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生活を考える

外構は家づくりで重要! 失敗しないコツや
おしゃれな外構の事例を紹介

注文住宅を建てるとき、「間取り」や「内装」、
「住宅性能」などは事前によく考えるポイントといえるでしょう。
しかし「外構」の場合、十分に検討せずに作ってしまい、
いざ生活を始めてみると困る点が目につくケースもあるようです。
事前に知っておけば、そうした失敗は防げたかもしれません。

そこで今回は、納得のいく外構づくりに欠かせない大事なポイント、
失敗しないコツなどを具体的にご紹介します。

外構は「家の外の構造物」。エクステリアとはここが違う

そもそも外構とは?
外構工事の費用はどれくらい?

外構は「外構え」から生まれた言葉で、門、塀、土間コンクリート、カーポートといった家の外に作られる構造物全般を指します。一方、エクステリアはインテリアと対になる言葉。インテリアが室内の装飾家具やそれらが置かれた空間を指すように、エクステリアは主に家の外の装飾物を指し、門扉、照明などのほか、家の外の空間・環境も含む場合があります。

ただ、注文住宅では、外構とエクステリアの工事をまとめて外構工事と呼ぶことも多く、家の外の構造物や周囲の空間、庭、植栽などをトータルに考えるのが望ましいでしょう。

こうした広い意味での外構を総合的な観点から作ることは、家の内側と外側との一体感を高め、外から見た家のイメージづくりに役立つほか、家の中から外を眺めたときに心安らぐ空間を生むことができます。

日本では窓を通して外の風景を取り込む雪見障子など、家の内と外とを緩やかにつなげ、暮らしの豊かさを演出してきました。外構もそうした一体感を生み出す大切な要素といえます。

加えて、玄関へと誘導するアプローチライト、目立たないよう配置された屋外用コンセントや水道の蛇口など、暮らしの利便性や安全性を高めるのも外構の役割の一つです。

なお、日本では、従来外から庭や家屋が見えにくいよう塀やフェンスなどで囲ったクローズド外構が主流でしたが、近年は欧米の住宅に見られるような塀・フェンスを作らないオープン外構、敷地の一部を囲ったセミクローズド外構も増えています。それぞれのメリットと注意点を以下にまとめました。

クローズド外構

塀などで庭や家屋を囲むため落ち着いたイメージで、プライバシーにも配慮でき、子どもが庭から外に飛び出すのを防ぐといったメリットがあります。一方で、閉そく感が強調されることも。また、外部から一度侵入されると隠れられる場所が多いことから、死角を作らない工夫が必要になります。

オープン外構

塀やフェンスがなく開放的なイメージで、敷地を有効活用でき、日当たりの良い庭が作りやすいといったメリットがあります。敷地内に隠れる場所があまりないという点では、防犯性の向上に役立つでしょう。ただ、外からの視線をさえぎる部分が少なく、敷地に入り込むるのも容易など、プライバシーの面で不安を感じることも考えられます。

セミクローズド外構

敷地の一部を塀やフェンスで囲ったり、植栽、門柱の置き方を工夫したりして、見える場所と見せたくない場所を分けるなど、オープン外構とクローズド外構それぞれのメリットをある程度生かせます。ただし、両方の注意点にも気を配ることが必要になります。

一般的に家づくりにかかる総費用は「本体工事費」7割、「付帯工事費」2割、「諸費用」1割が目安とされ、外構工事の費用は「付帯工事費」に含まれます(都市部では6割・3割・1割となる場合もあります)。住む人の希望、クローズド外構やオープン外構といったタイプ、外構の面積などでも違うため、一概にいくらくらいかかるとはいえませんが、こうした総費用からの割合も参考にするといいでしょう。

はじめての家づくり。
外構の失敗は意外と多い

新築の注文住宅なら、家の間取りや外観と同様、外構・エクステリアもある程度自由に考えられ、自分たちのイメージに合った家づくりができるのも魅力の一つです。

しかし、プラン検討の際に、間取り・設備・外観など家屋の方を優先して考えがちで、外構・エクステリアの方を後回しにするうちに予算オーバーとなり、十分な検討ができないということも少なくないでしょう。

結果、家屋と外構の一体感がなかったり、実際に住んでみて「もっとこうすれば良かった」と後悔したりすることにつながります。

こうした事態を避けるには、最初から外構工事の費用も含めた全体予算を検討し、ハウスメーカーの担当者と共に、家屋と外構のトータルプランニングを進めていくことが大切です。

ありがちな外構の失敗例と防止策、
参考にしたい事例をご紹介

家づくりの前にチェック!
外構の失敗例11選

外構が納得のいかない出来上がりになる主な原因は、外構プランをしっかり考えていなかった、十分な予算がとれなかったなど。結果として「使い勝手がよくない」という利便性の問題、「家のイメージと合わない」といったデザイン面での不満が生じがちです。このように作った後で悩む・困る事例から、よくある11の事例を以下に紹介します。

1. 駐車スペースが狭かった

自分や家族が所有する車の大きさに対し、駐車スペースの余裕があまりない場合、乗り降りに時間がかかる、荷物の積み降ろしが難しい、などのストレスを抱えることになります。国土交通省「駐車場設計・施工指針について」による軽自動車、普通自動車の駐車スペースの広さの基準(最低でも下記の表の値以上)と、それぞれの車両の大きさの目安を比較すると以下のようになります。

駐車場の広さと車両の周囲のゆとりの例
(単位:メートル)

※駐車場の広さについては、国土交通省「駐車場設計・施工指針について」より。車両の大きさについては、国土交通省「道路運送車両法」をもとに一般的な例を掲載。周囲のゆとりは、駐車場の広さと車両の大きさの差分

これを見ると、あまり周囲のゆとりがないことが分かります。国土交通省指針の駐車スペースは最低限のものなので、現在所有している車種の大きさだけでなく、家族が増えたときに買い替える車種の大きさも考慮して、駐車スペースは使いやすい広さを確保しましょう。これに加え、前面道路の広さ、駐車スペースが道路に対して直角か斜めかなどの位置関係、近くにある電柱の場所などにも注意が必要です。

2. 駐車スペースが使いにくい

玄関から遠く、すぐに車に乗れない位置に駐車スペースを作ってしまった例もあります。少しの距離とはいえ、雨の日は傘がないと濡れる、重い荷物を運ぶときにつらい、などが積み重なればストレスになるでしょう。また、カーポートの屋根を支える柱の位置が悪ければ、ドアが開けづらい、駐車しづらいなどの不満につながることも。玄関から駐車スペースまでの動線、駐車や乗り降りのときの動作をイメージしておくことも大切です。

3. 自転車やバイクの駐輪スペースがない。狭い

駐輪スペースの作り忘れのほか、駐車場の脇でいいと考えていたら、車の乗り降りに邪魔で置けなかった、など駐輪スペースの問題も起こりがちです。家族が増えれば、その人数以上の自転車・バイクを置くこともあるため、駐輪スペースは駐車スペースとは別に、ある程度の広さを確保しておくようにしましょう。

4. 屋外用の水栓やコンセントを作らなかった。設置場所が適切でなかった

庭の水やりや洗車、汚れて帰ったときにひとまず洗うなど、屋外で水を使うことは多いもの。また、庭でのグランピングのように家族で楽しむ際に使う照明や調理器具のほか、勝手口に生ゴミ処理機を置く、玄関近くに新たな照明をつける、といった利便性を高める設備を置くときも、屋外コンセントは便利です。大事なのは、使う場所の近くに設置すること。ただし、玄関など目立ちやすいところは、正面や外から見えにくい位置を検討しましょう。

5. 夜間は足元が暗い

上からの照明はあっても、門扉から玄関までは足元が予想外に暗く、夜間の帰宅で不安を感じるケースもあるようです。完成前、夜間に現地の様子を見に行くなどして、暗くなってからのイメージをつかんでおきましょう。もちろん、屋外用のコンセントがあれば、後から照明をつけられますが、その場合は足元から周囲を照らす灯りを上手に使うと、迎え入れる雰囲気をつくることができ、幻想的にまとまるでしょう。

6. 玄関の出入りが外部から見えてしまう

オープン外構の場合、玄関が道路などから近いことが多く、目隠しになるような外構がないと、玄関の出入りが近所の人や通りがかりの人に見えてしまいます。セミクローズド外構やクローズド外構も、玄関前の外構の位置や大きさが合っていなければ、プライバシーがうまく保たれません。外からの視線が気にならないという家族を除いて、玄関近くは外からの視線をさえぎるような外構を作るといいでしょう。

7. フェンスの有無/フェンスなしでご近所とトラブルに。フェンス設置で日当たりや風通しが悪くなった

塀やフェンスなどで囲わないオープン外構では、周囲で遊んでいた子どもたちが敷地内に入ってしまい、その対応でご近所ともめるなどのケースも。逆にクローズド外構にして日当たりや風通しが悪くなることもあります。日本の家屋はクローズド外構が主流でしたが、近年はオープン外構を選ぶ人も増えてきました。しかし、それぞれにメリットと注意点があるため、周囲との人間関係、自分たちが望むライフスタイルなどを考慮して、外構のタイプを選ぶ必要があります。

8. ウッドデッキの床素材/柔らかい木材は耐久性に乏しい。夏は熱くて歩けない

リビングから庭へと続くウッドデッキは、最近の注文住宅で人気の外構です。しかし、床に柔らかい木材(ソフトウッド)を使うと、雨や湿気で早く腐ってしまう場合があります。腐朽防止や害虫対策などの加工をしたソフトウッドを選ぶ方がいいでしょう。よりメンテナンスが容易なのは高い耐久性を持つ硬い木材(ハードウッド)で、南米から輸入されるイペ材などがよく使われています。なお、ウッドデッキは全般的に夏の直射日光で床の表面温度が上がり、特に色の濃い素材は歩けないほど熱くなるといわれています。日よけなどの対策も必要です。また、ウッドデッキの下にゴミなどがたまらないよう、床下から地面まで周囲を囲むようにしましょう。

9. 水道メーターやガスメーター、電気の引き込み線など生活インフラの設備が目立つ

水道・ガス・電気など生活インフラの設備も外構の一種。玄関すぐ近くに水道メーターボックスの青いフタが設置されると、かなり目立つのは間違いありません。また、家の外壁につけるガスのメーターボックスも目立ちやすい設備といえます。それぞれの担当者が敷地の奥まで入らずに済み、外部からは目立たない位置を検討しましょう。近くの電柱から家に電気を送る引き込み線も、電柱の位置によっては目立つ場所になりがち。事前にハウスメーカーや外構・エクステリアの施工会社に相談して、位置を決めておきましょう。

10. 植栽関係/樹木が育ちすぎた。落葉樹の落ち葉の掃除が面倒。常緑樹ばかりで冬も日差しが届きにくい

敷地内の植栽は10年後、20年後も育ち続けていくもの。住み始めたときの状態だけ見ていると、将来は庭が樹木でいっぱいになり、うっそうとした感じになることも考えられます。樹木が成長したときのイメージも考えて、種類や本数、配置などを専門家と検討しましょう。また、落葉樹が多いと落ち葉の掃除や処理に手間がかかる一方、常緑樹ばかりだと冬も葉が落ちず、庭や家屋に日差しが届きにくい場合があります。リビングの前の樹木は落葉樹を中心に、季節の移り変わりを楽しめるようにするなどの工夫も大切です。

11. 外構のメンテナンス費用を準備していなかった

外構は屋外にあるだけに日差しや雨風の影響を受けやすく、時間が経てば傷みも目立つようになり、メンテナンスが必要になってきます。費用はどの部分を直すかによって異なりますが、門扉の交換や駐車スペースの補修などに比べて、塀・フェンスの撤去のような大がかりな工事の費用は大きなものになるでしょう。また、庭の樹木の剪定(せんてい)などは毎年費用がかかるのが一般的です。

こうした費用への備えがないと家計のやりくりが大変になるため、必要なときに使えるよう、外構のメンテナンス費用を毎月少しずつためておくのが望ましいでしょう。

外構の失敗を防ぎ、おしゃれで満足度の高い外構を作るコツ

家との一体感が重視される外構は、ウッドデッキのように家の中の生活空間を屋外に広げる役割も持っています。このため、家の間取りや外観イメージの検討とあわせて、外構・エクステリアの計画も進めましょう。

外構を家全体のイメージとマッチさせるには、道路から玄関周りに至るアプローチやフロントガーデン(前庭)、リビングやダイニングの外に広がるメインガーデン(主庭)、駐車スペース、キッチン近くのサービスヤードといった、ゾーニングをしっかり行うことが大切です。例えばメインガーデンも、草花を中心とした見るための庭園、子どもと遊ぶプレイゾーン、自分たちで野菜を育てる家庭菜園など、住む人のライフスタイルや用途によって、必要な外構プランが違ってきます。

さらに、こうしたゾーニングによる家の外観と外構の機能・デザインを、自分たちの納得いくものに仕上げるには、多くの事例を見て参考にすること。例えば、ダイワハウスの「庭・外構・エクステリア」を紹介したサイトには、家と外構を一体的に考える事例やヒントが満載です。まずチェックしてみましょう。

家づくりと一緒に考えたい、庭・外構・エクステリア

参考にしたい外構アイデア例

ここではダイワハウスの「庭を活用するアイデア」をもとに、参考にしたい外構のアイデアとして、主にメインガーデンの事例をご紹介します。間取りだけでなく、外構でも家族のコミュニケーションを豊かにする工夫をしていきましょう。

家族の絆を深めるシンボルツリー

外構・エクステリアの主役の一つともいえるシンボルツリー。引っ越し1周年や新しい家族の誕生など、記念日にシンボルツリーを植えることで、ツリーの成長と家族の思い出とが年を追うごとに重なり、二つとないモニュメントになってくれるでしょう。

食を通じて会話も増える家庭菜園

庭の一角で家庭菜園を始めてみましょう。一般的に日当たりの良い場所が家庭菜園向きとされていますが、日陰でも育つ植物はあるので検討してみましょう。家族で育てた野菜が食卓にのぼると、「おいしいね」「次は何を育てようか」など食事中の会話も増えるはず。

気軽に家族が集まれるウッドデッキ

室内の生活空間を庭まで延長してくれるウッドデッキは、背が低めの腰壁とベンチを設けることで、リビングの延長というイメージが高まり、より気軽に家族が集まれるように。作りつけのベンチなら、座面の下を収納にして屋外で使う小物を入れておけます。

自分たちでバーベキューコンロも作れる
プライベートガーデン

外からの視線が気にならないよう塀やフェンスなどを設けたプライベートガーデン。テーブルとチェアのセッティング以外にも、テントを張ってキャンプ気分を味わうこともできます。庭で楽しむバーベキューも、コンロを家族で手作りすると愛着がわき、使う機会も増えるのではないでしょうか。ただし、バーベキューの煙がご近所の迷惑にならないよう十分に注意を。煙が出にくい備長炭などを使うことも検討しましょう。

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Profile

佐川 旭さん

All About 「家を建てる」 ガイド。1951年福島県生まれ。一級建築士、インテリアプランナー。(株)佐川旭建築研究所 代表取締役。住宅だけでなく、公共建築や街づくりまで手がけ、間取り博士とよばれるベテラン建築家。用と美を兼ね備えた作品を得意としている。住宅(これまで200軒以上を設計)、街づくり、公共建築などを中心に講演・雑誌執筆活動をする傍らテレビにも出演。

https://allabout.co.jp/gm/gp/334/profile/

http://www.ie-o-tateru.com/

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