つのが難しい季節ですが、葉を楽しむのも素敵です。
秋
紅葉のものや、ケイトウ、リンドウなど秋の時期だけに楽しめるものがおすすめです。そのほか、春から秋まで花持ちの良いさまざまな種類の花もあるので、楽しんでください。
冬
コニファーといわれる針葉樹がおすすめです。もみの木やヒムロ杉などクリスマスのグリーンに赤いバラを合わせたり、赤や黄色、茶色の実物も多くでるので楽しんでいただければ。お正月には生けやすい千両など縁起物や、また蘭も高いものだけでなく手頃なものもあるので、新春のすがすがしさをぜひご自身の手で飾ってみてください。
まとめ
季節の花木やかわいいと感じた花などを、身近な器を活用して飾るだけでも、空間が華やぎます。難しく考えず、気軽に花のある生活を楽しんでみませんか?
アドバイス
1967年設立。内閣府より公益認定を受けた、フラワーデザイナー組織として唯一の公益社団法人。50年以上にわたり、フラワーデザインの普及活動を行っている。