CASE2
複合施設
医療・介護複合施設 伊勢メディケアセンター ひかりの橋
- 所在地:
- 三重県伊勢市
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 6,383m2
- 竣工:
- 2017年5月
- 用途:
- サービス付き高齢者向け住宅(78戸)、特定施設入居者生活介護(80床)、デイサービス(定員50名)、訪問診療・看護クリニック
三重県伊勢市において、実に140年近くの歴史を誇る医療機関の流れを汲む伊勢慶友病院を運営するのが、ひかりメディカルグループの医療法人全心会様。急性期から回復期、療養にいたるまで、総合的な医療サービスを地域の多くの患者様に提供されています。
従来から取り組まれてきた医療だけでなく、介護の分野にも機能を拡大させることで、伊勢市内における包括ケアシステムの核を目指し、医療・介護の複合施設の事業化を実現されました。
計画のポイント
市有地(企業跡地)の有効活用策として医療・介護の複合施設を計画
市立保育園と子育て支援センターに隣接していた企業跡地を購入した伊勢市では、「三世代交流」と「中心市街地活性化」につながる活用策を公募。当該地の至近に自院を運営されている全心会様では、大和ハウス工業より提案を受け、「介護事業への本格的な取り組みを行う新たな拠点」として、医療・介護の複合施設の運営を計画されました。
隣接する保育所や地元商店街とも連携し、地域交流や三世代交流の場として役割を担っておられます。
自院との連携で地域包括ケアシステムの核となる機能拡張を実現
自院の近隣に高齢者住宅(サ高住・特定施設)を運営することで、患者様や入居者様の状態に合わせた生活の提案が可能となり、病床と高齢者住宅が「双方向の受け皿」として機能。さらに、自院および地域との連携を高めていくことで、地域包括ケアを目指す全心会様の足がかりとなります。
質の高い医療を提供できる高齢者住宅として、入居者様に安心を提供するため、併設の「ひかりの橋クリニック」にはX線画像診断装置をはじめ、各種医療設備の充実を図られています。
土地建物の賃貸借スキームで初期投資を抑制
市有地活用の公募のタイミングからスピーディな事業計画が必要でした。さらに、運営を早期に軌道に乗せたいというご要望から、大和ハウス工業が土地建物を所有し全心会様へ賃貸借するという、大和ハウス工業の開発型スキームをご提案。初期投資を抑えた事業化が実現しました。
中央にスタッフステーションを設け、左右に20戸ずつ×4層の居室構成。職員の業務効率を考慮した設計となっています。
お客様の声
自院や他の医療機関との連携を深め、
地域包括ケアシステムにおける多くの役割を担う
医療法人全心会 伊勢慶友病院 院長 堂本 洋一様
全国平均よりも高齢化の進むこの地域において、以前より医療の提供だけではなく介護サービスとの連携の必要性を強く感じていました。地域包括ケアシステムの実現には、多種多様な医療・介護・福祉の事業者間の密な連携が必要です。自院(伊勢慶友病院)のすぐそばに、高齢者の住まいの機能を持つ医療・介護の複合施設を開設できたことは、当法人が地域包括ケアシステムにおいて、より広範な領域を担うことができることにつながると考えています。
「伊勢メディケアセンター ひかりの橋」の全158戸は、患者様の状態に合わせた提案を行うための「医療と介護の双方向の受け皿」としての機能を持ち、それぞれの現場に自由度の高い選択が可能となりました。事業化にあたり、初期投資を抑えることのできる賃貸借による事業スキームを提案いただいたことも、スムーズで早急な事業の安定化を図る意味で大きなポイントとなりました。
訪問診療・看護を行うクリニックを併設したことは、三重県にはほとんど例がないことでした。同一建物のため点数的には抑えられるものの、医療の効率化の面でそれを補って余りあるメリットを感じています。もちろん「質の高い医療と介護サービスを提供できる高齢者住宅」は、入居者様に安心を提供できる大きな要素。クリニックを併設したことは、職員にとっても、万一の場合の安心感や精神的負担の軽減につながるため、今回の計画の大きなポイントとなっています。
施設のハード面においても、私たちの思いやこだわりを込めました。2~5階の住居部分は、スペインをイメージし、全フロアごとに異なるカラーコーディネート。各部屋や外壁、共用スペースには明るく上質な雰囲気が漂い、入居者の皆様に穏やかに暮らしていただきたいと考えています。
施設のプランニング段階においては、当法人から各部門の担当者が集まり、大和ハウス工業の担当者の方々と頻繁に打ち合わせを重ねました。柔軟かつ迅速に対応いただいたことが、より理想の建物に近づいたのだと感謝しています。
今後は、当法人を中心とした地域包括ケアシステムのさらなる充実を目指していきたいと考えています。そのために重要なのは、医療・介護・福祉のネットワーク強化。三位一体の取り組みを、行政や他事業者との連携を強めながら取り組んでいきます。