色やデザインの素敵な家具をインテリアに取り入れて楽しみたいけれど
金額が大きいだけに、もし失敗したら…と不安になった経験はありませんか。
日本はもちろん、海外にもさまざまな家具ブランドがありますし、
手頃なものから高級なものまで価格も幅広く、
どれを選ぶのが自分にとっての正解なのか、迷うのも当然かもしれません。
予算、空間の広さ、好み、メンテナンス性などを考慮しつつ
家族にぴったりの家具を選ぶには、
どんな点に気を付ければ良いのでしょうか。
今回はインテリアコーディネーターとして多くの実績を持つ小山珠香さんに
家具選びの基本や現在のトレンドについて教えていただきました。
Advice
株式会社デザインアーク インテリア事業部事業推進部
小山 珠香さん
「長く使える」ことが家具選びの基準に
これから買おうとしている家具を、何年くらい使うイメージをお持ちですか?海外、特にヨーロッパなどでは新品よりも使い込まれた家具や調度品に価値があるとされ、何世代にもわたって家具を受け継ぎ、メンテナンスしながら使い続ける文化が定着しているといわれています。
一方、日本ではどうでしょうか。少し前までは生活や住まいが変わるたびに家具を買い替えるのが一般的ともいえましたが、最近はSDGsや環境保護に対する関心の高まりなどを背景に消費者の意識が変わり、上質なものを買って長く使おうと考える人も増えているようです。また、多くの自治体で大型ごみの回収が有料化するなど、不要になった家具を処分するのにお金がかかるようになったことも関係があるのかもしれません。
長く使える家具を選ぶためには、次のような観点でチェックしてみてください。
本物の素材
合成皮革ではなく本革、合板ではなく無垢材など、本物の素材を選ぶのがお勧めです。傷がついたり経年変化が起こったりしても、本物の素材ならそれが良い味となり深みが増してくるでしょう。
構造
ソファやベッドのマットレスの中身は、外側から見ることはできませんが、構造の耐久性がとても重要です。模型展示などで構造をきちんと説明してくれるメーカーを選べば、長持ちする家具選びにつながるでしょう。
メンテナンス性
お手入れのしやすさも長く使い続けるためのポイント。例えば子どもやペットのいるご家庭のソファなら、ファブリックを取り外して洗濯できるカバーリングソファがお勧めです。
汎用性
一時的なテレワーク用のデスクを子どもの勉強机に転用したり、座面が広めのスツールをサイドテーブルとして使ったりするなど、将来使わなくなった時に別の用途にスライドできるか、その家具の使い方を長期的視点で考えてみましょう。
家具の選び方〈リビング編〉ソファの選び方
いろんな方向に座れるソファに注目
家族が各自の部屋で過ごすのではなく、リビングでそれぞれがしたいことをする、「家族がリビングでつながるコミュニケーション」が重要視されています。そのため、リビングでの過ごし方が多様化し、多目的に使えるソファが人気です。写真のように座面が広く、組み合わせが自由にできるソファなら、好きな方向に腰掛けることができます。
写真提供/インテリアズ
このタイプのソファの魅力は、ただ座ってテレビを見るだけでなく、膝の上にパソコンを置いて作業をしたり、あぐらをかいてゲームをしたり、寝転んだりと、さまざまなくつろぎ方が可能な点です。作業がしやすいように、体が沈み込む柔らかいタイプではなく、ある程度硬さのあるタイプが好まれています。また、必要に応じてゲスト用のベッドにもなります。
ソファの背面にテーブルを組み合わせて
前述の多目的に使えるソファに、小さなテーブルを組み合わせるスタイルも人気です。各メーカーがソファとの組み合わせを提案しています。コンソールテーブル(奥行きが浅く細長いタイプ)、サイドデスクなど名称はさまざまですが、共通しているのはソファにぴったりのサイズ感。テレワーク用デスクや子どもの勉強机としても使えますし、ちょっと飲み物を置きたい時にも便利です。
写真提供/アルフレックスジャパン
デスクのようにお使いいただけます。
写真提供/アルフレックスジャパン
奥行きが浅く、場所を取りにくいサイズ感です。
写真提供/日本フクラ
ソファサイズの考え方
ソファのサイズは1人掛け、1.5人掛け、2人掛け、3人掛けが基本です。L字などに組み合わせていくことで、4人以上が座ることができます。家族が集まると何人でしょうか?ゲストが来た時には、最大何人座るイメージをお持ちでしょうか?座る人数や空間の広さに応じて選びましょう。
4人以上が座れるソファを希望しても部屋に入らない場合は、代案として、床に大きめのラグを敷くのがお勧めです。ラグの上にスツールやビーズクッションなどを置けば、それがソファの代わりになります。
写真提供/アルフレックスジャパン
また、3人掛けのソファやL字型ソファの場合、一体化したものではなく分割されたタイプならレイアウト変更にも柔軟に対応できるメリットがあります。
ソファの色や素材
主に革とファブリックがありますが、お好みで選んでOK。革素材の方が高級感を演出でき、耐久性にも優れています。なかでも合成皮革ではなく本革なら、夏はひんやり、冬は暖かく使えます。本革は乾燥や汚れによって黒ずんだりひび割れたりするので、定期的なお手入れは欠かせません。定期的に専用のクリーナーで掃除し、クリームで保湿をしてください。手間をかけることで長く使えて味わいが増していきます。
ファブリックの良いところは、カバーを洗濯して清潔さを保てるところ(カバーリングソファの場合。張り込みタイプのソファの場合は外せません)。色や柄の違うカバーを複数用意して、季節ごとに異なるデザインを楽しむのも素敵ですね。ペットがいるご家庭なら、ひっかき傷に強い人工皮革も選択肢に入るでしょう。
【後編】では、ダイニング編、寝室編などをお届けします。