家や住まい方について考える時「広さ」は重要なポイント。
実際の面積は同じでも、空間をどのように使うかで、見た目の印象は大きく左右されます。
「模様替えをしたら、なぜか前より狭く感じる」といったような経験はありませんか?
今回は、家をより広く見せるために、今すぐできる暮らし方の工夫や、
家づくりの際に考えるべきポイントについて、
一級建築士で総合情報サイト「All About」の「住まいの性能・安全」ガイドも務められる
井上 恵子さんに伺いました。
同じ面積のはずなのに印象が違う?部屋を広く見せる要素
家の実際の広さ=面積ですが、見た目の広さはさまざまな要素で変わるようです。そのポイントを井上さんに挙げていただきました。
天井が高い
井上さん:「部屋の広さは、縦×横で測る床の面積と考えがちですが、高さも影響します。天井が高く、上方向に視界の広がりがあると、部屋全体が広く開放的に感じられます。また、屋根の形状を生かし、屋根裏の空間も有効活用した勾配天井を採用する方法もあります。高くなった部分に高窓をつけると室内も明るくなり、さらに開放感が得られ、魅力的な空間になります」
参考:天窓&高窓を上手に使って、住まいに光と風を呼び込もう!
内装の色が明るい
井上さん:「天井、壁、床などは室内に占める面積が大きいので、そこにどんな色が使われているのかが、部屋の印象を大きく左右します。白やライトグレー、ライトブラウンなどの膨張色が使われていると室内が広く見え、黒やダークブラウンなど暗い色が使われていると空間が引き締まって見えます」
今の家を広く見せたい!簡単にできる工夫をご紹介
部屋の面積は住み替えたりリフォームをしないと変えられませんが、見た目の広さは、模様替えやちょっとした工夫で変えられるようです。
収納を活用し、
室内に出ているものを減らす
井上さん:「大きな置き家具が少なければ部屋が広く見えるのは当然ですが、その分小物や書類などが散らかって雑然としてしまう…というケースは少なくありません。また、家族構成によっても荷物の量や種類は変わってきます。
特に子どもがいるご家庭なら子どもの成長とともにどうしても荷物は増えてしまうもの。最近は、災害対策や新型コロナウイルス感染症対策で備蓄する方も増えていますので、家族構成や目的に合わせた収納の使い方を見直すことも大切です」
家具の色を、室内の色に合わせる
井上さん:「大きな家具を配置する際は、壁や天井、床、ドアなどの色から、どれかひとつを選んで合わせると、空間にまとまりが出ます。白に近い明るい色を「高明度」といいますが、壁が高明度の色の場合、家具も壁の色に合わせると部屋が広く見えます。床の明度に合わせると落ち着いた印象になります。
遊び心を加えたい場合は、クッションやソファカバーなどのファブリック類や雑貨、子ども用の椅子など、小さなものでポイントカラーを取り入れるのがおすすめ。ポイント使いする色も、色を限定するのがスッキリとしたインテリアをつくるコツです。今気に入っている家具と部屋の色が合わない場合は、フローリングシートや剥がせる壁紙などを使ってDIYをしてみるのもよいでしょう」
天井側は明るく、床側は暗く
井上さん:「室内全体を明るい色でまとめれば広く見えますが、家具とのバランスや好みのテイストによっては、濃い色を使いたいこともありますよね。その場合、床など室内の下の方に暗めの色、天井など上の方に明るい色を使うと、広く感じられます。天井は暗く見えがちなので、圧迫感を避けるために白やオフホワイトなどの明るい色が多用されます。室内の上の方を明るくするためには、照明の使い方もポイントになります。例えば天井を折り上げ天井とし、上向きの間接照明を採用して天井を照らしてもよいでしょう」
高さが低い家具を選ぶ
井上さん:「家具の高さは、座った時の目線より低いものを選ぶと圧迫感が出ず、広く感じられます。ダイニングチェアやリビングのソファに座った時の高さを基準としましょう。例えば、同じ容量の本棚であれば、背が高く幅が狭い縦長の本棚よりも、背が低く幅が広い横長の本棚を置いた方が部屋は広く見えます」
ダイニングソファなど、
多目的に使える家具を使う
井上さん:「置き家具を減らせば当然、室内は広くなります。例えば、リビング・ダイニングの広さが十分にとれない場合は、ソファセットとダイニングセットを置くのではなく、両方の役割をこなすリビング・ダイニングセットにすれば、家具の数は大幅に減らせます。
ここで大切なのが家具の選び方。テーブルは通常のダイニングテーブルよりやや低めの高さのもの、ソファは背もたれがゆったりして座面にクッション性があるものを置くなど、くつろぎの時間と食事の時間の両方を快適に過ごせるものを選ぶのがコツです」
大きな鏡を置く
井上さん:「鏡を室内に置くと、奥行きがあるように見え、広く感じられます。玄関や廊下などに全身が映る鏡を置けば、限られたスペースが広く見えるだけでなく、出かける前の身支度にも役立つのでおすすめです」
家づくりで考えたい、広く見せるための工夫
「今後、家づくりを考えている方は、部屋をより広く見せるためのテクニックを把握しておくと、ハウスメーカーや建築士さんに相談しやすくなります」と井上さん。
広い空間を緩やかに仕切り、
視界に開放感と明るさを
井上さん:「家の中を細かく区切ると薄暗い空間ができがちです。リビングやダイニングなどの家族だんらんの場は、特にゆとりを感じたいもの。リビングを中心とした広い一体空間とし、区切りたい時には、可動式間仕切りやロールスクリーンなどで緩やかにスペースを分けられるようにしておくのがおすすめです。
例えば、在宅勤務用のワークスペースや子どもの遊び部屋はリビングの隣に設け、ロールスクリーンや可動式間仕切りで空間を分けられるようにするとよいでしょう。普段はリビングと一体空間にしておき開放的に。集中したい時は閉めて個室にするなど、心地よさと使い勝手を両立できます。子どもが成長したらリビングを広げるなど間取りの変更も簡単。長い年月でライフスタイルが変わっても暮らしやすい住まいを実現できます。
さらに、間仕切りを透明なガラス戸にしたり、壁を設ける場合も一部に室内窓を設けたりという工夫をすれば、家の中での視界が広がり、光も採り込めます」
床が一段低い、
ロースタイルリビングにする
井上さん:「緩やかなゾーン分けをしたい方、より天井を高く感じたい方におすすめな方法のひとつが、ロースタイルリビング。リビングの床の高さを周りよりも一段下げることで天井の位置が高く感じられるとともに、視線の位置も低くなるため、空間の縦の幅に広がりが生まれます」
なお、床を一段下げた部分にカーペットを敷くなどして、上と違う空間であることを視覚的にわかりやすくすれば、ダイニングとの一体感も持ちつつ、ゆるやかに仕切ることもできるでしょう。
造り付け収納で見た目をスッキリさせる
井上さん:「置き家具はなるべく置かず、造り付けの収納を設けた方がスッキリとした印象になります。家づくりの際にはしっかり持ち物の量を把握して、適切な収納計画を立てることをおすすめします」
バルコニーやウッドデッキを、
リビングと一体空間に
井上さん:「リビングに隣接した場所に、バルコニーやウッドデッキを設けると、空間のつながりが生まれ、リビングも広く感じられます。床に段差をつくらなければ一体感を持たせることができますし、そのうえ広いバルコニーやウッドデッキであれば、お家でレジャー気分も楽しめるでしょう」
大きな窓で、
外の風景が視界に入るように
井上さん:「大きな窓があれば視界が外の風景まで広がるため、部屋も広く感じられます。窓の高さが天井に近い位置まであると、光をたっぷり採り込めるためさらに効果的。一方、窓の上に垂れ壁がある場合は、カーテンを天井付近から吊り下げれば、まるで窓が天井の高さまであるように見せられるため、おすすめです」
心地よい広さと、住み心地のよさを両立する
「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」
ダイワハウスの「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」は、天井高が2m72cm(一般的な戸建て住宅は2m40cm)※1×開口幅7m10cm※2※3の開放感と強さを両立した「グランリビング」をつくることが可能です。
また、上の写真のように、サッシ枠をスリムにすることで天井まで窓になる「グランフルサッシ」があるのも魅力のひとつ。この大きな窓によって開放感を感じることができるでしょう。
ダイワハウス「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」のグランリビングとは?
- ※1天井⾼は2m40cm、2m72cm、2m80cmさらに3m8cmと3m16cm(1階のみ)の仕様を選ぶことができます。天井高については間取りや建設地、建築基準法(法令)等により、対応できない場合があります。
- ※2幅3m45cmの窓を2枚連続で配置可能。また、中間に柱が⼊ります。
- ※3プランにより対応できない場合があります。
さらに、折り上げ天井や、床の位置を下げてロースタイルリビングとする「グランリビングモア」を組み合わせれば、最高で3m16cmの天井高となり、さらなる空間の広がりを感じられるでしょう。
※2階での天井高2m72cmについては、オプションでのご案内となります
※建築条件により実施できない場合がございます。
ダイワハウスのxevoΣ(ジーヴォシグマ)は、2階の天井高を2m72cmにすることも可能です。周囲の景観などに合わせて、リビングの場所を決められ、より一層開放感を感じる空間にできるのは嬉しいポイント。ダイワハウスのxevoΣ(ジーヴォシグマ)」は、見た目の広さと快適な暮らし、両方が手に入る家といえるでしょう。
まとめ
今回の記事では、家をより広く見せるためにできる工夫や、住まいづくりのポイントをお伝えしました。畳数など床の広さにとらわれすぎず、高さも含めた空間全体の使い方や視覚の効果を利用することで、気持ちも伸びやかに過ごせる家をつくれます。今の家でできることや、今後の理想の住まいについて、ご家族で考えてみてはいかがでしょうか。
Profile
All About「住まいの性能・安全」ガイド
井上 恵子さん
「住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所」所長。安心・安全な住まいを見極め、女性視点でサポートする一級建築士。マンション設計に携わった経験を数多く持ち、性能評価申請に関わったマンションは20棟以上。設計事務所設立後は子育ての経験を生かし保育園の設計などに携わる。戸建て・マンション購入セミナー講師、新聞へのコラム連載の執筆も。