近年、ペットとしての人気が高まるうさぎ。
ふわふわした見た目や仕草が愛らしいだけでなく、
体が小さくて鳴き声や臭いも気になりにくいことから、
ペットとして迎えたいと思う方も多いようです。
うさぎを飼う際に気をつけるべきポイントや、人とうさぎ、
両方が幸せに暮らすための住環境について、
うさぎガイドの石毛じゅんこさんに伺いました。
愛らしく賢いうさぎの魅力とは?
Q:うさぎの種類や、うさぎの魅力的なポイントを教えてください。
石毛さん:「うさぎの種類はいくつかありますが、ペットとしてメジャーなものとしては、立ち耳で丸顔、体が小さめの『ネザーランド・ドワーフ』、垂れ耳の『ホーランド・ロップ』の2種類が挙げられます。うさぎは元々、厳しい自然の中で生きてきたのですが、ペットとして飼われていくうちにのんびりとした温和な性格の子が増えてきました。
うさぎは、人間でいうと1~3歳のお子さんくらいの知能を持っています。人の顔を識別でき、家族だけでなく時々遊びに来る人のことや、場所も認識しています。もちろん自分の名前も覚えます。うさぎそれぞれの個性や性格にもよりますが、人懐っこくて自分から近寄って来てくれる子が多いです。仲良くなると、リラックスして安心してくれるようになり、甘えてくれますよ」
Q:うさぎが、ペットとして人気がある理由はどこにあるのでしょうか?
石毛さん:「犬や猫に比べて、大声で鳴かない、室内で飼える、体臭がほぼ無いことなどが、ペットとして人気がある理由かもしれません。うさぎには声帯が無いので、鳴き声を出すことがありませんが、小さな音で『ぶうぶう、ぐうぐう』と鼻を鳴らすような音を出すことはあります。それは、嬉しいときのうさぎの『声』。でも、近づかないと聞こえない、本当に小さな音です。飼い主さんにしか聞こえない、うさぎからの愛情表現です。
ただし、うさぎは後ろ足をダン!と踏み鳴らす足ダンをすることがあります。ペットとして飼われているうさぎの場合は、大きな音に驚いたり、不快なことがあったりすると足ダンをすることが。うさぎを飼い始めたばかりの方は少しびっくりするかもしれませんね」
うさぎの飼い方で気をつけたいポイント
Q:家族として、うさぎにどのような接し方をしてあげると良いでしょうか?
石毛さん:「うさぎが家族で一番上、と思って大事に接してあげましょう。野生では群れで生活していた生き物なので、家族を群れと捉えて序列も決めています。犬の場合は、家族の中で一番下という扱いでしつけるのが大切、などと言われますが、うさぎの場合は逆です。
気をつけたいのは、何かを噛んでしまうなど、いたずらをしてしまったときの接し方。叱ったり軽く叩いたりしてしつけようとしても、うさぎの場合は怖がって怯えてしまうだけで、効果がありません。いたずらをされないように、物の置き場所や管理方法に気をつける、という対策が第一です。
うさぎは繊細な動物と言われますが、人の感情を読むことにも長けています。普段はおとなしいですが、人が怒っている状態や喧嘩は嫌なようで、足ダンで仲裁してくることも。その音を聞くことで冷静になることができて、家庭円満につながるかもしれませんね」
Q:うさぎがストレスを感じているとどのような行動をとりますか?
石毛さん:「うさぎは我慢強い動物でもありますが、ストレスなどの影響が食欲の減少という形で表れます。一時的に預けたときや新しい家に移ったときなど、環境が変化すると数日食欲が出ない……ということも。
うさぎは、腸の動きが数時間でも止まってしまうと生命の危険がありますので、様子見は厳禁。食欲があるかどうかを注意して見てあげましょう。もし、食欲がないと感じられたら、うさぎに詳しい獣医師に早めに診てもらいましょう」
Q:うさぎの餌はどのようなものを選べば良いでしょうか?
石毛さん:「主な餌は牧草(チモシー)です。牧草といっても種類豊富で、うさぎそれぞれに好みがあります。飼い始めたらその子のお気に入りのものを探しましょう。災害時などは餌の確保が難しくなりますから、好物の牧草を普段から備えておくことが大切です」
うさぎが快適に暮らせる生活環境とは
Q:室内の温度や湿度、光、音など、
うさぎが心地よく過ごせる生活環境について教えてください。
温度、湿度について
石毛さん:「うさぎは暑さにも寒さにも弱いので、室内の温度・湿度管理が大切です。適切な温度は18度〜24度程度、湿度は50%前後で、人が快適と感じられる温度とおおむね同じです。外出時でも遠隔で温度調節ができるIoTエアコンや、様子を見守るペット用カメラなどの設備があると安心ですね」
採光について
石毛さん:「野生のうさぎは穴で過ごすため、暗いところを好むイメージがあるかもしれませんが、自然光が差し込み、光の加減で朝・昼・夜と1日の時間の変化がわかる場所が良いですね。日中、家を留守にする場合も、遮光カーテンを閉め切るのではなく、レースカーテンなどがおすすめです」
音について
石毛さん:「一般的な住環境であれば、それほど神経質にならずに過ごしても問題はありません。普段の生活音は特に気にしすぎる必要はなく、洗濯機やエアコンなどの家電製品の動作音も大丈夫です。
ただし、金属音や高くて大きな音、くしゃみ、せきなどに反応して、足をダン!と踏み鳴らしてくることもあります。言葉はわからなくても人の感情を察してくれますから『ごめんね、大丈夫だよ』とひと言謝ってあげると良いでしょう。
また、振動を伴う音は苦手です。これは、野生のうさぎが地面をダン!と踏むことにより振動で仲間に危険を伝え合うという習性によるもので、振動=危険と判断し、ストレスに感じてしまうからです。このため、交通量の多い幹線道路沿いや、鉄道が近くを通っていて振動を感じる場所は、できれば避けてあげたほうが良いかもしれません」
1日の生活の中で気をつけたいこと
石毛さん:「温度管理はもちろん大切ですが、部屋を閉め切るのではなく、窓を開けて外の空気に触れさせ、季節を感じてもらうことも必要です。春や秋の過ごしやすい季節は、一定の時間室内に外気を取り込みましょう。(網戸やサークルをして、うさぎから目を離さないでください)私は夏や冬にも、短時間でも窓を開けて、室内のうさぎに季節を知らせるようにしています。自然の光や風を感じることで生活にメリハリを持たせることができ、生き生きと過ごしてくれます。
うさぎには夜行性というイメージもありますが、共に暮らすことで飼い主の生活リズムに比較的順応してくれます。ご家族の生活リズムが朝型だと、やや早めの時間から起きていることも。うさぎは日中も夜もこまめに睡眠をとるのですが、人が寝ている時間は、電気を消してあげれば静かにしてくれることが多いですよ」
Q:うさぎを飼う上で、どのようなトラブルに気をつけた方が良いでしょうか?
石毛さん:「骨が軽く脆いという弱点があるので、特に気をつけたいのが転倒や落下による骨折です。うさぎは運動能力が高く、本気を出したときはとても動きが素早いです。1mくらいの高さはジャンプできるので、部屋の中に放していると、机など予想以上に高いところに登ってしまうことも。また家具の下の狭い隙間に入ってしまうこともあります。
降りられるのか、出てこられるのかと、飼い主としては不安になってしまうかもしれません。しかし、人がパニックになっているとうさぎにも伝わり、それがケガにつながる恐れがあります。まずは落ち着いてうさぎの様子を観察しましょう。手助けが必要であれば慌てず、そっと対応することが大切です。
また、狭い場所で器用に物を避けて歩く、ということも苦手です。小物などにぶつかって転倒させないよう、行動範囲にあるものには気を配りましょう。椅子やキッチンワゴンなどのキャスター付きの家具も、ケガの恐れがあるため、避けた方が良いでしょう」
うさぎと人が、快適に暮らすための住まいや暮らしの工夫
Q:うさぎはどのような場所で飼うと良いでしょうか?
石毛さん:「普段は室内に置いたケージの中で飼うようにしましょう。ケージの隅にはトイレを置きます。家族の外出中は、ケージの中だけで過ごさせていても大丈夫ですが、必要な運動量を確保するためケージの周りをサークルで囲い、できれば1畳以上のスペースをとって出入りを自由にしてあげるのが理想的です。
留守中も伸び伸びと過ごさせてあげたいかもしれませんが、万が一のケガや事故の心配があるため、人が近くにいられないときは、ケージに入れる習慣をつけましょう。
ただし、成長して年齢が4歳〜5歳になると、むやみに物をかじらない、ということを自然に覚えるうさぎもいます。成長の様子によっては、自由に行動させる時間を増やしても大丈夫ですが、できる子・できない子がいるので、注意して見てあげましょう」
Q:ケージの外で人と一緒に遊ぶ場合、どのような過ごし方を喜びますか?
石毛さん:「トンネル状のおもちゃを与えてあげると、喜んでくぐる姿が見られるかもしれません。また、窓ガラス越しに外の様子が見えるように工夫してあげるのも良いです。外をじっと見ている姿はかわいらしく、うさぎにとっても良い気分転換になります。
もちろん、ケガをさせないことが大切ですから、危険な物がないようにし、外の様子が見える場所に登るための踏み台を用意してあげると安心です。こうした環境を整えるためのグッズは、小型犬や猫用のものでも代用できます」
Q:家具の置き方や建具については、
どのようなことに気をつけるべきでしょうか?
石毛さん:「うさぎは歯がとても硬く鋭いため、布やひも、ティッシュペーパーといった小物はもちろん、木製の家具やコード、壁紙など何でもかじってしまいます。物をかじるのは、放っておくとどんどん歯が伸びてしまうのを防ぐための行動で、うさぎにとって欠かせない習性のひとつ。かじられたら困るものはうさぎの行動範囲に置かないようにすることが賢明です。
当然、人も一緒に生活するわけですから、ものが全くない部屋をつくるのは無理ですよね。そこで家や家具への対策が必要になってきます。特に気をつけたいのは電化製品のコードです。機器の破損につながるだけでなく、感電のリスクもあります。市販されているコードカバーを装着するなど、可能ならうさぎが届かない天井付近へ配線しておく方法を考えましょう。
また、柱の角や、壁紙をかじるのも大好き!しかし、それを飲み込んでしまっては大変なことになりますので、事前にサークルなどでガードしておきます。かじり木などのおもちゃを与えてあげるのもおすすめです。壁をかじることより、楽しいことが他にあることを教えてあげましょう」
Q:最後に、うさぎを飼うにあたっての心構えを教えてください。
石毛さん:「いままで述べてきたように、うさぎは元気で可愛く、賢く、共に生活すると、たくさんの幸せや喜びを、私たち人に与えてくれる動物です。
その一方、うさぎの寿命は医療が進化したおかげで年々伸びており、現在では10歳を超える子も多くいます。人と同じように、高齢になれば介護が必要になる個体もいます。これはどんな動物にも言えることですが、年齢に関係なく、病気をしたりケガしたりすれば、病院へ通うなど、付きっ切りのお世話が必要になることもあります。
そうなったときでも、愛情と責任を持って接してあげてください。大変な時でも抱え込まず、家族や友達や、動物病院や、専門店など、手や知恵を借りながら、一生の責任を持ってあげてくださいね。困った時に頼れる場所として、ペットホテル、老うさホーム『うさこんち』もありますので、うさぎとの暮らしを楽しんでほしいです」
ダイワハウスの住まいでうさぎも人も、
健康的に伸び伸びと暮らす
Q:うさぎと人に嬉しい、家づくりのポイントについて教えてください。
石毛さん:「うさぎは人と同じ空間にいた方が落ち着けるので、リビングの一角など、家族がよくいる空間にケージを置くと良いでしょう。テレビを見ている時、家事をしている時、会話をしている時なども、家族の輪に入れてあげましょう。
広いリビングと、そこからワークスペースや子どもの勉強スペースが緩やかにつながるようにして、うさぎのケージもリビングの一角に設けるなど、家族とうさぎが自然に一緒にいられる空間を作れると理想的です。
庭やウッドデッキがあれば、一緒に外に出て遊ぶこともできます。日光浴をさせてあげると気持ちよさそうにしますよ。
ただし、逃げてしまったら捕まえるのは至難の業なので、脱走には十分注意が必要です。柵や塀があっても、飛び越えたり、すり抜けたり、穴を掘って柵外へ出てしまうなんてこともやってしまうので、うさぎから目は離さないでください。さまざまな危険も考えられますので、うさぎとの生活に慣れてから、少しずつ慣らしていきましょう。
庭に出るときもサークルで周りを囲って、サークル上部にも蓋をしてその中で過ごさせるか、ハーネスをつけてあげましょう。ハーネスに対して苦手意識を持たせないよう、小さな頃から慣らしてあげることもおすすめです」
Q:他にはどのようなポイントに気を付ければいいでしょうか?
太陽光発電
石毛さん:「温度調節のためにエアコンを使用することが多くなるため、気になるのは光熱費。太陽光パネルとエネファームで作った電気を蓄電池に効率的に貯められる、電気を自給自足する家を検討するのも良いでしょう。災害時に停電が起こった場合であっても電気が使えるので、室温を心配せずに過ごせます。xevoΣのように高断熱・高気密な家であれば、冷暖房効率が良いため光熱費の削減につながります」
うさぎはかわいらしいだけでなく、人に優しく、寄り添ってくれる存在。ダイワハウスの注文住宅なら、うさぎと人、双方にとって快適な住まいづくりが実現しそうです。
Profile
石毛 じゅんこさん
2011年に日本初、介護の必要のあるうさぎもOKのうさぎ専用ペットホテル、老うさホーム「うさこんち」を開業。のべ約2000頭のうさぎと接する。株式会社アトリエうさこ 代表取締役。愛玩動物飼養管理士、動物取扱業第一種登録、ペットフード販売士。監修書に『飼い主さんに伝えたい130のこと‐うさぎがおしえるうさぎの本音(朝日新聞出版)』がある。