ウインドウトリートメントとは、カーテンやロールスクリーン、
ブラインドなど、窓まわりの装飾のこと。
近年は住まいの開口部が大きくなるとともに、
部屋に占めるウインドウトリートメントの面積や存在感も大きくなっています。
外から差し込む光や外気から伝わる熱を調節する以外にも、
さまざまな役割があるのをご存知ですか?
今回はウインドウトリートメントの選び方や扱い方についてご紹介します。
ADVICE
仲田 牧子
大和ハウス工業株式会社 インテリアコーディネーター
ウインドウトリートメントの3つの役割
ウインドウトリートメントの基本的な役割は大きく3つ挙げられます。
1)住まいの内側、外側を美しく演出する
窓に取り付けるウインドウトリートメントは室内外の両方から見えるので、住まいを演出する上で大きな役割を果たします。
2)プライバシーを守る
隣家や通行人からの視線を遮る役目も。室内の光を外にほとんど漏らさないような遮光性の高いものや、昼間に室内の様子を見えにくくするミラーレースカーテンなどもあります。
3)省エネ効果を高める
遮熱性や断熱性によって夏場の室温上昇を防ぎ、光熱費を抑えることができます。冬場も保温効果で室内を暖かく保ちます。
3つの役割のうちどれを優先するかによって、選ぶべきウインドウトリートメントの種類や素材が変わります。部屋の用途や環境、ライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
ウインドウトリートメントの選び方〈デザイン編〉
インテリアとのバランスを検討しよう
大切なのは床材や建具、クロスや照明など、他のインテリアエレメントとの色や質感のバランス。また、キッチンの扉など設備のカラーとのバランスも考慮する必要があります。
インテリアスタイル別 おすすめ例
[ナチュラルテイスト]
リネンのカーテン(麻テイスト)
自然な風合いでナチュラルなデザインになじむリネン素材。太陽の光を自然に通し、室内を優しい明るさで満たします。
[北欧テイスト]
大柄のカーテン
大胆で明るい色味のユニークな柄が似合う北欧テイストのインテリア。柄が映えるよう、ドレープの少ないフラットカーテンがおすすめ。
[モダンテイスト]
バーチカルブラインド
縦長のルーバーが並ぶバーチカルブラインドはモダンテイストのインテリアにぴったり。連続する垂直ラインが美しい窓まわりを実現します。
[ジャパニーズテイスト]
プリーツスクリーン
特殊なプリーツ加工が施されたプリーツスクリーンは、和紙のような不織布などを使って、障子のようなニュアンスを演出できます。現代的な和室にも違和感なくマッチします。
[エレガントテイスト]
デコレーション加工のカーテン
エレガントなデザインのインテリアには、フリンジなどの装飾が付いたカーテンがおすすめです。
ひだの数はどう決める?
窓の幅よりも広い生地を使いひだをつくることで、開閉がしやすくなったり、意匠性が増したりします。既製品のカーテンは通常、窓の幅の1.5倍の長さで作る「1.5倍ひだ」が主流。オーダーカーテンは用途に応じて、布の幅やひだの数を変えることができます。
ノンタック
ひだをつくらないスタイル。柄がきれいに見えるので、北欧風の大柄とマッチします。一定のウェーブを保つため、形態安定加工を施したものもあります。
2.5倍ひだ
ゴージャスな雰囲気を出すには、布の幅を広く取り、ひだを多くつくると効果的です。窓の大きい住まいでは、開けたときのたまりの厚みも計算して選びましょう。ハリのある生地なら、形態安定加工を施すときれいに収まります。
写真左:形態安定加工あり 写真右:加工なし
空間とのバランスを検討しよう
配置に気を付けよう
ウインドウトリートメントを設置するときは、周辺の状況をしっかり把握しておかなければなりません。うっかりすると、次のような失敗を起こす可能性も…。
失敗例 1)
窓の下にベッドを置いたとき、ベッドのヘッドボードとカーテンが擦れてしまう。
失敗例 2)
ドアを開けたとき、カーテンレールが干渉してしまう。
失敗例 3)
厚みのある生地のため、カーテンを開けたときに窓の景色を邪魔してしまう。
このような事態を避けるためには、プロのインテリアコーディネーターに相談するのが賢明。お住まいを新築予定の方は、ウインドウトリートメントも並行して提案を受けるのがおすすめです。
広さの感じ方は色でも決まる
明るい色は膨張して部屋を広く見せ、暗い色は圧迫感や狭さを感じさせます。広く感じさせたいリビングには明るい色を、こもった雰囲気を演出したい和室や寝室などには暗めの色を選ぶのも一手です。
同程度の広さの窓でも、かけるカーテンの色で広さの感じ方が変わります。
ウインドウトリートメントの選び方〈遮光性編〉
遮光性は太陽の光をどれだけ遮るかと同時に、プライバシーの観点からも検討したい項目です。
ウインドウトリートメントの生地は、遮光性があるものとないものに分かれます。閉じても部屋を暗い印象にしたくないときは遮光性のない生地を選びましょう。
遮光性があるものは、遮光率によって3等級に分けられます。
たとえば夜勤の方が昼間に眠るための寝室なら、日差しは睡眠の妨げになるので、カーテンは遮光性が高い方が良いでしょう。
しかし、遮光性がある生地は黒い糸を織り込んでいるため、デザインとしては重い印象を与えることも。遮光性のない生地の色柄が気に入ったけれど、遮光にしたいという場合、遮光裏地を縫製する方法もあります。
遮光カーテンの光漏れについて
遮光率の数字が大きいほど遮光性が高くなります。
遮光等級 | 遮光率 |
---|---|
1級 | 99.99%以上 |
2級 | 99.80%以上99.99%未満 |
3級 | 99.40%以上99.80%未満 |
■遮光等級による光漏れの違い
ご存知ですか?こんなウインドウトリートメント
ハニカムスクリーン
断面が六角形のハニカム(蜂の巣)のように広がるのが特徴のスクリーン。この構造によって生まれた空気層が、暑さにも寒さにも強い保温効果を実現します。
調光ロールスクリーン
ボーダー柄のスクリーンを上下に操作することで、ブラインドのように光をコントロールできます。
プリーツスクリーン
コードの操作で生地を上げ下げできるスクリーン。ロールスクリーンとの大きな違いは、優しい光を室内にもたらす、ひだがあること。和室はもちろん洋室にもなじみます。
建てる前にウインドウトリートメントを考える理由
家を建てる際、設計の段階でウインドウトリートメントまで気に掛ける人はそう多くはいません。しかし、その設置には間取りや内装と関係する場合も多いため、インテリアコーディネーターや設計担当者と話し合いながら進めるのがベストでしょう。建物の設計と同時にオーダーメイドで進めると以下のメリットがあります。
カーテンレールやカーテンボックスのつけ方を踏まえて、間取りやインテリアを決められる。(後でつけようとして、下地がないのでできない、という失敗を防げる)
インテリアスタイルに合った形状にできる)
装飾レールなどで楽しむ〈カーテンレール〉
カーテン上部をすっきりまとめる〈カーテンボックス〉
カーテン吊元を見せないスマートな納まり〈天井埋込みカーテンボックス〉
インテリアコーディネーターに相談し、好みの内装を選べる。採寸もお任せできる
アフターサービスの窓口が一本化できるケースがある(カーテンメーカー名や品番、サイズなどのデータが保存できる)
※メーカーにより対応が異なりますので詳しくはお問い合わせください。
Column カーテンのお手入れについて
ウインドウトリートメントと長く付き合うために大事なのはお手入れです。ホコリがついたままだと、紫外線をプリズムのように反射させ、カーテンを劣化させます。これは色が落ちたり、破れてしまったりする原因になります。基本的に、ドレープカーテンは年に1回、汚れが目立ちやすいレースカーテンも年に1回を目安に洗濯しましょう。
ロールスクリーンやバーチカルブラインドはメカ部分から取り外せるウォッシャブルタイプもあります。リネン素材のカーテンなどはドライクリーニングが必要になるものも多いので、お手入れの前には洗濯表示を確認しましょう。
※掲載の情報は2019年6月現在のものです。
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