猫は自分でグルーミング(毛づくろい)を行う、きれい好きな生き物。
水嫌いというイメージもあり、シャンプーをする習慣がないご家庭もあるようです。
そもそも猫にシャンプーは必要?シャンプーの際に気をつけるべきポイントは?
猫と人が快適に暮らすための「ねこシャン習慣」について、
ペットケア用品の販売を行う株式会社ハートランドの
永田将史さんと後藤真也さんにお話を伺いました。
「ねこシャン」は本当に必要?
愛猫との暮らしにおいて、食事や健康管理に配慮したり、遊びを通したコミュニケーションのとり方に工夫を凝らしたりする飼い主の方は多いでしょう。では、定期的にシャンプーを行っている方はどれくらいいるでしょうか。猫の飼育頭数は増加傾向にあるものの、シャンプーを習慣化しているご家庭はまだ少ない印象です。
確かに、猫はシャンプーをせずとも生きていくことができますが、被毛や皮膚を健やかな状態に保つためには、やはりシャンプーは欠かせません。また、どうしても気になる抜け毛やニオイを軽減する効果もあります。猫と飼い主の双方が快適に暮らすための「ねこシャン習慣」について、まずはそのメリットからご紹介します。
自宅で行う「ねこシャン」のメリット
【その1】グルーミングによる負担軽減
猫は自分で体を舐めてグルーミングを行い、その際に飲み込んだ抜け毛はあとから吐き出します。猫にとって普通の行為ですが、体への負担はゼロではありません。シャンプーで抜け毛を洗い落とすことで、その負担を減らすことができます。
【その2】ニオイや皮膚病を防ぐ
完全室内飼いの場合でも皮脂や汚れはたまっていきます。また、グルーミングが苦手な猫や長毛種の場合は、自分で汚れを十分にとりきれず、ニオイや皮膚病のもとになることも。猫も人も快適に過ごすために、シャンプーできれいに汚れを洗い流しましょう。
【その3】気になる抜け毛対策に
飼い主の悩みの一つである抜け毛対策にはシャンプーがうってつけ。猫は春と秋に換毛期を迎えますが、長期間空調の効いた室内で過ごしていると換毛の時期があいまいになり、常に多くの毛が抜け落ちる猫もいます。気になる場合は月に1回のシャンプーを習慣にするといいでしょう。
【その4】猫アレルギー対策
猫の抜け毛やフケ、皮脂、唾液に含まれる成分は、人間にアレルギー反応を引き起こすことがあります。定期的なシャンプーでアレルゲンとなるものを洗い落とせば、症状の軽減が期待できます。
サロンなどの慣れない場所よりも、自宅で信頼する飼い主がシャンプーを行う方が猫にストレスを与えにくく、より「ねこシャン」を習慣化しやすいと言えます。ただし、水やシャンプーを嫌がり引っかいたり噛みついたりする場合は、猫も飼い主も怪我をする恐れがあるため、サロンの利用を検討してください。
「ねこシャン」の手順・ポイント
準備するもの
- ペット用シャンプー … 猫用シャンプーがベストですが、犬猫兼用でもOK。
- 洗面器、スポンジ … シャンプーを泡立てるときに使用します。
- スリッカーブラシ、コーム … 普段ブラッシングに使っているもの。
- 吸水タオル、ドライヤー … 体を乾かす時間を短縮できる吸水タオルがおすすめ。
- ベビーバス(ほかランドリーケース等深めの入れ物)… お湯を張ったベビーバスの中で洗うことで、猫がリラックスできます。
シャンプーの手順
【1】ブラッシング
シャンプーの前に欠かせないのがブラッシング。ここである程度の汚れや抜け毛を除去します。被毛のもつれが残っていると水に濡らしたときに固まってしまうため、丁寧にブラッシングを行います。
【2】予洗い
シャンプーを使う前の予洗いも大切なステップです。お湯で汚れをしっかり洗い流しておくと、シャンプーの泡立ちもよくなります。お湯の温度は38℃程度に設定を。またこのステップで動悸が激しくなるなどの拒否反応が見られた場合、無理をせずシャンプーは中断してください。
POINT
猫は大きな音を嫌がるので、シャワーを使わず手でお湯をかけてあげましょう。また顔が濡れることも苦手なため、お湯は顔からかけないように注意し、体から少しずつ濡らしていきます。顔の汚れは湿ったタオルで拭きとるといいですよ。
【3】シャンプー
定められた使用量をスポンジにとり、洗面器の中で泡立てておきます。十分泡立てられたら、泡が皮膚まで届くようにもみ込みながら洗います。
POINT
力を入れてゴシゴシ洗うと、被毛が絡まったり皮膚が傷ついたりしてしまうので注意しましょう。
【4】すすぐ
シャンプーのすすぎ残しは皮膚トラブルのもと。被毛の奥まで入り込んだ泡を丁寧に流します。
【5】タオルドライ
猫は顔が濡れているのを嫌がるため、吸水タオルで顔から拭いていきます。濡れた被毛は傷みやすいので丁寧に。タオルで優しく猫を包み込みつつ、しっかり水分を拭きとります。
【6】ドライイング
ドライヤーを使って、可能であればブラッシングをしながら乾かします。ドライヤーをせず放置すると、風邪を引いてしまったり生乾きになりニオイの原因になったりするので、しっかり乾かしましょう。
POINT
ドライヤーの熱によって、火傷をさせてしまったり被毛を傷めてしまったりしないよう、体から10~15cmくらい離しましょう。
「ねこシャン」Q&A
Q. 子猫はいつからシャンプーできる?
A. 子猫は免疫が低く感染症などのリスクがあるため、シャンプーデビューはワクチン接種完了後に。かかりつけ獣医師にタイミングを相談してみるといいでしょう。どうしても汚れが気になる場合は、ドライシャンプーなどを使って拭きとりましょう。
Q. 水を嫌がる場合はどうすればいい?
A. 顔に水がかからないようにする、シャワーヘッドにタオルをかぶせて水圧や音を調整するといった工夫で、水への恐怖心を軽減できます。「大丈夫だよ」「気持ちいいね」と優しく声をかけるのも効果的。笑顔や声かけで、猫がリラックスできる空間を作りましょう。また、子猫のうちから水やシャンプーに慣らしておくことも大切です。
Q. どれくらいの頻度でシャンプーを行えばいい?
A. 春と秋の換毛期に合わせて、1年に2回は洗ってあげるといいでしょう。長毛種の場合は被毛がもつれたり汚れがたまりやすかったりするので、1カ月に1回を目安にしてください。毎日のように洗うと、自分の体臭が感じられずストレスになったり、皮膚がかさついたりする可能性があるので注意してください。
Q. 人間用のシャンプーや石けんは使える?
A. 人間と猫では毛質や皮膚のpH値(酸性・アルカリ性の程度)、刺激に対する皮膚の強さが異なるため、猫に人間用のシャンプーを使うのは避けてください。皮膚トラブルを起こしたり、被毛の状態が悪くなったりする可能性があります。
Q. シャンプーをする場所はどこがいい?
A. 途中で逃げ出したり予期せぬ動きをしたりする可能性があるので、お風呂場のドアを閉めきった状態でシャンプーを行うといいでしょう。周囲にカミソリなどの危険なものや不安定な場所がないか必ず確認してください。
快適な暮らしのための、「ねこシャン習慣」
海外に目を向けると、日本以上に猫専用のシャンプーやケア用品が充実している国も多く、猫のシャンプーは当然行うものとして認識されているようです。日本においても、SNSでシャンプー中の様子が発信され話題になるなど、飼い主の関心は徐々に高まってきています。愛するペットとの暮らしをより豊かなものにするため、ぜひ「ねこシャン」を新しい習慣にしてみてはいかがでしょうか。
Profile
株式会社ハートランド
経営企画推進室 ゼネラルマネージャー
永田 将史さん(写真左)
営業部 チーフ
後藤 真也さん(写真右)
株式会社ハートランド https://www.zoic.jp/
グループ企業「中野製薬株式会社」が開発・製造するペット専用商品ブランド「ZOIC」の販売元。「キレイ=美(健康・清潔・美容)」をキーワードに、ペットとの生活をより豊かにする事業を展開している。公式YouTubeチャンネルでは「ねこシャン」の動画を配信中。Instagramは@zoic_cats
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愛猫との暮らしをより快適にするアイテムのご紹介
大和ハウス工業が開発した「ネコレット」は、水洗トイレとシャンプーシンクが一体化した猫専用ユニットです。幅広深型のシンクで安定して作業が行えるほか、リフトアップシャワーやドライヤー用クリップも搭載されており、ハンズフリーでシャンプーやグルーミングが可能です。
https://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/lifestyle/pet/nekolet.html
画像:ネコレット
株式会社ハートランドから販売中の「ゾイックNキャッツ トリートメントインシャンプー」は、被毛の長さに合わせて選べる猫専用シャンプーです。被毛の内と外からハリ・コシを与えフワフワな仕上がりにするショート(中・短毛種向け)と、被毛にうるおいを与えツヤツヤ・さらさらに仕上げるロング(長毛種向け)の2種展開。
画像:ショート/ロング