賢い子どもを育てるために整えるべき環境とは?
40年に渡る家庭教師歴の中でさまざまな家庭と子どもに出会ってきた松永先生に、
家庭環境づくりについてお伺いしました。
私は長年の家庭教師の経験から、優秀な子どものいる家庭のリビングにはテレビが無いと気付きました。家にテレビがあっても寝室などに置き、見たい番組がある時だけ見て、常につけっぱなしにすることがないのです。賢い子どもを育てるには、まずテレビの置き場所を検討されることをお勧めします。
テレビの代わりにリビングまわりに書棚を置いて、お父さん、お母さん、子どもがそれぞれ自分の本を入れておくようにします。食事やくつろぎの時間にお互いが今読んでいる本について会話ができれば、子どもの興味の幅が広がります。ある家庭では、月初めに家族で本屋に行き、各自が好きな本を10冊選んで購入しておられました。その家庭の子どもは、猛勉強をすることもなく有名私立高校に入学しました。
また、私は家の中に「遊び」のある空間を作ると良いと考えています。床の間や押入れでも良いのですが、かくれんぼができるようなスペースは子どもにとって特別な空間になります。階段が2か所以上にあったり、吹き抜けで空間が立体的につながった家も、子どもの興味をかき立てる一助となるでしょう。
子ども部屋が必要になる時期は、個人差はありますが大体中学生頃からといわれています。多くの子どもは小学校卒業くらいまで、親が家事をしているそばで宿題をしたり、本を読んだりします。また、ダイニングテーブルで絵を描いたり工作したりと、さまざまなことをするかもしれません。リビング・ダイニングは子どもにとって勉強部屋であり、創作の場であり、作業スペースでもあるのです。
気を付けていただきたいのは、そうした子どもの集中を妨げないよう、ダイニングテーブルの上に何も置かないことです。子どもが思い立ったらすぐ作業を始められるように、テーブルには調味料セットや新聞やリモコンなどを置きっぱなしにせず、花瓶の花もできれば別の場所に飾ってください。テーブルの上に散らかりがちな日用品を、まとめて収納できるスペースがあるといいですね。
子どもたちにとって学力を伸ばすのと同じくらい大切なのが、感受性と自己表現力を養うことです。感受性を養うためには、音楽や絵画などの芸術に触れるのが一番。そして、芸術作品や日常生活から感じ取るものがあれば、それを表現してみることです。自分の気持ちが人に伝わりやすいようにアレンジすることこそ、芸術の本質であり第一歩です。
新しく家を建てるなら、防音室を作ることをお勧めします。防音室があれば友達を集めて一緒に楽器を演奏したり録音したりして楽しむこともできるし、一人で練習に集中することもできます。
かのアインシュタインがバイオリンの演奏を趣味としていたように、偉人と呼ばれる人の多くは芸術的な趣味を持っているものです。芸術をたしなむことができれば、人生をより充実させることができるでしょう。
ダイワハウスの快適防音室&静音室「音の自由区」
松永 暢史先生
教育環境設定コンサルタント。教育や学習の悩みに答える教育相談事務所V-net(ブイネット)を主宰。主体的な子どもに育てるための方法を提案している。著書に『賢い子どもは「家」が違う!』(リベラル社)、『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)など。
2016年7月現在の情報となります。