子育て期は、子どものことが暮らしの中心になります。
しかし、育児に家事にと頑張る中で、ストレスがたまってしまうのも事実。
親の心身への負担をできるだけ和らげるための工夫について、
子育てと住まいの専門家に、お話を伺いました。
食べこぼしやトイレでの失敗の片付け、動き回る子どもから目が離せない中での家事、抱っこをせがまれたり泣かれたりしながらのお料理…。子育て期の苦労は挙げればきりがありません。親の心身にかかる負担は、個人的につらいばかりではなく、子どもを怒ることが増えたり、笑顔でいる時間が減ったりと、家庭環境への悪影響を生みかねません。ストレスの原因は、できるだけ取り除きたいものです。
ママへのアンケートによれば、実に半数(47.7%)の方が、「とてもストレスを感じている」と回答。その原因は、家事(44.0%)や出産・育児(37.8%)という結果が出ています。このデータから、子育て期の住まいには、育児のしやすさへの配慮と、手早く効率的に家事をこなせる工夫が求められているということが見えてきます。子育ては一時的なものではなく、長く続くものです。だからこそ、子どもだけでなく親も心身ともに健やかに暮らせる住空間であることが望まれます。下記で、具体的なアイデアをご紹介します。
※データ出典:ミキハウス子育て総研調査(2012年11月/有効回答数539名。ストレスの原因は複数回答可)
身の回りのことを自分でできるようになるために、親が子どもをサポートしながら教えるという場面が多々あります。例えば、2~3歳くらいの子どもをもつ親にとってトイレトレーニングは関心事のひとつ。新築の際には、親も一緒に入れる広めのトイレをご検討されてはいかがでしょうか。すぐそばで教えられ、失敗しても片付けやすいという利点もあります。手を洗ったり歯を磨いたりする洗面室にも、ゆとりがあると良いでしょう。
子どもの外出に関わるものにも注目してみましょう。散らかった玄関は、ストレスのもと。ベビーカーを置ける空間があると重宝します。泥のつくボールなど外遊びの道具をまとめておける場所もあると便利です。また、コートや帽子などを片付けられる収納を玄関に備えていれば、外出時の身支度や帰宅時の片付けなどを習慣づけるしつけにもつながります。
親が一緒に行える広さや、理にかなった収納空間の確保がポイントといえるでしょう。
子どもを見守りながら、住まいや身の回りを清潔に保つために、なるべく簡単に家事を済ませたいと希望する方が多いと思います。例えばお掃除。床は、水やミルクが染み込みにくく、拭き取りやすいフローリングがおすすめです。掃除機のことを考えて、コンセントの位置にもひと工夫。少し高めに設けることで、コンセントを抜き差しする際の腰への負担が大幅に軽減されます。さらに、ハイハイなどで届かない高さにすればイタズラの防止にもなります。
子どもがいるとお洗濯の量が格段に増え、洗濯物が乾きにくい時には、ストレスがたまる原因になります。そんな時のために、室内に洗濯物を干せる場所を確保しておくと良いでしょう。室内干しには、花粉症対策というメリットもあります。
手間や時間をカットするだけでなく、プラスアルファの利点があるアイデアを活用することで、ストレスを上手にケアしていきましょう。
子どものおもちゃは増え続けてしまうものです。遊ぶ場所がリビングであれば、その場に収納を設けておくことで、片付けやすくなります。
ママが子どもの入浴を終えたらパパにお知らせ。体を拭いたり、パジャマを着せたりはパパに任せて、ママはゆっくりバスタイム。
キッチンで調理している時に、子どもが入ってきたらお料理に集中できません。子どもが冷蔵庫を使う動線がキッチンを通らないようにしましょう。
パソコンやとがった文具など、子どもから遠ざけたいものを置きがちな書斎は、子どもの遊び場にならない主寝室に設けるのがおすすめです。
藤田 洋さん
ミキハウス子育て総研株式会社代表取締役社長。2006年、民間企業としては日本初の「子育てにやさしい住まいと環境」認定事業を立ち上げるなど、子育てと住まい、居住空間を考えるスペシャリスト。関連著書も多数。プライベートでは3人の娘を育て、今は孫が2人。
2016年2月現在の情報となります。