「想定していた用途で使われず、部屋が物置化している」
「子どもが巣立った後も、手付かずのまま部屋を放置している」など、
せっかくの住まいが活用されないのはもったいないもの。
そこで今回は、物置化・空き部屋化しやすい部屋やスペースの特徴や原因を探りつつ
限りある住まいを有効に使う工夫やアイデアをアンケートから探ります。
調査時期 | 2024年8月2日~8月14日 |
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調査対象 | My House Palette メールマガジン会員 |
有効回答数 | 689件 |
調査方法 | My House Palette メールマガジンでのアンケート |
Q1.上手に使いこなせていない部屋や空間はありますか?
半数以上が上手に使いこなせていない部屋や空間が「ある」(51%)と回答しました。「現在はないが、今後発生する可能性がある」の回答を含めると、約6割にのぼります。
居住年数別に上手に使いこなせていない部屋・空間の所有率を見てみると、居住5年未満で57%、5〜9年で56%、10〜19年で53%、20〜29年で66%、30〜39年で65%、40年以上で67%と、居住年数が20年を過ぎた頃から、使いこなせていない部屋や空間が増えていく傾向がみられました。家族のライフステージは刻々と変化していくものですから、長年同じ住まいに住んでいれば当然、入居当初の想定とは状況も変わっていきます。そのため居住年数に伴い、使っていない部屋や空間を抱えやすくなるというのはどの家庭にも起こり得ることではないでしょうか。
Q2.上手に使いこなせていない、または今後使われなくなる可能性があるのは、どのような部屋や空間ですか?(複数回答)
最多は「子ども部屋」(37%)という結果になりました。子どもに個室を与える年齢になるまでは出番も少なく、親元を離れれば空き部屋となるため、納得の回答です。また、子ども部屋を2つ用意したものの子どもが1人だったので、部屋が余ったというケースもあるようです。
次に多かったのが「和室」(26%)です。仏間や客間として利用したり、子どもの遊び場や、家族のくつろぎスペースにしたりとマルチな使い方ができますが、明確な用途が定まっていない分、家族の共用スペースのような位置付けとなり、使いこなせていないと感じる方も一定数いるのかもしれません。
次いで、「納戸・大型収納」(15%)、「寝室」(12%)、「ベランダ・バルコニー」(同)、「趣味部屋」(11%)、「庭」(同)と続きました。
家じゅうのさまざまな場所がうまく活用されていない実態が浮き彫りになりました。空きスペースとなっているケースもあれば、整理整頓が行き届かずに理想的な使い方ができていないケースも含まれるようです。このような状態になってしまった理由を、さらに深掘りしていきましょう。
Q3.上手に使いこなせていない部屋や空間ができてしまった(できてしまいそうな)理由を教えてください(複数回答)
なぜ、使いこなせていない部屋が生まれてしまうのでしょうか。最も多い理由は「(対象となる)部屋や空間を使う機会がそもそもなかった・少なかったから」(21%)でした。住まいづくり・住まい選びの際に考えていた想定と違っていたなど、間取りや設備が家族の住まい方にフィットしていなかった可能性が考えられます。
また、子どもの独立など部屋を利用する人が減った、暑かったり寒かったりなど部屋の環境に問題があって使われなくなったパターンもみられます。以下、回答別に詳細をご紹介します。
(対象となる)部屋や空間を使う機会がそもそもなかった・少なかったから
- 客間として和室をつくったが、ほとんど使われず、生活雑貨や食品のストック部屋と化している
- 生活の多くが1階で完結していて、2階は寝室以外あまり使わない
- 狭い部屋がいくつもあり使いこなせていない。部屋数を減らして、その分広くすればよかった
- 子どもがリビングで勉強をしたがるので、使わない子ども部屋が放置されている
「子どもが巣立ったから」「家族が減り、住人に対して部屋の数が多いから」
- 子どもが独立して夫婦二人に。3LDKだが居住スペースは2LDKで十分で、当該部屋は物置化している
- 子ども持たなかったので子ども部屋として想定していた部屋が余っている
- 祖父母が亡くなり個室が余った
「ライフスタイルが変わったから」「(高齢になり)行動範囲が狭くなったから」「昇降・段差などが体力的につらくなったから」
- 引っ越し後に子どもが生まれ、ベッドで寝なくなったため寝室が空き部屋に
- 夫の出勤が増え、テレワークスペースが使われなくなった
- 趣味部屋としてつくったスペースが、食品や洗剤の収納スペースになってしまっている
- 2階に上がるのがおっくうになり活用できていない
- 夫婦の寝室として和室を使っていたが、別々に寝るようになり使わなくなった
「日当たりや風通しが悪い、天井が低いなど居心地が悪いから」
- テレワークスペースをリビングのテレビ裏につくったが、壁に遮られてエアコンが届かず物置化。ロールスクリーンなどで緩やかに仕切ればよかった
- 西側の部屋は西日が強過ぎてあまり使わなくなった
- マンション1階の専用庭。くつろぎの場にするつもりだったが、虫と草に悩まされ窓を閉め切ったままになっている
その他
- 収納スペースだけではおさまらず、書斎に収納している
- 広過ぎる寝室は不要だった。寝るときだけしか使わないので、1人あたり3帖くらいあれば事足りた
- 整理できていない納戸。不要品がたまっている
それぞれに共感できる理由が寄せられました。家族の人数の変化といった想定内の理由もありますが、入居当初には想定していなかった事情により、部屋が使われなくなるケースもあるようです。
Q4.上手に使いこなせていない結果、
その部屋や空間は現在どうなっていますか?(複数回答)
大方の予想通り、「収納しきれない荷物の一時置きスペースになっている」(49%)が約半数を占めました。何に使うか決まっていない部屋が、モノであふれていくのは当然なのかもしれません。
子どもが巣立ったものの、帰ってくる機会を想定して子ども部屋をそのままにしている方も少なくありませんでした。結果、人が立ち入らない部屋となり、掃除が行き届かない状態になることも。また、「コレクションルームにするつもりが、食品や消耗品を置くスペースになってしまっている」「寝室として和室を使う想定だったが、結局ベッドで寝ているため畳の良さを生かせていない」など、想定していた用途とは異なる不本意な使い方になっているケースもみられました。いずれにしても、部屋が有効活用されていないことはもったいないことです。
そもそも使わない部屋を生み出さないことが大切ですが、使わない部屋が出てきても、何らかの形で活用することもできます。そこで次の質問では、物置化・空き部屋化している部屋やスペースをどのように活用したいと考えているのか、伺ってみました。
Q5.もし、上手に使いこなせていない部屋や空間がある場合、どのように有効活用したいですか?(複数回答)
活用法について聞いてみると、「趣味部屋にする」(61%)が最多でした。本棚や座り心地のいい椅子を置いてライブラリースペースにする、趣味のコレクション品を飾る、プロジェクターを設置してシアタールームにするなど、まるで秘密基地のようで夢が広がります。
次に「広い収納部屋にする」(55%)がランクイン。使っていない部屋を丸ごと収納スペースとして集約すれば、家の収納問題も解決しそうです。ただし、乱雑な物置部屋とならないよう、収納するモノの量に合わせて棚やハンガーを設置するなどの工夫は必要になるでしょう。関連した回答として「広い衣装部屋にする」(15%)、「室内干しのスペースにする」(22%)といった活用法も挙げられました。
来客が多いお宅なら「ゲストルームにする」(28%)という方法も。来客がないときは他の用途に使えるようにしておけば、さらに活用度もアップするでしょう。
使いこなせていない部屋を有効活用するアイデアについて、以下に詳細をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
- プチリフォームをしてトレーニングルームにしたい。さまざまなスポーツ器具を設置したい
- 広い衣装部屋や収納部屋にすれば、同時に他の部屋も片付くと思う
- 推しグッズを飾りたい
- 空き部屋はいずれ子ども部屋にする予定だが、その後は自分の部屋にしたい
- 洗濯物を室内干しすることが多いわが家。リビングに干すと生活感が出るので、部屋干し専用部屋が欲しい
- 独立した子どもの部屋は日当たりが良く風通しがいい。物置部屋にしておくのは惜しいので趣味の部屋にしたい
Q6.「上手に使いこなせない部屋・空間問題」を
引き起こさないためにどうしますか?
アンケートの最後では、これまでの経験や失敗談を踏まえ、今後住まいづくり・住まい選びを検討する際に「上手に使いこなせない部屋・空き部屋問題」を防止するために取り入れたい考え方についても伺いました。
結果は約6割の方が「長く暮らせるよう、将来のライフスタイルの変化を考慮した住まいにする」(58%)と回答。次いで、「ライフスタイルの変化に対応できるよう、リフォームのしやすい住まいにする」(34%)と続きました。
使いこなせていない部屋・空間が生まれる背景には、ライフスタイルの変化があり、それはどうしても避けられないものです。ならば、あらかじめそれを考慮した間取りや設計にしておく、あるいはリフォームしやすい間取りにしておくことで、変化に柔軟に対応できるはずです。具体的には可動式のパーテーションや家具などで可変性のある間取りにする、細かく部屋を区切らず緩やかに仕切るといった方法もあります。
実際に「家族構成は変化するから、可変性のある間取りにしておくのがいいと思う」「年齢を重ねてからのリフォームは大変。可動性のある間仕切りなどで気軽に部屋を広げたり仕切ったりできるといいと思う」という意見もみられました。
また、「住み替えを念頭に、売却しやすく万人受けする住まいにする」(8%)といった意見もみられました。「子育て中は部屋数の多い住まい、子どもが独立したら売却してコンパクトな住まいに住み替える」という回答にもあったように、子どもの独立後は、夫婦二人でコンパクトな家に住み替えることを検討している方もいるようです。
まとめ
使いこなせていない部屋が生まれてしまう理由の最多が「そもそも使う機会が少なかった」という回答でした。これは間取りの構想時と実際の暮らしとのギャップがあったことを示しています。家族がどんな暮らし方をしたいのかを丁寧にヒアリングし、設計に反映できる「自由設計(注文住宅)」なら、ライフスタイルの変化を考慮した過不足のない間取りが実現できることでしょう。
また、いい家づくりのノウハウを結集し、厳選した人気の間取りから選んだり、自分好みに間取りをカスタマイズしながら効率良く家づくりができる大和ハウスの「Smart Made Housing.(スマートメイドハウジング)」もご提案させていただきます。せっかく手に入れるマイホーム、使いこなせていない部屋・空間が出ないよう、しっかり吟味したいものですね。